心理学や行動経済学で研究されるプライミング効果
- 最初の情報次第で判断が変わる?
- どんなことに役立つ?
最初に与えられた情報次第で、相手の選択や判断を変えることがあります。ビジネスやマーケティングでは必須のプライミングを詳しく解説!
プライミング効果とは?
プライミング効果とは
先に与えられた情報(プライマー)によって、その後の情報処理(ターゲット)に影響を及ぼす心理現象の総称。先行情報次第で判断や行動が変わることがある。
プライミング効果は、英語の「Prime(プライム)」からきています。「最初の~、初期の~、最上の~」という意味がある。アマゾンプライムなどで使いますよね。
普段の生活で「これを買おう」「こっちにしよう」「大体コレくらいかな?」など、あなたは色々な判断をしています。
しかし
- その判断は、無意識のうちに操られているかも
プライミング効果の例①
子どもの頃にやったことがある「10回ゲーム」
- 「ピザ」って10回言って
- ここは?
「ひざ!」「ひじでした~」
「ピザ」という単語を言い続けることで(先行情報)、その後の「ここは?」という問い(ターゲット)に影響を与えたと言えます。
10回ゲームは、プライミング効果の分かりやすい&簡単な例です。
プライミング効果の例②
ノーベル経済学賞を受賞したカーネマン教授とトベルスキー教授はこんな実験を行いました。
(TED.comより・ダニエル・カーネマン教授)
トベルスキー教授は既に亡くなられています。
有名な実験
100名ほどの人々を2つのグループに分けて質問をします。
国連に参加している国で、アフリカ諸国が占める割合は何%ですか?
- 片方のグループには「45%より多いか少ないか」と聞く
- もう片方には「65%よりも多いか少ないか」と聞く
ポイント
この実験では、最初に与えられた情報によって回答が変化するのか?を調べるために行われました。
実験の結果
45%という数字を出されたグループの方が、65%の数字を出されたグループよりも割合を少なく見積もる傾向があったのです。
この実験は、アンカリング効果( 固着性ヒューリスティック )の例として有名です。
ポイント
最初に提示された数字や情報が基準となり、その後の回答に影響を与える心理現象を「アンカリング」と言います。
この「アンカリング」もプライミング効果の1つだと考えられます。
プライミング効果の例③
この画像を見て、一瞬だけ違和感を感じませんでしか?
「赤色で”青”」と書かれています(他の文字も同様)。
ポイント
このように、色につられて”文字の意味”を読み違えてしまう心理現象をストループ効果と言います。
ストループ効果は、知覚に関するプライミング効果です。
ちなみにですが色の方が早く知覚できます。その後に文字を認知しているので、プライミング効果が起こります。
募金・寄付をたくさん集めるために
プライミング効果の話と関係がある「募金」のお話です。
実験
- 5ドルのうち、いくらを寄付するか?
実験の参加者にアンケートを答えてもらい、報酬として5ドルを渡します。
そして、その5ドルを食糧危機になっている国へいくら寄付するのかを調べました。その際に、2つのグループに分けます。
デボラ・スモール、ジョージ・ローウェスタイン、ポール・スロヴィックが行った実験
2つのグループ
- 統計的な情報を与える
- 貧困の子どもの写真を見せる
①マラウィでは、300万人を超える子どもが食糧不足に苦しんでいる等 ②マリ共和国で飢餓に苦しむ「ロキア」という7歳の少女の写真を見せます。
実験の結果
①の「統計的条件」では、平均して1ドルちょっとの寄付額となりました。
しかし、②の「顔のある条件」では、平均で5ドルの約半分が寄付されました。
さらに詳しく
顔写真の方が寄付額が大きくなったのは、統計的な情報よりも感情を揺さぶられたからです。感情的な情報を得た方が、相手への共感が深まって寄付額が多くなったと考えられています。
詳しくは こちらの記事で確認!
-
「募金・寄付を集めたい」増やし方を行動経済学で解説!
募金・寄付活動を見て心が動いたことってありませんか? 実は、募金にもお金を集められるパターンがあります。 そんな募金と寄 ...
続きを見る
プライミング効果は、ビジネスやマーケティングでも話題になる心理現象です。どんな情報を先に与えると相手の行動が変わるのか、研究してみては?