「やらない後悔より、やる後悔」
何もしないくらいなら、やって後悔した方が良い!
この考えが行動経済学的に正しい理由を解説していきます!
行動非行動の法則(原則)とは?
「行動して後悔する」のと「何もしないで後悔する」のでは、後者(何もしないで後悔する)の方が後悔が大きくなる傾向にある。
ということで、次の例を見ていきましょう!
例えば
- 近くのお店に買い物に来たとします
すると、気になる商品がありました(スマホでも服でもなんでもOK)。
でも値段が微妙に高い!
買うか迷って、結局買わずに家に帰りました。次の日にお店に行くとその商品は売り切れていました。あなたは「買えばよかった!」と思うのでした・・・。
この場合では「やらない後悔=買わない後悔」「やる後悔=買う後悔」と置き換えていますが、それぞれを見ていきましょう!
「やる後悔」は損失回避性・保有効果が重要?
まず
買っていた場合(やる後悔)のことを考えてみます。
買い物をしてすぐは、高い買い物をしてしまったという後悔に襲われます。
さらに詳しく
短期的には、高い金銭を支払ったという事実に注意が向いている状態です。
ここで働いている心理状態は「損失回避性(損失忌避)」です。
「損失回避性」とは?
人は「得をするよりも損したくない気持ちの方が強い」(利得よりも損失に敏感)
高い金銭を支払ったという事実(損している)状態に目が向いていることから、それに対して苦痛を感じて後悔の念を感じている、というのが初期の心理状態です。
次に
時間が経過した後の話をしていきます。
時間が経つと、購入したものに対して次第に愛着が湧きはじめますよね?
さらに詳しく
中長期的には、購入した商品自体に注意が向き始めます。
ここで働いている心理状態は「保有効果」です。
「保有効果」とは?
自分が所有しているモノを、普通よりも高い価値があると思ってしまう心理現象のこと。
購入した商品に対して愛着が湧き始めて、少し高い買い物だったけど良かった、と思い始めるのが中長期の心理状態です。
ココがポイント
購入当初は、金銭を支払ったという事実に目がいくため後悔の念が強い (損失回避性)。しかし、次第に購入した商品への愛着から満足度が上昇し始める (保有効果)。
こうして、やる後悔(買う後悔)は、次第に後悔の気持ちが減っていき、満足度が高くなる傾向にあります。
「やらない後悔」は永遠と残る
それでは、買わなかった場合(やらない後悔)を考えてみます。
買わなかった場合の心の変化はありません。
何もしなかったという事実だけが永遠と残ります。
その結果、私たちは「何もしなかった」という事実をそのまま評価します。
ココがポイント
やらない後悔は、心理状態に変化がないため後悔の念をずっと感じることになる。
つまり
「やらない後悔」の問題点は、何も得られないことです。
実際に行動を起こすことで「”何か”を得る」ことが出来るなら、保有効果が働くため、やる後悔の方が心の満足度が高まります。
これまでの話から、基本的に「やる後悔」の方が最終的に保有効果が働くので、長期的には満足度が高くなる傾向にあるという結論が言えます。
しかし、状況によっては「やる後悔」の方が良いと妄信して失敗するケースもあります。
次は「やらない後悔」の方が良いケースを考えます!
「やる後悔」を妄信してはいけない理由
「やる後悔」が最終的に好まれるのは「保有効果」の影響を受けるためです。
ココに注意
なので「やる後悔」と言って行動しても、最終的に「保有効果」が働かないような場合は、さっきまでの話には当てはまりません。
具体的には・・?
- 全財産を投げ打って挑戦した起業
- 全く脈もないのに好きな人に告白
ちなみに、上の例では失敗することを前提に話していきます。成功すれば後悔もくそもありませんから・・。
まずは起業の例から見ていきます
全財産を投げ打って起業して失敗した場合、手元には何も残りません。
むしろ借金が残る場合も考えれらえます。
確認!
この話をすると「貴重な経験が残る」という意見があります。
この意見は正しいですが、一つ問題があります。
「この貴重な経験」は次に生かすことが出来なければ、後悔しか残りません。
次に生かしている人は、きっと唯意義な人生を送っている事でしょうから、失敗した経験を活かすことが出来なかったケースを考えてみます。
失敗して再起不能になった場合、手元に何も残らないため「保有効果」が働く余地がありません。
すると「やらなければ良かった・・・・」と強く思う事でしょう。
ポイント
こうして、保有効果が働かないような場合は「やらない後悔」の方が良かったと言えます。
次に脈が全くないのに好きな相手に告白した場合です!
こちらの場合、先ほどと同様に告白して失敗すると想定して話していきます。
こちらも好きな相手と結ばれることもありませんから、保有効果が働きません。
手元に何も残らないだけではなく、更に相手からの拒否(拒絶)を受けるため、ただただ心のダメージを負います。
これも「やらない後悔」の方が良かったと言えるかもしれません。
起業の例の話で書きましたが、失敗の経験を活かすことが出来なければ、「ただ失敗して後悔した」という状態になるので、頑張って次に活かしたいところです。
また、保有効果が働かないケースとして、こんなことも考えれられます。
- 買ったものが想像以上に粗悪品だった
- 結婚相手が想像以上に酷い人だった
ココに注意
いくら自分が手にしたものに価値を見出すクセ(保有効果)があっても、それ以上に酷いモノ・人ならば、関係ありません。
こうした場合も「買わなければ良かった・・」「結婚しなければ良かった・・・」という風になります。
繰り返しになりますが「保有効果」で満足度が上がっていかないようなケースでは「やらない後悔」の方が良かったりします。
- 買ったものが想像以上に粗悪品だった
- 結婚相手が想像以上に酷い人だった
この例では、満足度が上がるどころか、下がっていくため、明らかに「やらない後悔」を選ぶべきだったことになります。
最後に私なりの「やらない後悔・やる後悔」のまとめです!
- 保有効果が働かないような場合は、やる後悔を妄信してはいけない。
- 仮に失敗しても、その経験を次に活かせないようなら「やらなければ良かった・・」と後悔するのがオチ。
ココがポイント
失敗したら再起不能になるような挑戦は、よ~く考えるべき。失敗を次に活かせなければ、何もしない方(やらない後悔の方)が良かったことになる!
最後に「トム・ソーヤーの冒険」の著者であるマーク・トウェインのお言葉でお終いです。
Twenty years from now you will be more disappointed by the things you didn't do than by the ones you did do.
「20年たてば、したことよりもしなかったことを嘆くようになる」