社会選択論

多数決の代替案「ボルダルール」のメリット・デメリットを分かりやすく

2019年3月31日

多数決以外に良い決め方ないかな~

たくさんの人を取りまとめる役割の人は大変ですね。

じつは多数決以外の方法で「みんなの意見がちゃんと反映されるような仕組み」があるんです

今回は新しい決め方「ボルダルール」とメリット・デメリットを分かりやすく簡単解説!

「ボルダルール」とは?多数決とは何が違うのか

みんなで物事を決める時ってどうしますか?

良くあるのが「多数決」で決めるというもの

 

北国宗太郎
北国宗太郎
でも多数決じゃ、意外とみんなが納得した答えにならないんだよね・・
人の世界は大変だね。多数決以外だと「ボルダルール」を使うのが良いよ。
牛さん
牛さん

 

「ボルダルール」とは?

みんなで何かを決める時に「1位=3点」「2位=2点」「3位=1点」という風に、点数を付けて、一番点数が高かった選択肢を採用するという方法。

 

ちなみにこの方法を考えた人がフランスのボルダさんです。

(Wikipediaより)

ジャン=シャルル・ド・ボルダは、フランスの海軍&科学者。1770年に多数決には欠陥があることを指摘して、新しい投票の仕組み(ボルダルール)を考案した。この仕組みが注目されるのは20世紀に入ってから。

 

ボルダルールの使用例

ボルダルールが選挙で使われている国もあります。

  • スロベニア
  • キリバス
  • ナウル

スロベニアでは、下院(国民議会)の90名の議員のうち2名を選ぶのに用いられています (1名はイタリア人の選挙区、もう1名はハンガリー人の選挙区を代表する)。

 

北国宗太郎
北国宗太郎
でも、点数を付けるのがどうしていいの?
点数を付けることで、多数決よりも全員が納得するものが選ばれやすいんだ
牛さん
牛さん

 

「ボルダルール」がどうして多数決よりも良いのか?を簡単に見ていきましょう!

「ボルダルール」のメリット

 

さきほども書きましたが「ボルダルール」のメリットは次の通りです。

 

ポイント

特定の誰かに支持されている選択肢よりも全体的に評価が高い選択肢が選ばれる

 

「ボルダルール」では多くの人に支持されている選択肢が選ばれる可能性が高まります

これこそが「ボルダルール」のメリットです。

 

具体的な例

こんな状況を見ていきましょう!

次の3つの選択肢でどれが良いか聞きました。

  • Aさん:A >B >C
  • Bさん:A >B >C
  • Cさん:A >B >C
  • Dさん:B >C >A
  • Eさん:B >C >A

 

もし「多数決」で決めると「選択肢A」が選ばれます。

ただ、この決め方だとDさんとEさんが納得しない事になります。D・Eさんにとってみれば選択肢Aは最下位です。

 

次に「ボルダルール」で選んだ場合はどうなるのかを見てみます。

1位=3点
2位=2点
3位=1点

  • 選択肢A=11点
  • 選択肢B=12点
  • 選択肢C=7点

一番得点が高いのが「選択肢B」となりました。

これならA・B・Cさんは2番目に好きなものが選ばれたので、多数決の時よりも全体的な納得感が高まります

 

多数決よりも「ボルダルール」の方が全体的な意見をくみ上げた結果になりやすいというのがイメージ出来ましたか?

 

北国宗太郎
北国宗太郎
これならみんな「ボルダルール」を使えばいいのに!
話はそう簡単じゃないんだよ。
牛さん
牛さん

 

「ボルダルール」が凄く良い決め方に見えますが、もちろんデメリットがあります。

「ボルダルール」のデメリット

 

「ボルダルール」ですが、みんなが正直に順番を選んでくれれば多数決よりもいい方法と言えます。

世の中には悪い奴もいるもので、正直に順番を選ばない人もいます。

 

これが「ボルダルール」の一番の欠点です。

 

戦術的な操作に弱い

 

北国宗太郎
北国宗太郎
戦術的な操作ってどういうこと?(分かりやすくお願いします)
具体的な話で解説していくよ。
牛さん
牛さん

 

3人の投票者がいて、次の4つの選択肢(A・B・C・D)の順位はこんな風になっています。

  • Aさん:A >B >C >D
  • Bさん:A >B >C >D
  • Cさん:B >A >C >D

1位=3点
2位=2点
3位=1点
4位=0点

 

ボルダルールでどれにするかを決める時に、このまま集計をすれば

選択肢A=8点
選択肢B=7点
選択肢C=3点
選択肢D=0点

となるので「選択肢A」が選ばれます。

ここでCさんが心の中でこんな事を考えます。

 

Cさん

他の2人は選択肢Aを一番にしそう。僕は選択肢Bがいいから、選択肢Aを蹴落としてやろう・・

 

さて、実際に投票した結果を見てみると、こんな事になりました。

  • Aさん:A >B >C >D
  • Bさん:A >B >C >D
  • Cさん:B >C >D >A

 

Cさんがをついて「選択肢A」が一番嫌な選択肢として投票しました。

これをボルダルールで集計すると・・

選択肢A=6点
選択肢B=7点
選択肢C=4点
選択肢D=1点

なんと本当なら「選択肢A」が選ばれるはずが「選択肢B」が選ばれてしまいました

他の選択肢を落とすために嘘をついたりする行動を「戦術的操作(戦略的操作)」と呼びます。

 

北国宗太郎
北国宗太郎
なんて悪党なんだ・・
人の世界ではコレって普通に起きることなんだよ。
牛さん
牛さん

 

注意点

とくに利害が絡む様なものを決める時には、こうした嘘の順位を付ける人が必ず出てくるでしょう。

このように、嘘の投票で選ばれる選択肢が変わってしまう可能性があるのが「ボルダルール」のデメリットになります。

 

「ボルダルール」を使うときは、周りの人がそうした嘘をつかないことが重要です。

 

ただし

そうしたズルは多数決でも引き起こることなので「ボルダルール」が多数決よりもみんなの意見をくみ取れる方法だと言われています。

「何でもかんでも多数決」はやめて「ボルダルール」を使ってみては?

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