投票に行っても何も変わらない?
投票には行った方がいい?
選挙に行く意味があるのか、経済学の視点で分析します。
選挙に行く意味はあるのか?
働き盛りの人は、選挙に行く時間なんてないですよね?
特に若い人は・・
若い人
選挙なんて行っても意味なくね?
選挙に行く意味・意義があるのか?
この質問をすると、必ず2通りの答えが返ってきます。
悲観的な人
1票では何も変わらない!
熱い人
未来を変えるために投票しよう!
どちらも正しいように聞こえます。
でわ、実際にこの意見が正しいのかを考えてみましょう!
step
1自分が投票しても何変わらない
この意見は正しい?
- 自分が投票したところで何も変わらない。
- たかだか1票で何も変わらない。
皆さんもお分かりの通り、答えは簡単です。
「1票では何も変わらない」は正しい。
実際に1票で選挙がひっくり返るケースなんてほぼありません。
ブレグジット
2015年に行われたイギリスの国民投票(※)は接戦だったと言われています。
※イギリスがEU(ヨーロッパ連合)から離脱するかを決めるための国民投票。「イギリスの欧州連合離脱是非を問う国民投票」。
詳しく見てみると・・
実際に接戦だっと言われているイギリスの国民投票の結果はこんな感じでした。
- 離脱支持:17,410,742票 (約52%)
- 残留支持:16,141,241票 (約48%)
※投票率は約72% (投票結果のデータはWikipediaより)
48% 対 52%なら僅差ですが、票数の差で言えば約130万票差です。
ココがポイント
1票で選挙結果が変わることは基本的にない。なので、自分が選挙に行こうが関係ないのは事実です。
不思議なポイント
1票で選挙結果が変わらないと考えている人は多いですよね。実際に1票くらいでは結果は変わりません。
どうしてみんな選挙に行っているの?
経済学的に考えれば、自分が投票に行っても選挙結果が変わらないのに、選挙に行く意味なんてありません。
そして、多くの人が同じことを思っています。それでも、何故か、選挙の投票率は50%くらいはあります。
多くの人が、1票で選挙結果が変わらないと考えているのに、何故か2人に1人は選挙に行っています。
メディアでは「投票率が低い」などと言われていますが、普通に考えれば高すぎます。
推測
- 選挙への投票権はイベントみたいなものなので、とりあえず参加する
- 老人などは時間を持て余しているから定期的なイベントとして参加する
- 選挙に限っては損得を考えずに参加する人が多い?
- 利権団体に所属している?
どちらにせよ、あなたが選挙に行っても投票結果が変わる可能性は、天文学的な数字に変わりはありません。
ココに注意
ただし、あなたが人口100人程度の小さな村に住んでいるなら話は別です。その街の村長を決める場合、あなたの1票の重さがけた違いに上がります。これまでの話は、一般的に町・市に住んでいると仮定して話をしています。
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2若い人は投票率を上げるために参加するべき?
選挙では、年代ごとの投票率が分かります。特に50代60代と投票率が高くなっていることは有名ですよね。
東京都 都知事選の投票率
引用元:年代別推定投票率グラフ(東京都知事選挙)
酷いことに、18歳とかの方が20代よりも投票率が高い状況です。
ココがポイント
1票では選挙結果は変わらないという意見の反論として「特に若い年代の得票率を上げるために投票に行った方が良い」というものがあります。
これは本当でしょうか?
まず、政治家の利害としては、選挙に勝つことが重要事項に上がります。
したがって、選挙で票が取れるような施策を考えるのが普通です。なので現状は、投票率が高い年配の人向けの政策が多くなります。
さらに詳しく
政治家は選挙の票集めが重要なので、票が集まる世代向けの政策を考える。自分の世代向けの政策を考えてもらうように、選挙に行って投票率を上げた方が良いという意見です。
この意見自体は正しい
この意見は正しいです。しかし、問題が2つあります。
ココに注意
1つ目の問題は先ほどと同じです。1票くらいでは投票率は上がりません。
1票では投票率なんて上がりません。
なので、あなたが投票に行く意味はないと言えます。
もう1つの問題点
1票くらいでは投票率も変わらないので、選挙に行く必要はありません。
しかし、みんなが選挙に行かないとどうでしょうか?
注意ポイント
全員が合理的に考えて選挙に行かないと、先ほどの投票率のグラフのように20代の投票率だけ沈んだりします。
経済学では、この話と似ているものに 囚人のジレンマ というものがあります。
例えば
海などのみんなが使える資源を考えてみます。
漁獲量をみんなで守れば資源が枯渇することなく永続的に漁ができますが、自分だけがルールを守らないで乱獲すれば、自分は得をします。
でも全員がルールを破ったりすると、資源が枯渇してみんなが損をするという話です。
この「囚人のジレンマ」という話は、そのまま選挙の投票に当てはまります。
重要
自分1人で考えれば、明らかに投票しないほうが合理的です。
しかし、ある特定の年代の人が全員投票しないと、結果的にその年代の人全員が損をする結末を迎えます。
まとめ:「選挙に行く意味・意義」を考える
「選挙に行く意味があるのか?」という問題ですが、これまでの話をまとめて結論を出します。
ポイント①
基本的に選挙に行く意味はない。
なぜなら、1票で選挙結果が変わることはないからです。
ポイント②
投票率という観点で見ると、話が若干変わる。
選挙結果自体に影響を与えることは出来ないけど、政治家は、投票率が高い年代向けの政策を打ち出す。
なので、自分の年代の投票率を上げるために(特に若い年代は)選挙に行った方が良いが、自分1人が行ったところで投票率なんて変わらないため、選挙に行く意味はない。
ポイント③
ある年代(特に若い年代の人)全員が「選挙に行かない」という合理的な行動をすると、その年代だけ投票率が下がる。
すると、政治家は投票率が低い年代向けの政策をやらなくなる。
経済学で「囚人のジレンマ」として知られる現象が発生するため、選挙に行かなかった年代全員が損をする可能性が高まる。
まとめると
- 「選挙に行く意味はあるのか?」で考えた時、選挙結果を変える目的では選挙に行く意味がない。
- しかし、投票率という観点から考えると「囚人のジレンマ」に陥らないように選挙に行く意味がある。
ちなみに
この結論から、選挙に対して合理的な行動はこんな感じになります。
- とりあえず白紙で投票する。
選挙は「投票率を上げる」という観点でのみ意味があります。つまり、何も調べずに白紙で投票してしまえば目的が達成されます。
「選挙に意味があるか?」という話を感情論抜きで考えると、多少は意味があるという結論になりました。
白紙で投票するという超合理的な行動をするかは、あなたにお任せします・・。