実は、人は選ぶことが嫌いな生き物
- たくさんあっても逆に選べない
- 人はいつも通りの選択しかしない
- より、商品を売るための方法は?
心理学や行動経済学の分野で指摘されている「ジャムの法則・決定回避の法則」を簡単解説!
ビジネスで「売上が上がらない・・」と感じている人は要チェックです。
【ジャムの法則と決定回避】有名なジャムの話
ジャムの法則・決定回避の法則
選択肢がたくさんあり過ぎると、1つのものを選ぶことが出来なくなる心理現象のこと。
世間では、メニューがたくさんあったり、選択肢がたくさんある方が良いという認識が一般的です。
しかし
実際に購入するかは別問題です
何故なら、選択肢がたくさんあっても、選ぶことを避けるようになるのです。
ジャムの実験
「決定回避の法則」が話題になったのは、1997年のこと。
社会心理学者シーナ・アイエンガーが発表した「Choice and Its Discontents: A New Look at the Role of Choice in Intrinsic Motivation(選択と不満: 内発的動機付けにおける選択の役割の新しい見方)」という論文に紹介されたジャムの実験が注目されました。
2つのパターン
アメリカのスーパーマーケットでジャムの試食ブースを作り、どれくらいの人がジャムを買ってくれるのか?を検証しました。
- 24種類のジャムを並べる
- 6種類のジャムを並べる
まずは、試食率から見ていきます。
ブースに来て試食してくれた人の割合
- 24種類のジャムを並べる⇒ 60%
- 6種類のジャムを並べる⇒ 40%
実際に買ってくれた人
- 24種類のジャムを並べる⇒ 試食に来た3%
- 6種類のジャムを並べる⇒ 試食に来た30%
ポイント
選択肢が少ない方が、購入率(コンバージョン率)が高かった。
ちなみに
- ジャムの実験を行なったシーナ・アイエンガーは、選択肢は「5~9 (7±2)」が良いと言っています
これは、選択肢が多すぎると判断に迷いが生じて「逆に決定しなくなる」という心理現象が働くためです (決定回避の法則)。なので、ほどほどの選択肢数が良いと言われています。
NHKの「白熱教室」で放送されるなど、彼女の講義は有名です。
ここまで読むと「選択肢は少ない方が売上が上がる!」と思ってしまいそうになります。
ココに注意
ここまでの話は、選択肢が多すぎると購入しなくなる(決定回避)、という話です。しかし、そこに至るまでの集客率や試食率などは、選択肢が多い方が良い結果になります。
「ジャムの法則・決定回避」の勘違い
先ほどのジャムの例で考え見ましょう。
実際にジャムを買ってくれた人の割合を見てみます。
ブースに来て試食してくれた人の割合
- 24種類のジャムを並べる⇒ 60%
- 6種類のジャムを並べる⇒ 40%
実際に買ってくれた人
- 24種類のジャムを並べる⇒ 試食に来た3%
- 6種類のジャムを並べる⇒ 試食に来た30%
どちらも100人が試食ブースにやって来たとします。
- 24種類のジャム⇒ 60%⇒3%=1.8人
- 6種類のジャム⇒ 40%⇒30%=12人
24種類用意した場合は100人中1.8人が購入します。6種類用意した場合は12人が購入します。約6.7倍の差が出ます。
しかし
この話は、どちらも100人が試食ブースにやって来た、という前提があります。24種類用意した方が、たくさんの人が集められるなら話は変わってきます、
さらに詳しく
試食ブースに来る人が6.7倍以上増えるなら、24種類用意した方が売上は高くなります。
ポイント
- 商品・メニューが増える ⇒ 集客率は良い・購入率は悪い
- 商品・メニューを減らす⇒ 集客率は悪い・購入率は良い
商品やメニューを増やすか減らすかは、集客率と購入率の兼ね合いが重要です。
ジャムの法則・決定回避を上手く利用したマーケティング
結局、商品やメニューの数はどうしたら良いかな・・?
最後に「ジャムの法則・決定回避の法則」を参考に、ベストな方法を紹介します。
ネット業界の大手の手法
- メニューの豊富さ・便利さで集客
- おすすめ機能で購入率を高める
ネットフリックス(Netflix)の例
ネットフリックスは、場所や時間を選ばずに、映画ドラマを楽しめることを売りに、高い集客率を誇っています。
そして注目は、レコメンド(おすすめ)機能 です。過去に見た映画ドラマの傾向をもとに、ピンポイントでお勧め作品を紹介してくれます。
ポイント
便利さで集客・おすすめ機能で高い満足度を維持している。
ちなみに、ネットフリックス(Netflix)で視聴されている作品の80%以上は、おすすめ機能で紹介された作品です。
もしも
おすすめ機能が無かったら?
たくさんの映画ドラマから、作品を探すのが面倒になって何も見なくなります(決定回避)。
女性
何も見ないし、解約しよう。
おすすめ機能は、このような解約の流れを食い止めています。
選択肢を少なくピンポイントに与えることで、ユーザーが作品を視聴しやすくなる。
参考
ちなみに、Amazonなら「圧倒的な商品数・すぐに配達」を売りに「Amazonなら何でも買える」というイメージを売りに高い集客率を売りにしています。
もちろん、Amazonにもレコメンド(おすすめ)機能があります。
「選択肢を少なくする方が購入してくれる」というのは重要な視点です。
人を集める方法はそれぞれですが、人を集めた後は、ジャムの法則(決定回避の法則)を利用して、お勧め商品を絞るのが重要。