このページでは、脳科学の中でも普通の人は全然知らない「脳の仕組み」について書かれた本、そして、私が面白いと思った書籍を紹介しています。
なるべく1,000円~2,000円程度で購入できるものに厳選しています(1冊だけ例外あり)
なんちゃって脳科学のビジネス書は紹介していません。
①『21世紀の脳科学』
本書の概要
人間には社会性という能力があります。「相手とつながる」「相手の心を読む」「相手と調和する」そんな能力を脳科学(神経科学)で説明していくのが本書の特徴。
- 何も考えていない時に脳は社会性を身につける?
- 体の痛みと心の痛み、脳的には同じ?
- 公平に扱われると脳は快感を覚える?
- 脳は相手の心をどうやって読み取る?
- 共感と自閉症の世界
- トロイの木馬の自己
- 自分と社会
日本での出版が2015年で、最近の研究結果がまとまっているので入門書としてお勧めします。脳科学について何も知らなくても読みやすいです。
若干ですが、日本語訳が原文から離れています。
Amazonのレビューでも指摘されていますが、それが気になる人は、読むとストレスを感じるかもしれません。
ポイント
ただし、日本語訳が多少独特でも内容自体はとても面白いことに変わりはありません。「脳の仕組みを知りたい」そんな第一歩としてお勧めです。
「脳の仕組み」を知る第一歩になることは間違いありません。
②『脳の中の幽霊』
脳の仕組みについて書かれた本の中でも、名著中の名著です。
概要
- 幻の手足を感じる患者
- 幻の体から痛みを感じる患者
- 両親を偽物だと信じ込む患者
- 左側の注意力がなくなる患者
- 笑いが止まらなくなる患者
- 神聖な何かを感じる患者
数々の症例、患者との対話、検証実験がまとまっています。
ポイント
実際の症例をもとに、脳にどのような仕組みがあるのかを考える、推理小説のような本です。
人の脳は情報をどんな風に処理をしているのか?そんな不思議な世界のイメージを与えてくれます。
出版から20年経ちますが、いまだにAmazonのレビューにコメントを書く人が居ます。20年経っても内容が色あせることなく、脳のメカニズムを知ることが出来る名著だからでしょう。
そして、この本を読んだ後にレビューを書きたくなる気持ちは凄く分かります。
ちなみに
私的には、脚フェチや耳が性感帯の人がいる理由を考察している話が面白かったです。
「脳の仕組み」について調べている人なら必読です。読んで損はありません。
③『火星の人類学者』
火星の人類学者―脳神経科医と7人の奇妙な患者 (ハヤカワ文庫NF)
名著が続き申し訳ございません。この本も名著です。
アメリカでベストセラーになった脳科学の本。
概要
著者オリヴァー・サックスと7人の患者の物語です。概要を箇条書きするより、Amazonのレビューを読んだ方がイメージが湧きやすいかと思います。
特に表題の“火星の人類学者”と自称する自閉症の女性学者の話は、本当に心に響く内容で、人生に大切な事を考えさせられました。
愛情や感情がほとんど欠落しているという彼女は、しかし知性が非常に高く自分をコンピュータに近いと自覚しています。
そんな彼女が最後に博士に話す心の叫びは、私たち全ての人間にも共通した問題です。私は読んで泣きました。
(Amazonのレビューより)
何らかの事故に遭い、脳の一部の損傷により、見える世界がガラリと変わったら、われわれはどうなるだろう?
ある日突然世界が灰色になってしまった画家は、われわれとはまったく違う捕らえ方で世界を見ることによって、ついにはその世界で生きることを選択する。
人間は、失ったもの以上のものを得ようとするポテンシャルを持っている。
オリバー・サックスのあたたかいまなざしで描かれたこの本は、人間がもつ驚くべき奇跡をわれわれに示してくれる。
「健常」とは何か。
生きる上での人間の人生の価値とは何か。考えさせられます。
(Amazonのレビューより)
この本も出版から20年近くが経ちますが、いまだにAmazonのレビューにコメントが書かれています。グローバルで多様的な時代だからこそ、ぜひ読みたい内容。
脳の仕組みというよりも、特殊な脳を持つ患者たちと密着した著者がどんなことを感じたか?という内容です。
ちなみに
”目の見えない患者”の話を読んでから「いかに自分の価値観を他人へ強要していたのか」に気づかされました。この本を読んでよかったです。
「目の見えない人が、目が見えるようになれば素晴らしいこと」だとか、美化された価値観にすぎません。世の中、意外とそんな事ばかりです。
私たちが持っている価値観について考えさせられる物語
④『幻覚の脳科学』
幻覚の脳科学──見てしまう人びと (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
『火星の人類学者』と同じ著者です。
ちなみに著者「オリヴァー・サックス」は有名人で、他にも著書が沢山あります。⇒オリヴァー・サックスの著書一覧
概要
- シャルル・ボネ症候群
- 感覚遮断
- 幻聴
- においの幻覚
- パーキンソン症候群の錯覚
- 幻覚体験
- 目に見える片頭痛
- 譫妄(せんもう)
- 癲癇(てんかん)と「聖なる病」
目に見える幻覚から、耳で聞こえる幻覚(幻聴)、匂いの幻覚、感覚の幻覚。
幻覚という視点から、脳のメカニズムを解明していく。
患者との対話の中で、考えながら話を進めていくのは、著者 オリバー・サックスの特徴の1つで、この本も例外ではありません。
2012年に出版されおり、『脳の中の幽霊』でも登場した症例を、別の視点から考察しています。『脳の中の幽霊』を読んだ後に読んでみてください。
⑤『あなたの知らない脳 -意識は傍観者である』
あなたの知らない脳──意識は傍観者である (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
「脳の中の正体不明の支配者」
”意識”という、昔から議論されるテーマの最新版です。
概要
私とは何なのか?
多くの哲学者、科学者が取り組んできた自由意志の問題について、脳科学の視点から分かりやすく書かれている。
私たちは自分の意志で、物事を判断して、決定して、行動している。
そんな錯覚を持っています。
しかし、ほとんどの場面で、実は無意識的に、勝手に導かれているとしたら?「自由意志の脆弱性」についての入門書として手に取ってもらいたい内容です。
ただし
後半は、脳科学の知見を裁判に応用するなどの話が出てきます。そのへんの話は・・う~ん?って感じもあります。
また、脳の仕組みについて、全く知らないと、読んでいて理解できない場面があるかもしれません。『脳の中の幽霊』を読んでからとかの方が良いです。
人間の”意識”はどこから来るのか?脳科学で考える入門書として是非読んでおきたい1冊です。
⑥『カンデル神経科学』
脳科学の教科書的なものを探している人向け
本当は星5つにしたいけど、手軽に買える値段でもないので・・。
内容紹介にも書かれていますが、「脳科学」を包括的に解説する最も信頼できる教科書です。
ガチで事典的なものを探している方なら、ぜひ目を通してみてください。脳科学、神経科学について、ここまで網羅されているような書籍は他に存在しません。
金額が高いので、図書館などで一度目を通してください!購入はそれから・・。
⑦『もうひとつの脳』
もうひとつの脳 ニューロンを支配する陰の主役「グリア細胞」 (ブルーバックス)
この本を一言で表すと「新時代の幕開け」
概要
脳に関する単語で、何か知っているものはありますか?
- シナプス
- ニューロン
なんとなく聞いたことがある人も多いはずです。
それでは「グリア」は?
脳について、勉強している人は知っていても、一般には知られていません。この「グリア」に光を当てた新時代の脳科学。
本書が覆すニューロン中心の脳生理学は、文科系の私は今まで信じ切っていた。あるいは、その考えが脳を考える大前提だと思い込んでいた。
本書で、全く新しい扉が開かれつつあることを知り、身の回りの脳に関係する事、或はゲーム依存などの解明にも役立つであろうことを予感した。
行動経済学等に興味がある人も、少しアプローチを変えて本書を読むと、思考に厚みが増すのではないか。
(Amazonのレビューより)
このページで紹介した本を読み終えている人は、必ず読んだ方が良いです。
ポイント
これまでの本よりも難易度が高いですが、脳科学の新しいテーマになることは間違いありません。
この本の説明を的確に書いているAmazonのレビューがあったので紹介!
驚くほど豊かな修辞で、ニューロンがあり、シナプスがあり、そして今グリアが注目されているという脳神経科学の歴史をたどりつつ、神経生理学や脳神経医学のかなり深い部分までを紹介した書です。
「これを読めばグリアがわかる」と言う本ではなく、「グリアって面白いよ!」という本です。
実際に読むとグリアはともかく本文が圧倒的に面白く、さすがブルーバックス、良くこれを出すことを許した、と褒めるべきです。
問題は恐ろしいまでの厚さ。手に取るためのハードルが高すぎる。
遊びの部分が多くて(もちろん本書においてはグリアを語る上で重要なのですが)教科書的には読めません。そういうのを求める人は教科書を買うといいです。
最初のごく解説的な章からおもしろいのでまずそこを読んで、その後は病気とか母子関係とか老化とか思考とか記憶とか興味ある部分だけ読んでみるのがいいかもしれません。
そもそも脳にちょっと興味のあるひとが読めばさらにグリアに興味を持つのは間違いなし、全部読むことになるでしょう。
(Amazonのレビューより)
この本で私が感じたことが、全て書かれています。
正直、こんな専門書がレビューで星5つを連発しているのが凄いです。脳科学の次世代の主テーマとなる分野に光を当てた本として、評価されているのは間違いありません。
脳科学の新しい時代へ、
脳科学を先取りしたいなら必読