成長株の巨匠「フィリップ・フィッシャー」
投資家としてのウォーレン・バフェットの15%は、フィリップ・フィッシャーから出来上がっていると言われています。
投資した株式には100倍株がたくさん!
なぜ、彼は株式投資で普通ではない利益を上げることが出来たのか?彼の投資手法と投資哲学を見ていきましょう!
フィリップ・フィッシャーの経歴と有名な話
(Wikipediaより)
【フィリップ・フィッシャー】世界恐慌(1929年)などが引き起こる中、投資家としてのキャリアを歩み莫大な富を築き上げたレジェンド。成長株投資の巨匠。
1928年にスタンフォード大学院ビジネススクールを卒業後、証券アナリストとして働くために、サンフランシスコにあるロンドン銀行に就職します。
その後
1931年(24歳)に独立して自身の資金管理会社であるFisher&Co.を設立します。彼は1999年の91歳での退職まで会社を率いて、顧客に莫大な利益をもたらしたと言われています。
彼は、公の前に出てくるタイプではなかったため、しばらくの間、投資家として名前を知られることはありませんでした。
ベストセラー本を書く
1958年に出版した”Common Stocks and Uncommon Profits”「株式投資で普通ではない利益を得る」が彼の名前を広く伝えることになります。(ちなみに本の邦題は直訳ではなく意訳になっています)。
有名な話
フィリップフィッシャーの有名な投資事例としては、1955年にラジオや携帯電話の製造会社である「Motorola(モトローラ)」の株式を購入しており、彼が死ぬまで保有し続けたことは有名です。
- コーニング (特殊ガラス)
- ダウ・ケミカル (化学品メーカー)
- テキサス・インスツルメンツ (半導体メーカー)
アメリカの有名企業を買っており、数十倍~数百倍の株式が連なっています。
彼が購入した株式が軒並み数十倍~数百倍になっていることから、彼への注目が高まったのです。
(Wikipediaより)
ポイント
バフェットがベンジャミン・グレアムを師として仰いでいた事は有名ですが、バフェットがもう1人だけ影響を受けた人物がいます。それが「フィリップ・フィッシャー」です。
なんと、バフェットの85%が師であるグレアムから出来ている一方で、残りの15%はフィリップ・フィッシャーから出来ていると言っています。
2018年の株主総会
バークシャー・ハサウェイの年次株主総会で、ウォーレン・バフェットは「フィリップ・フィッシャー」について言及しています。
フィッシャーの”Common Stocks and Uncommon Profits”「株式投資で普通ではない利益を得る」を非常に良い本だと言っています。
また、バフェットが自身のの投資スタイルの15%くらいはフィリップ・フィッシャーから作られていると説明したのもこの時です。
そして、彼の「うわさや周りの評判」を用いた情報収集方法について、まだバークシャー・ハサウェイでも利用していると述べていました。
「周辺情報活用法(ゴシップアプローチ)」とは?
株式を購入するかを判断する際には、財務情報などを見るが一般的になっています。
しかし、フィリップ・フィッシャーは、そこから更に「周辺情報活用法(ゴシップアプローチ)」で情報を集めます。
さらに詳しく
簡単に言えば、サービスを使っている顧客の様子を観察したり、同じ業界の他社の動向、取引先からの評判などあらゆる口コミも含めて、判断するというものです。
1930年代に財務資料以外のアプローチで成功を収めた投資家というのは少ないため、有名な手法となっています。
バフェットの師であるグレアムが、財務資料を中心に企業分析をする中で、こうしたアプローチは正反対とも言えます。
余談
バフェットが「フィリップ・フィッシャー」から学ぶ必要が出てきたのは、当時の株式市場の状況から影響を受けています。
バフェットが一線で活躍をしている途中、アメリカの株式市場は熱狂に包まれるときがあり、財務資料を中心に分析をしていたバフェットが投資できるような企業はなくなってしまったのです。
その中で、次なる投資先を見つけるには、新しいアプローチが必要だったわけだとも言えます。そうして巡り合ったのがフィリップフィッシャーなのです。
有名な話
その後、バフェットが「周辺情報活用法(ゴシップアプローチ)」を用いて、投資の最終判断をした有名な事例があります。
1960年代に発生したサラダオイル事件で、アメックス株が暴落します。
当時、アメリカン・エキスプレス社がサラダオイルを担保に6,000万ドルを融資していた企業がありました。しかし、その企業が破綻、担保のサラダオイルを回収しようとしたのですが、そもそもサラダオイルを持っていなかったという事件です。
バフェットは、この暴落したアメックス株に目を付けます。
アメックスのブランドが本当に失墜したのかを確認することにしました。その時に用いた方法こそ「周辺情報活用法(ゴシップアプローチ)」です。
ココがポイント
お店などで、消費者がどんな決済方法を使っているのかを自身の目で確認して周ります。そして、一般の人は事件の影響感じさせないほど、ふつうにアメックスのクレジットカードを使っていることが分かり、資産の40%をアメックス株に突っ込みます。
この投資事例は、バフェットがコカ・コーラの株式を購入した時と同様に、有名な話となっています。
フィリップ・フィッシャーがこの「周辺情報活用法(ゴシップアプローチ)」を1930年代から用いていたのをバフェットが知って、自分に応用したわけです。
「周辺情報活用法(ゴシップアプローチ)」とは別に、フィリップ・フィッシャーが投資判断をするかの基準にしているルールがあるので紹介します。
フィリップ・フィッシャーの15の質問(ポイント)
- その企業は、少なくとも数年は収益が増え続けることを可能にする、十分な市場可能性のある製品やサービスをもっているか?
- 現在売れている製品ラインの潜在的な需要がほとんどなくなったときに、経営陣には会社の収益をさらに伸ばすような製品やプロセスを開発・発展し続ける決意があるか?
- 企業の規模と比べて、どのくらい企業のリサーチと開発努力が効果的であるか?
- その企業は、平均以上の販売組織があるか?
- その企業には、十分な利幅があるか?
- 利幅を改善、または維持するために何をしているか?
- その企業には、労働者・従業員との関係に特筆すべき点があるか?
- その企業には、企業幹部との関係に特筆すべき点があるか?
- その企業は、マネージメントに柔軟性があるか?
- 企業の費用分析と会計管理は、どのくらいきちんとしているか?
- 競争相手と比べて、どのぐらいその企業が突出しているかを知る手がかりとなるような、その分野特有の評価できる特徴がなにかあるか?
- 利益という点で、短期間および長期間の見通しがその企業にあるか?
- 予測可能な未来に、企業の成長が著しいために自己資金調達が行われ、その結果株式の総数が増大し、現在の株主が予期していた利益が、ほとんど相殺されてしまうような事態になりそうか?
- その企業の経営陣は、物事がうまくいっている時には、さまざまな出来事を投資家にどんどん話すのに、問題や損失が生じると、だんまりを決め込んでしまうようなことがあるか?
- その企業は、完璧な経営体制を敷いているか?
(引用元https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%97%E3%83%BB%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%BC)
彼は、この15のルールを使って、その企業が投資に値するのかを判断しています。
損切りのタイミングについて
- 【自分が間違っていた時】投資した企業が自分が当初考えていた基準を満たしていなかったと気づいた時。
- 【企業が基準を満たさなくなった時】その企業の成長が当初より鈍くなった時。成長出来なくなった時。
- 【今より利益が出そうな投資機会に出会った時】まず何かを売らなければそれに投資できない時。
ココがポイント
15のルールを見ると分かるのですが、財務以外にその企業に勤める人の様子、意欲なども含まれているのが特徴的です。
いつ起きるかを予想することは、何が起きるかを予想することより何倍も難しい
「いつ起きるかを予想することは、何が起きるかを予想することより何倍も難しい。」
この言葉はフィリップ・フィッシャーのもので「いつ起きるかを考えるより、その起きる確率や可能性を考えた方がいい」というのが彼の結論です。
そこで、企業の今後の成長性に重点を置いた投資基準を積み上げました。その中で、企業の成長性を図るのに使っていたのが先ほどの「15の質問」なのです。
いつ価格が上がるのか分からない、でも成長性のある株式を保有していれば将来的に利益が得られる。
彼が、成長株(グロース株)で軒並みならない利益を生み出した裏にはこうした哲学もあるわけですね!
さらに詳しく
ちなみに、フィリップ・フィッシャーは、株価が100倍以上になる企業を見つけられれば1回の投資で億万長者を目指せると考えており、そのための15の質問(ルール)と投資哲学なのかもしれません。
よく理解できない並みの企業をたくさん保有するより、よく理解している少数の優れた企業を保有するほうを選ぶ。
投資の成功は、売上高と利益の両方で平均を上回る成長を数年間にわたって維持できる企業を見つけられるかどうかにかかっている。
短期的な結果に惑わされてはいけない。
成功を維持するには、技量とともに正しい原則を一貫して使い続けることが必要である。
素晴らしい銘柄を見つけることはきわめて難しい。難しくなければ誰でも持っているだろう。
ベストの銘柄を持つか、それともまったく持たないか、私は自分をよく知っていた。
私は企業についてよく知れば知るほど、それだけよく報われることができた。
the stock market is filled with individuals who know the price of everything, but the value of nothing.
株式市場には、株式価格は知っているが、株式の本質的な価値を知らない投資家で溢れている。