プライドが邪魔をして失敗を認められない。
そのせいで失敗を繰り返すのは誰にでもある事。
しかし、どうしてそんなことが起こるのか?
行動経済学(行動ファイナンス)で登場する話で解説!
【気質効果とは?】私たちはプライドや見栄を考える生き物
気質効果とは
後悔を避けてプライドを重要視するような心理状況のこと。
そもそも気質(きしつ)とは?
集団が生まれつき持っている刺激などに反応する特徴のこと。人は生まれつき、後悔を避けてプライドを意識する生き物だと言える。
気質効果は、株式投資で個人投資家が勝てない理由を説明するために登場した行動経済学(行動ファイナンス)の理論です。
気質効果が引き起こる理由
気質効果が引き起こる原因は、次の2つの理由が考えれています。
- 後悔回避性(後悔回避バイアス)
- 損失回避性(プロスペクト理論)
人は後悔を避けたり、損失を避けたりするクセがある!
詳しくはこちらで!
後悔回避性(後悔回避バイアス)は言葉の通りです。人は後悔したくないので、後悔しないように行動する。
損失回避性(プロスペクト理論)については、押さえておきたいポイントがあるので紹介!
人は、得をするよりも、損をする苦痛の方が2倍以上感じやすい。
苦痛の方が2倍以上感じやすいため、人は苦痛を避けて行動するというわけです。
このように、人には後悔を避ける癖があります。更に、損を避けて行動するというのはプライドを維持することにも関係しているのです。
気質効果で個人投資家が負ける理由を説明できる
気質効果をさきほどの個人投資家が勝てない話に当てはめてみます!
株価が上がった場合
利益を取り逃して後悔したくないので直ぐに利益を確定して売ってしまいます。
株価が下がった場合
損失を嫌うのでいつまでも売らずに持っています (売却した後に株価が上がって後悔したくないという気持ちもあります)。
さらに詳しく
損失を嫌うというのは、負けているという事実を認めるのが嫌だったり、周りの目を気にしてしまうような心理(プライド)も働いています。
気質効果で、個人投資家は上のような行動をします。
ここから投資で負ける理由が見えてきます
まず、価格が上がったら直ぐに売るという方法では、利益が限りになく小さくなる。
相場というのは、ある程度は一定方向に動き続ける(トレンドがある)ため、株価が上昇して直ぐに売ってしまっては、大きな利益を逃しやすくなります。
次に、価格が下がっても売らずにいる方法では、損失が限りなく大きくなる。
相場というのは、ある程度は一定方向に動き続ける(トレンドがある)ため、株価が下落しても売らずにいると、損失がどんどん拡大してきます。
先ほど書いた通り、人は利益を得られる喜びより損失の苦痛を2倍以上感じます。その苦痛を避けようと下がった株は売れずにいるのです。
それ以外にもこんな事が言えます
株式投資の利益には税金がかかります。
この税金は、最終的には利益と損失の額をすべて相殺して決定されます。
ポイント
利益が出たとすぐに売っていると、その都度税金が確定してしまいますが、損失を嫌って売らずにいると、いつまでも損失が確定しないため相殺の対象になりません。
つまり、利益ばかり確定されていき税金を支払う額が拡大してきます。
こうして、気質効果により多くの投資家が負けてしまう事に繋がります。
世紀のトレーダーであるジェシー・リバモアもこんな事を言っています。
気質効果で説明できる他の例
例えば
あなたは高校生で試験勉強をしていたとします。試験まではあと1週間です。
科目は、国語・数学・英語・社会・理科です。
それぞれ何点取りそうかは次の通り!
- 国語:60点
- 数学:20点
- 英語:60点
- 社会:60点
- 理科:60点
テストまで数学の勉強をすれば半分の50点くらいは取れそうだという感触がありました。数学の勉強をしないで、他の科目(国・英・社・理)を勉強すればそれぞれ+10点になりそうでした。
※また、数学が20点では赤点です。数学の追試が必要になります。
あなたは数学を勉強しますか?それとも他の4教科の勉強をしますか?
この時
数学を勉強して他の科目と同じくらいの点数を取ろうと考えた人は、気質効果が働いています。
数学:20点→50点 (+30点)
他の科目:60点×4→70点×4 (+40点)
総合的に見れば、明らかに他の科目を勉強したほうが効率的です。
この時、数学を勉強すると考えた人は「20点だと赤点だから」などと考えたことでしょう。
注意ポイント
一般的に高校で赤点を取ったところで、追試などの救済措置があり退学になったりなどしません。
成績も、20点取ろうが50点だろが、5段階評価ならば下から3つ目までが限度です。明らかに苦手な数学以外の方が、点数だけではなく成績面も期待できるのではないでしょうか?
この例では、限られた時間でどう時間配分するのが良いのか?が重要になっています。多くの人は「数学の点数が他の科目よりも低すぎる(赤点)」というポイントに目が行ってしまいます。
あと1週間、数学を勉強して点数がしっかりと取れるならば、それでいいでしょう。
しかし、他の科目を勉強したほうが総合的に良くなるのに、点数が悪い数学を勉強したくなるのは気質効果の一種と言えます。
ココがポイント
追試を受けたりするのは恥ずかしいし嫌だ、そんな気持ちが働いています。これこそ気質効果そのものです。
特に
ビジネスの世界では見栄や体裁を整えるための意思決定がなされて失敗するなんて事は良くある話です。後悔・プライド・見栄などが邪魔をして、非合理な行動を取っていないのか?常に意識していきたいですね。