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どさんこ北国の経済教室

行動経済学

「プロスペクト理論」とは私たちの心を表している?分かりやすく解説!

投稿日:2018年8月21日 更新日:

幸せは長くは続かないし、お金を失うのは嫌、隣の芝生は葵

私たちの心の中はどうなっているんだろう・・。

そんな不思議な心の様子をまとめた理論があるんです。

それが、行動経済学では超有名な「プロスペクト理論」なのです。

プロスペクト理論とは?

私たちがリスクをどのように感じて、都度どのような選択肢を取りやすくなるのかを理論化したもの

 

プロスペクト理論は行動経済学の代表的な理論です!

プロスペクト理論は、1979年にダニエル・カーネマンとエイモス・トベルスキーが発表して、2002年にはノーベル経済学賞を受賞しました。

 

行動経済学の理論を集大成したような存在

 

まずは、そんなプロスペクト理論の概要を「重要なポイントを5つ」に絞って解説していきます!

 

プロスペクト理論の概要

 

プロスペクト理論の概要!

  • 人は得をするよりも、損する方に敏感に反応する。
  • 人は得られる利益は確実に得たいが、確実な損失は避けたがる(損失回避)
  • 損をしている場面だと、リスクのある行動を取りやすくなる
  • 人の喜びや悲しみは、参照点に依存する(相対評価)。
  • 人の喜び・悲しみは長くは続かない(慣れる)。

 

北国宗太郎
牛さん、概要を順番に説明しろください・・
しょうがないな~、がっつり説明していくよ!
牛さん

 

① 損失回避性 (損失忌避)

人は「得をするよりも損したくない気持ちの方が強い」(利得よりも損失に敏感)

 

この損失回避性(損失忌避)は、プロスペクト理論の中で超重要なポイントです!

 

例えば

皆さんが50万円を獲得する喜びより、50万円を失くす方が苦痛!

 

ちなみに、プロスペクト理論を考えたダニエル・カーネマン先生は「得をするより、損をする方が2倍以上苦痛を感じる」と考えています。

つまり、100万円を失った苦痛と同じ程度の喜びを感じたければ、200万円以上得しないといけません!

 

さて、どうして人は損が嫌いなのでしょうか?

この話は次の心理学から説明が出来ます!

 

(1) 保有効果(授かり効果)

自分が持っているものに高い価値を感じ、捨てることに抵抗を感じる心理現象のこと。

人は何かを得るよりも、失う事(手放すこと)に苦痛を感じます。

つまり、失う事=損することなので、私たちは苦痛を避けようと損する事を嫌います。

 

(2) 現状維持バイアス

変化を嫌い、現状を維持したくなる心理現象のこと。

現状を変えると、今までの環境(状況)を手放すことになります。

上で紹介している保有効果とも合わさり、今のままでいいと思う気持ちが強まるのです。

 

人が「持っているものを手放したくない」「今のままで良い」と考えるのは当たり前のことです。

動物ならエサを失えば餓死、危険なことをしても死ぬ可能性もあります。

 

私たち人間も動物なので、こうした本能みたいな性質があるのは当たり前なのです!

 

ココがポイント

保有効果と現状維持バイアスの相乗効果により、私たちには「損失回避」という特徴が形成されている。

 

 

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② 曖昧回避性 (不確実性回避)

人は「曖昧なものを選びたくない気持ちが強い」(確実に○○のような方が安心する)

 

この話に関係する論文が1961年に発表されています。

有名な実験!

エルズバークの壺(つぼ)

目の前に壺が2つあります。

壺A:壺の中には赤玉50個・白玉50個が入っています。
壺B:壺の中には赤玉と白玉が入っていますが、数はわかりません。

赤玉を引けば100ドルをゲットできる時、どちらの壺を選びますか?

 

ここに注目!

どちらの壺を選んでも赤い玉を引く確率は変わりません。

※壺Bは、赤玉ばかりかもしれませんし、白玉ばかりかもしれません。つまり、どちらも確率50%です。

 

しかし、多くの人は壺Aを選びます。

なんとなく分かるかと思いますが、壺Bは何だか嫌な感じがします。なので最初から50%と分かっている壺Aの方が好まれるのです。

⇒ この実験から、私たちは曖昧なものに不安を感じたりするため、曖昧さを避ける傾向にある事が分かりました

 

さらに詳しく

のちほど紹介しますが、この特徴は「アレのパラドックス」で期待値が低い宝くじを選択する理由を説明出来ます。

 

選択肢A:確実に1,000ドルがもらえる。
選択肢B:10%の確率で2,500ドル・89%で1,000ドル・1%は賞金なし。

 

上の宝くじでは選択肢Bの方が期待値が高いですが、多くの人が選択肢Aを選びます

 

ココがポイント

つまり期待値よりも「確実に得られる利益」を私たちが好んでいることが分かります。

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③ 状況によりリスクの許容の仕方が変わる

得をしている状態のときは、リスクを避ける(リスク回避的)
損をしている状態のときは、リスクを無視する(リスク愛好的)

 

分かりやすい例

ギャンブルで負けていると一発逆転を狙いたくなる気持ち!

他には、株式でちょっとだけ利益が出ると、すぐに利確してしまう気持ち。

 

ダニエル・カーネマンの心理学の実験

いま100万円の借金があり、次にの2つの選択肢がありました。

選択肢A:無条件で借金を50万円に減額!
選択肢B:コインを投げて表が出たら借金をチャラに!裏が出たら変わらない。

 

ちなみに期待値はどちらも同じ50万円です!

すると、圧倒的に選択肢Bの方が選ばれる確率が高くなりました

 

自分が負けていたり、損している状況だとリスクのある選択をしてしまうのには理由があります。

 

ココがポイント

先ほど紹介した「人は損するのが嫌い(損失回避性)」という特徴から、負けているような状況では、リスクが高くても、とにかく損失がゼロになるような大胆な行動を取りたがるのです。

 

④ 参照点依存性

人々は頭の中で定めた一定の基準、または現状を基準として損得を考える。(人は絶対値ではなく、相対的な変化率に反応する)

よくわかる例

100万円から80万円に減った時よりも、20万円から0円になったときの方が絶望感があります。

同じ20万円なのに感じ方が変わる、それが「参照点依存」というわけです。

 

⑤ 人の感覚は段々と慣れていく(感応度逓減性)

同じ出来事でも、繰り返し起こると徐々に何も感じなくなる現象。

 

お金の話で言うと、金額の大きさが2倍になっても人が感じる価値は2倍にはなりません (価値の大きさは金額に比例しない)。

 

北国宗太郎
100万円が200万円になっても嬉しさは2倍にならないの?
うん。だいたい嬉しさは1.5~1.6倍になるよ。
牛さん

 

つまり、持っている100万円が200万円になっても、150万~160万円くらいの価値(喜び)しか感じないと言えます。

 

お金以外でもイメージしやすい例はたくさんあります!

  • 恋人と会うたびに喜びが薄れていく
  • 新品のスマホにしたけど、段々と嬉しさが消えていく

 

少し詳しく・・

喉が渇いている時に自動販売機で飲み物を買って1口飲むと、とても満足します。

2口目は、満足しますが、1口目よりも嬉しさは減っています

飲み干すくらいのときは、最初の1口目の感動よりも薄いです。

 

このように段々と喜びや悲しみに慣れていく様子をグラフで書くと、こんな感じになります。

(Wikipediaより)

 

最初の方が急カーブで、後の方はなだらかに描くことが出来ます。

この関数は「価値関数」と言い、プロスペクト理論で登場した新しい考え方です。

 

これまでに登場したプロスペクト理論の内容を上手く描いているので「プロスペクト理論と言えば上のグラフ」です。

学校で行動経済学を勉強している人は是非覚えておきましょう!

  • 最初の損得で一気にグラフが上下に移動
  • 段々とカーブが緩くなる(感応度逓減性)
  • 下側の方がカーブが多きい(損の方が強く反応する)
  • どこを基準にするかで感じ方が変わる(参照点依存)

 

プロスペクト理論がどうして誕生したのか?

実は、いままでの経済学では「人は自分の利益が最大になるように行動する (期待効用理論)」と考えていました。

 

しかし・・!

それでは説明ができない出来事(アノマリー)が発生するなど、上の考え方では私たちの行動を説明しきれいていないことが指摘され始まます。

 

確認!

プロスペクト理論についてしっかりと理解する上でも、この理論が注目される背景を知っておく事が重要です!

 

という事で、今までの経済学では説明がつかなかった出来事を2つ紹介します。

じつは、プロスペクト理論を使うと2つの問題をあっさりと説明できるので考えてみてね!

 

① アレのパラドックス

宝くじで引き起った問題

【1回目のくじ】
選択肢A:確実に1,000ドルがもらえる。
選択肢B:10%の確率で2,500ドル・89%で1,000ドル・1%は賞金なし。

【2回目のくじ】
オプションA:11%の確率で1,000ドル・89%は賞金なし。
オプションB:10%の確率で2,500ドル・90%は賞金なし。

結果

ほとんどの場合、1回目のくじでは選択肢A、2回目のくじでは選択肢Bが選ばれる。

 

  • 1回目のくじでは「期待値の低い方を選択」
  • 2回目のくじでは「期待値が高い方を選択」

ここに注目!

「人は自分の利益が最大になるように行動する (期待効用理論)」という理論では、1回目の結果が説明できない

 

北国宗太郎
この問題は、プロスペクト理論の特徴の②③で説明できるね!

 

② 効率的市場仮説への批判

「株式市場は、全ての情報を織り込んでおり完ぺきに動いている」

金融市場ではこうした考えがあったんですが、おかしなことが沢山ありました。

その1つが、バブルや大恐慌などの発生確率的は限りなく低いはずなのに、何故が定期的に発生している

 

北国宗太郎
人は損が嫌いだったり、状況によってリスクの感じ方が変わるからだね!
プロスペクト理論を知っていれば、株式市場の動きの波があることを実感できるね。
牛さん

 

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投資や恋愛をプロスペクト理論で考えてみる

株式投資の勝つための鉄則をご存知でしょうか?

損が明らかな時には損切り、利益が見込める時には利喰わないのが鉄則だ。

 

世紀の相場師も言っていますが、損切りは素早く、利食いは急がない

これが株式投資の鉄則です。

 

ココに注意

実は株式投資で勝つ秘訣は、プロスペクト理論とは真逆のことを言っています。

 

プロスペクト理論のポイントにある

「人は得られる利益は確実に得たいが、確実な損失は避けたがる(損失回避)」

このポイントは「損切りは素早く、利食いは急がない」という株式の鉄則とは真逆です。

  • 得られる利益は確実に得たい=利食いは早くなる傾向
  • 確実な損失は避けたがる=損切りは遅くなる傾向

こうして、あなたは投資やFXで負けるのです

 

ココがポイント

投資やトレードで勝つためには、私たちの行動原理とは真逆のことが要求されているわけです。

 

ちなみに恋愛でも同じようなことが言えます!

  1. 付き合った当初は、嬉しいことばかり。
  2. 段々と嬉しさも感じなくなるように・・。
  3. でも、恋人と過ごす時間が長くなると分かれるのも気が引ける・・。
  4. ダラダラと付き合いが続きます。

まさしく、プロスペクト理論です。

「感応度逓減性」「損失回避性」

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経済学の父 アダム・スミスの言葉

Adam Smith (16 June 1723 - 17 July 1790 ) was a Scottish economist, philosopher and author as well as a moral philosopher, a pioneer of political economy.
Original edition from my own archives
Source : Illustriertes Konversations Lexikon 1878

「我々が、良い境遇から悪い境遇に転落するときには、悪い境遇から良い境遇へと上昇するときに常に享受するよりも多くの受難を感じる。」

 

「経済学の祖」と言われているアダム・スミスが、18世紀にプロスペクト理論について言及していたことはあまり知られていない事実です。

 

プロスペクト理論を日常生活の問題に当てはめてみよう!

例えば!

⇒ どうして恋愛で失敗するの?

⇒ どうして片付けが出来ないの?

⇒ 株式投資でナンピン(難平)が失敗する理由は?

 

北国宗太郎
要チェックだ!

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