自分が好きなことを仕事にしたい。
誰もが夢見るのに、いざ仕事にすると嫌いになるのは何故?
そんな不思議を行動経済学で分析します。
「好きなこと」を仕事にすると嫌いになる理由
「好きなことを仕事にしたら嫌いになった」って聞いたことがありませんか?
行動経済学とは、経済学と心理学を合わせた分野。近年はノーベル経済学賞を受賞するなど、ビジネスにも応用されている。
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「好きなことを仕事にすると嫌いになる問題」と深く関係しているのがコレです。
はてな
社会的な分野にお金の力を持ち込むと、人はお金中心で物事を考えるようになる。
例えば?
ゴミのポイ捨てはいけない事です。(モラル的にアウト)
ここにお金の話を持ち込みます。
東京都で、ゴミのポイ捨てをすると罰金100円という条例が出来ました。
都民(男性)
100円払えば捨てていいんでしょ・・?
ポイ捨てに100円の罰金を科すと「お金を払えば捨てていい」と考える人が出てくるのです。
お金の力は影響力が強く、良し悪しの判断基準が全てお金になります。
このように、行動経済学の研究では社会的な分野(モラルなど)にお金の話を持ち込むと、失敗するケースがあることを示しています。
弁護士協会への仕事の依頼
- アメリカの退職者協会が「定年退職した人の相談に乗ってほしい」と、弁護士たちに仕事の依頼しました。
はじめに、1時間3,000円の報酬を支払うのでお願いできますか?と依頼したところ、大半の弁護士に断られてしまいました。
弁護士
1時間3,000円は安すぎる・・
そこで
報酬はない(0円)という事を伝えて依頼すると・・
なんと、1時間あたり3,000円で依頼した時よりも、多くの弁護士が依頼を受けてくれたのです。
弁護士
たまにはボランティアみたいな活動もイイかな。
「退職した人の相談に乗る」というのは社会的な活動に入ります。
ポイント
ここにお金の話を持ち出すと「この仕事を受けると儲かるのか?」という基準で判断してしまいます。
しかし、お金が貰えないなら社会的な判断をする事になります。(困っている人を助ける・誰かの役に立つ etc)
つまり、報酬がない方が「誰かの手助けをする」という社会的な感情を重視した判断がし易かったのです。
この話を「好きなことを仕事にする」に置き換えて考えてみましょう。
好きなことを仕事にする
仕事にするということは、お金を稼ぐことを意味しています。
つまり「好きなこと」に「お金の影響」が加わってしまいます。先ほどの話から分かる通り、お金を意識すると社会的な感情が薄れてしまいます。
こうして、純粋に好きだったものが、金銭的な基準で判断されるようになるのです。
ココに注意
好きなことを仕事にすると言っても、多くの人は会社で働くことになります。しかし、会社の使命は、効率的に利益を出すことです。そんなところに身を置いても、好きなものを嫌いにならずにいれますか?
さきほどの実験から分かる通り、お金が関係している状況では「好きなもの」を純粋に好きでいられるのは難しいのです。
フリーランスの場合
まず、会社員よりも生計を立てるのが難しいです。
生活するお金が尽きる可能性と背中合わせ。そんな中でも好きなことを嫌いにならず、好きなまま働けますか?
途中で
夢破れた人
こんな事を目指さなければ・・。もう少しは安定した生活が出来たのかな・・
などと思う人もたくさんいます。
結局・・
会社でもフリーランスでも、「お金の影響力」と背中合わせの状況は同じです。
好きなことを仕事にしたところで「純粋に好き」という感情を保つのが難しいのです。むしろ、嫌気がさして嫌いになる人が多いのは当たり前かもしれませんね。
それでは「好きなことを仕事にして嫌いになる」を避けるためにはどうすれば良いのでしょうか?
「好きなこと」が嫌いにならないために
世の中には、好きなことを仕事にしても嫌いにならない人が居ます。
嫌いになるどころか天職だと考える人もいます。その差は何でしょうか?
ポイント
あなたの好きに「貢献」があるかどうか。
「好きなこと」を仕事にして嫌いになる人は、大きな特徴があります。
「好き」という感情が「自分が楽しい」「自分が満足する」という気持ちで止まっている。
例えば
自分は広告の仕事が好きだ!広告マンになりたい。
そう思った人には2通りのパターンがあります。
- 広告マンになった自分が好き
- 広告を通して依頼者の課題解決を手伝いたい
他にも
良くあるのが、漫画・ゲームが好きだからそれを仕事にしたい。
これも2つパターンがあります。
- 自分が読んだりプレイするのが好き
- 漫画・ゲームを通して誰かを楽しませたい
ここに注目
1番目の「好き」には”自分という存在”が中心的にいます。
しかし、2番目の「好き」は”相手の存在”が中心にいます。相手のために何かをするのが「好き」=「貢献」という意味です。
最初に紹介した実験を思い出してください。
弁護士協会への仕事の依頼
- アメリカの退職者協会が「定年退職した人の相談に乗ってほしい」と、弁護士たちに仕事の依頼しました。
はじめに、1時間3,000円の報酬を支払うのでお願いできますか?と依頼したところ、大半の弁護士に断られてしまいました。
お金の力で社会的な感情が薄れた結果、多くの弁護士に断れてしまいました。
しかし
その中でも依頼を受けた弁護士もいました。
タダ働きをするなんて、その弁護士は、よっぽど「人助け・誰かのために貢献したい」という感情があったからこそです。
確かにお金の力は社会的な感情を奪います。しかし、2番目の「好き」を強く持っていれば、流されることもないのも事実です。
会社が利益追求の場所であっても、個人で生活資金を稼ぐことに精一杯になっても、2番目の「好き(貢献)」があれば「好きなこと」を仕事にしても嫌いになりにくいのです。
ココがポイント
好きなことを仕事にしても嫌いにならないためには、相手のために何かしたい=「貢献」という気持ちが重要になる。単純に自分が「好き」という気持ちでは、ビジネスの世界・お金の力で、いとも簡単に「好き」という感情が壊れていく。
筆者余談
”自分”しかい「好き」という感情は永遠と続くものではありません。
例えばあるゲームが好きだったとします。そのゲームを、ずっとやり続けるのは難しいです。他のゲームもやりたいし、ゲーム以外だって・・・。
でも、誰かのために役立つことをしたいって気持ちは、普遍的で「ゲーム」という枠が壊れても、他で応用が利きます。
「やりがい」の重要性
好きなものを仕事にして嫌いになる人は「やりがい」も感じていないでしょう。「やりがい」があれば、嫌いになっているわけありません。
「2番目の好き(貢献)」は、本質的には「やりがい」とも結びついてます。
誰かのために何かをするのが「好き」=「貢献」⇒「やりがい」
まとめ
自分の「好きなもの」を「誰かのために」という気持ちと結びつけて「やりがい」を感じれたら、きっと好きなことを仕事にしても嫌いにならない。
だけど、結局は人による。