行動経済学

【ジャムの法則と決定回避】なぜ品揃えが良すぎると売上が下がるのか?

2019年8月15日

実は、人は選ぶことが嫌いな生き物

  • たくさんあっても逆に選べない
  • 人はいつも通りの選択しかしない
  • より、商品を売るための方法は?

心理学や行動経済学の分野で指摘されている「ジャムの法則決定回避の法則」を簡単解説!

ビジネスで「売上が上がらない・・」と感じている人は要チェックです。

【ジャムの法則と決定回避】有名なジャムの話

 

ジャムの法則・決定回避の法則

選択肢がたくさんあり過ぎると、1つのものを選ぶことが出来なくなる心理現象のこと。

 

世間では、メニューがたくさんあったり、選択肢がたくさんある方が良いという認識が一般的です。

 

しかし

実際に購入するかは別問題です

 

何故なら、選択肢がたくさんあっても、選ぶことを避けるようになるのです。

 

北国宗太郎
北国宗太郎
メニューはたくさんあった方が嬉しい
その考えは改めないといけないね。
牛さん
牛さん

 

ジャムの実験

 

「決定回避の法則」が話題になったのは、1997年のこと。

社会心理学者シーナ・アイエンガーが発表した「Choice and Its Discontents: A New Look at the Role of Choice in Intrinsic Motivation(選択と不満: 内発的動機付けにおける選択の役割の新しい見方)」という論文に紹介されたジャムの実験が注目されました。

 

2つのパターン

アメリカのスーパーマーケットでジャムの試食ブースを作り、どれくらいの人がジャムを買ってくれるのか?を検証しました。

  • 24種類のジャムを並べる
  • 6種類のジャムを並べる

まずは、試食率から見ていきます。

 

ブースに来て試食してくれた人の割合

  • 24種類のジャムを並べる⇒ 60%
  • 6種類のジャムを並べる⇒ 40%

 

北国宗太郎
北国宗太郎
ここまでは、イメージ通りだね。
じゃあ、実際に買ってくれた人の割合を見てみよう!
牛さん
牛さん

 

実際に買ってくれた人

  • 24種類のジャムを並べる⇒ 試食に来た3%
  • 6種類のジャムを並べる⇒ 試食に来た30%

 

ポイント

選択肢が少ない方が、購入率(コンバージョン率)が高かった

 

ちなみに

  • ジャムの実験を行なったシーナ・アイエンガーは、選択肢は「5~9 (7±2)」が良いと言っています

これは、選択肢が多すぎると判断に迷いが生じて「逆に決定しなくなる」という心理現象が働くためです (決定回避の法則)。なので、ほどほどの選択肢数が良いと言われています。

NHKの「白熱教室」で放送されるなど、彼女の講義は有名です。

 

ここまで読むと「選択肢は少ない方が売上が上がる!」と思ってしまいそうになります

 

北国宗太郎
北国宗太郎
そうじゃないの?
うん。話はそう簡単じゃないよ。
牛さん
牛さん

ココに注意

ここまでの話は、選択肢が多すぎると購入しなくなる(決定回避)、という話です。しかし、そこに至るまでの集客率や試食率などは、選択肢が多い方が良い結果になります

 

「ジャムの法則・決定回避」の勘違い

 

先ほどのジャムの例で考え見ましょう。

実際にジャムを買ってくれた人の割合を見てみます

 

ブースに来て試食してくれた人の割合

  • 24種類のジャムを並べる⇒ 60%
  • 6種類のジャムを並べる⇒ 40%

 

実際に買ってくれた人

  • 24種類のジャムを並べる⇒ 試食に来た3%
  • 6種類のジャムを並べる⇒ 試食に来た30%

 

どちらも100人が試食ブースにやって来たとします。

  • 24種類のジャム⇒ 60%⇒3%=1.8人
  • 6種類のジャム⇒ 40%⇒30%=12人

24種類用意した場合は100人中1.8人が購入します。6種類用意した場合は12人が購入します。約6.7倍の差が出ます

 

しかし

この話は、どちらも100人が試食ブースにやって来た、という前提があります。24種類用意した方が、たくさんの人が集められるなら話は変わってきます、

 

さらに詳しく

試食ブースに来る人が6.7倍以上増えるなら、24種類用意した方が売上は高くなります。

 

北国宗太郎
北国宗太郎
ジャムの法則は、集客の話はしていないってことだね
うん。だから単純に商品を減らすのは間違いだよ。
牛さん
牛さん

 

ポイント

  • 商品・メニューが増える ⇒ 集客率は良い・購入率は悪い
  • 商品・メニューを減らす⇒ 集客率は悪い・購入率は良い

 

商品やメニューを増やすか減らすかは、集客率と購入率の兼ね合いが重要です。

ジャムの法則・決定回避を上手く利用したマーケティング

 

結局、商品やメニューの数はどうしたら良いかな・・?

最後に「ジャムの法則・決定回避の法則」を参考に、ベストな方法を紹介します。

 

ネット業界の大手の手法

  • メニューの豊富さ・便利さで集客
  • おすすめ機能で購入率を高める

 

ネットフリックス(Netflix)の例

「映画やドラマをもっと自由に。いつでもキャンセルOK。」

 

ネットフリックスは、場所や時間を選ばずに、映画ドラマを楽しめることを売りに、高い集客率を誇っています

そして注目は、レコメンド(おすすめ)機能 です。過去に見た映画ドラマの傾向をもとに、ピンポイントでお勧め作品を紹介してくれます。

 

ポイント

便利さで集客・おすすめ機能で高い満足度を維持している

ちなみに、ネットフリックス(Netflix)で視聴されている作品の80%以上は、おすすめ機能で紹介された作品です。

 

もしも

おすすめ機能が無かったら?

たくさんの映画ドラマから、作品を探すのが面倒になって何も見なくなります(決定回避)。

 

女性

何も見ないし、解約しよう。

 

おすすめ機能は、このような解約の流れを食い止めています。

選択肢を少なくピンポイントに与えることで、ユーザーが作品を視聴しやすくなる。

 

参考

ちなみに、Amazonなら「圧倒的な商品数・すぐに配達」を売りに「Amazonなら何でも買える」というイメージを売りに高い集客率を売りにしています。

もちろん、Amazonにもレコメンド(おすすめ)機能があります。

 

北国宗太郎
北国宗太郎
商品数や便利さで集客して、おすすめ商品は限定するのが重要だね
そうだね。ジャムの法則は集客してから応用するのが大切だよ。
牛さん
牛さん

 

「選択肢を少なくする方が購入してくれる」というのは重要な視点です。

人を集める方法はそれぞれですが、人を集めた後は、ジャムの法則(決定回避の法則)を利用して、お勧め商品を絞るのが重要

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