もっと利益が出ると思ったのに・・。
売るタイミングを見誤った・・。
投資やFXで失敗する人の心のクセを行動経済学で解明!
投資・FXで負けるのは何故か?
株式投資やFXをしている人は、誰もがこの道を通ります。
投資家
よし、今が買いだ!・・・なんで下がるんだ・・
投資家
よし、今が売り時!・・なんで上がるの・・
読みが外れて慌てたり、身動きが取れずに失敗するのは王道
ポイント
つまるところ、株式投資・FXで負ける原因は読みなどが外れた後に、上手く対処できなかったからです。
そもそも、株式投資・FXで完ぺきな予想なんて不可能です。
自分が想定していた状況にならなかった時にどう対処するか?が投資・FXで成否の分かれ道になります。
世紀の相場師と呼ばれる ジェシー・リバモア は、投資でミスったら何をすべきか?をこう言いました。
誤った時にすべきことはただ1つ、改めることだ。
改めることの難しさ
- 株式投資・FXの神髄
「損切りは素早く、利食いは急がない」
- 想定と違って価格が下がってきたら、すぐに売って損を確定させる
- 価格が上がっていたら、すぐには売らずに粘る
自分の想定とは違う値動きを見せたら、改めること。
そして、鉄則の通りに投資すれば良いわけです。
しかし
人は、何故かこれが出来ません。そんな株式投資・FXの「失敗あるある」がどうして後を絶たないのか。
経済学の分野では、これに関連する研究が行われてきました。
そして、その理由を説明できる理論が誕生しました。
それがプロスペクト理論です。
プロスペクト理論などを確立したダニエル・カーネマン教授らは、2002年にノーベル経済学賞を受賞しました。
プロスペクト理論とは?
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【プロスペクト理論を分かりやすく】行動経済学で投資や恋愛で失敗する理由を知ろう!
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ここでは株式投資・FXと関係するプロスペクト理論のポイントに焦点を当てて紹介します。
大きなポイントは3つあります。
- 人は損することが嫌い
- 人は確実なものが好き
- 人の感覚は慣れていく
人は損することが苦痛に感じる
プロスペクト理論では「人は得をするより、損をする方が2倍以上苦痛を感じる」ことが分かっています。
グラフで描くとこんな感じになります。
グラフ
「100万円を得た時の喜び」と「100万円を失った時の苦痛」では、100万円を失った時の方が強く苦痛を感じます。
「損切りは素早く、利食いは急がない」
- 想定と違って価格が下がってきたら、すぐに売って損を確定させる
投資で重要になるポイントの1つが、想定していた価格よりも下落が続くようだったら、売却して損を確定させること(損切り)です。
しかし、プロスペクト理論により「投資の鉄則」を守ることが出来ない理由が分かります。
人は損することが嫌いな生き物です (この性質を 損失回避性 と言います)。この心理現象により、損切りすることを躊躇(ためら)ってしまうのです。
損切りで失敗しないために
良い投資家は、事前に損切りするラインを決めてから参戦します。人によりますが「買った価格より10%下がった時点で、売却して損を確定させる」といったルールを自分で作っている人が多いです。
人は確実なものが好き
人は「曖昧なものを選びたくない気持ちが強い」(確実に○○のような方が安心する)
この話が分かる有名な「エルズバークの壺(つぼ)」という実験。
実験
- 目の前に壺が2つあります。
壺A:赤玉50個・白玉50個が入っています。
壺B:赤玉と白玉が入っていますが、数はわかりません。
赤玉を引けば100ドルをゲットできる時、どちらの壺を選びますか?
確率はどちらも50%ですが、なぜか圧倒的にAの壺が選ばれます。
人は曖昧なものが嫌いなのです。そして、これも投資の鉄則を守れない原因に繋がります。
「損切りは素早く、利食いは急がない」
- 価格が上がっていたら、すぐには売らずに粘る
「損切りは素早く、利食いは急がない」という鉄則は、相場の性質からきています。株式市場・為替市場は、ある程度一定方向に動き続ける場面が多いです。いわゆるトレンドというものですが、そのトレンドというのは私たちが考えているよりも強く働きます。なので、上がり続けているなら、しばらく粘る方が良いという意味が込められています。
「曖昧なものが嫌い」という心理から、多少の利益が出ていれば、すぐに利確をしたくなります。
含み益が出ているなら、すぐに売ってしまって確実な利益にしたいという気持ちが働くのです。
人の感覚は慣れていく
同じ出来事でも、繰り返し起こると徐々に何も感じなくなる現象。
例えば
- 投資で1万円の利益が出ました。
- 次に、1万円の利益が2万円になりました。
どちらの方が嬉しいですか?
ポイント
「最初の0円から1万円の利益が出たときの嬉しさ」の方が喜びが強い。
「1万円が2万円になった時の嬉しさ」
「2万円が3万円になった時の嬉しさ」
「3万円が4万円になった時の嬉しさ」
と同じ1万円の利益でも、次第に嬉しさが薄れていきます。
※このように、単位当たりの感情が薄れていく心理現象を 感応度逓減性 と言います。
人の感覚は段々と慣れていきます。そのため、利益や損失が出ても、次第に慣れてしまって客観的な判断を下せない原因になるのです。
先ほどまでは「利食いは急がない」ことが重要と言いましたが、これは逆の意味があります。
注意ポイント
利食いを粘るあまり、感覚がだんだん薄れていき「もっと利益が出る、もっと」と果てしない妄想を見るようになるのです。
利食いせずに粘るあまり、利益が出たときの喜びの感情が薄れていき「もっと利益を」という罠にはまる。
さらに
感覚が薄れていくという性質は、利益だけではなく、損している時にも悪い影響を及ぼします。
損失が拡大していくと、損をしている感覚が薄れていきます。
すると、お金の価値がどんどん分からなくなり、100万円損していようが、ジャブジャブとお金を投じていきます。
それと同時に「それでも損している状態は嫌い」なので、一発逆転を狙うようになります。
こうして、身の丈に合わない博打的な行動に出てしまって失敗するわけです。
「プロスペクト理論」と「投資・FXの失敗」のまとめ
株式投資・FXで負けてしまう原因をプロスペクト理論で見てきました。
最初にここまでの話を簡潔にまとめていきます。
step
1株式投資・FXの鉄則
「損切りは素早く、利食いは急がない」
- 想定と違って価格が下がってきたら、すぐに売って損を確定させる
- 価格が上がっていたら、すぐには売らずに粘る
step
2「プロスペクト理論」3つのポイント
- 人は損することが嫌い
- 人は確実なものが好き
- 人の感覚は慣れていく
step
3投資の鉄則とプロスペクト理論を比べる
「損切りは素早く」⇒「人は損することが嫌い」なので出来ない
「利食いは急がない」⇒「人は確実なものが好き」なので利益を早く確実なものにしたいため出来ない。
「人の感覚は慣れていく」
① 損をしている状態だと、次第に損をしている感覚に慣れていきジャブジャブお金を投じる。最終的に、損している状態は嫌いなので、一発逆転を狙って失敗する。
② 利益が出ている状態だと、利益に対して喜びが薄れていき「もっと利益を」という感情が強まり、売り時をミスる。
株式投資やFXで勝つために必要なことは、人の性質と真逆です。
つまり、感情のままに投資をすると、普通に負けるのは当たり前なのです。
負けないために
途中で紹介しましたが、良い投資家というのは自分の中でルールを明確に決めています。
- 勝った時よりも10%以上価格が下落したら損切りをする
- 20%以上利益が出たら、お終(しま)いにする
などです。長期で考えるなら、5年・10年は保有し続けてみるとかでもいいかもしれません。
ともかく、行き当たりばったりな投資をすると、プロスペクト理論で紹介した心理現象に巻き込まれて負けます。
その失敗に陥らないように、自分ルールをちゃんと作って投資・FXに臨むのが重要です!
みなさんの投資ライフが良い結末を迎えますように。
プロスペクト理論の詳細はこちらで確認してね。
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