ああすれば良かった・・。
あなたも必ず感じる感覚。どうして人は後悔するのでしょうか?
そして、なぜ後悔したくないのでしょうか?
後悔回避性(後悔回避バイアス)とは?
後悔回避性(後悔回避バイアス)
「後悔」を避けようとする性質のこと。(人は後悔するのが嫌い)
具体的に「後悔を避けようと行動する」とはどういった事でしょうか?
例えば
行動する青年
あの人に告白しなかったら必ず後悔する、告白しよう!
行動しない青年
失敗しそうだし、後で後悔しそうだから止めておこう。
ポイント
- 「後悔したくないから行動するパターン」
- 「後悔したくないから行動しないパターン」
2つのパターンがある。
ココがポイント
人は「後悔する」のが嫌いで、それを避けようと行動したり・しなかったりする癖がある!
そもそも「後悔する」って何?
「後悔する」理由を考える前に、「後悔する」とはどういう状態のことを言うのかをハッキリしておきましょう!
自己啓発的な話ではなく、科学的に「後悔する」理由をお話していきます。
後悔するとは・・
何かで失敗した時に、違う選択肢を取っていたら成功していたかも?と想像して、2つを比較することで感じるネガティブな感情のこと。
「失望した」「期待外れ」などのネガティブな感情と違って、「あの時にああすれば良かった」などの欲求を伴う。
専門的には「経験についての後悔(経験後悔)」という。
私たちの脳みそは、経験しなかった場面を想像する事が出来ます。
「経験した事」と「経験しなかった事(仮想現実)」とを比較して、初めて後悔することが出来るのです。
ココがポイント
「後悔する」というのは経験しなかった場面を想像しないといけないため、高度な感情!
そして「人の頭が高度に進化している事」が「後悔するのが嫌いな理由」と関係しています。
人が「後悔する」のが嫌いな理由は?
自分が行動して失敗した時
男性
違う選択肢を取っていたら成功していたかも?
「もしも」を想像することで「後悔」が生まれると話してきました。
しかし!
- 人にはシミュレーションする力があります。
行動する前に「この選択肢を選んで成功した時」「この選択肢を選んで失敗した時」などを全て頭の中で想像することが出来ます。
例えば・・?
これから、好きな人に告白しようとします。
頭の中で、告白に成功した場面・失敗した場面が想像できます。そして、仮に失敗した時にどれくらい後悔するのか?も想像できます。
ココがポイント
何かに失敗していなくても、私たちは「後悔」を想像できる。行動する前に「どれくらい後悔しそうか?」は普段の生活で良くある話。
告白の場合
「失敗した時の後悔」だけではなく「挑戦しなかった後悔」も想像しています。
何かの行動をする前に「失敗した時に感じる後悔」「行動しなかった後悔」などを私たちは想像する力がある。
専門的には「予期的後悔」と言います。
まもなく本題です・・
「経験後悔」「予期的後悔」を知ったところで、本題です。
はてな
この話は「後悔回避性(後悔回避バイアス)」とどう結びつくのでしょうか。
「成功した時の自分の姿」を想像して奮い立たせることだってできるのに、どうして後悔というネガティブな方に焦点が置かれるのでしょうか?
「後悔」は「損する時の感情」と似ている
よくよく考えれば「後悔する」というのは「自分が損をしている状態」に似ています。
「後悔している」ということは「何かを失った状態」に近いです。
例えば
恋人に振られて後悔した場合、恋人を失った状態にいます。
挑戦をして失敗した場合、お金や時間を失った状態にいます。周囲の評価も失うことだってあります。
私たちが後悔する場合、何かを失ったりするケースが多い
ココがポイント
「後悔する」=「損をする」と置き換える。
「みんな損するのは嫌い」=「後悔も嫌い」と考えることが出来ます。
さらに専門的なお話
私たちは「損をする」と、扁桃核(へんとうかく)と眼窩前頭皮質(がんかぜんとうひしつ)と呼ばれる脳の部位が反応します。
- 扁桃核(へんとうかく)は、脳の中止部分(ちょい下)
(Wikipediaより・扁桃核)
扁桃核(へんとうかく)は、恐怖心、悲しみ、不安などのネガティブな情報・感情に反応します。
- 眼窩前頭皮質(がんかぜんとうひしつ)は、おでこ・目のあいだ付近
(Wikipediaより・眼窩回)
眼窩前頭皮質(がんかぜんとうひしつ)は、意思決定や報酬などの損得勘定に関係していると言われています。また、扁桃核(へんとうかく)などの動きを抑制します。
ポイント
私たちが「損する」と不安や恐怖を感じます (扁桃核が反応する)。頭の中で、それを抑えようと眼窩前頭皮質が動き出します。
この脳の働きが「後悔した時」にも見られます。
つまり「後悔する」と「損する」というのは本質的に似ている感情だと言えるのではないか?と脳科学では言われています。
後悔したくないのは「損失回避性」が原因
私たちは「得する嬉しさよりも、損する苦痛の方が2倍以上強く感じる」という行動経済学の理論があります (プロスペクト理論)。
ココがポイント
先ほど紹介した通り「後悔する」と「損する」というのは近い感情です。損する苦痛の方が2倍以上強く感じるという理論は「後悔する」という感情にも言えます。
この理論は行動経済学で一番有名なものなので知っておきましょう!
⇒【プロスペクト理論を分かりやすく】行動経済学で投資や恋愛で失敗する理由を知ろう!
重要!
- 私たちは、損することを避けて行動するクセがあります。
これを損失回避性(損失忌避)と言います。
損失回避についてはこちら⇒ 損失回避性とは?
step
1後悔は損する感情に似ている
step
2私たちは損に対して敏感に反応する
step
3その結果、損失回避性(損失忌避)というクセがある
step
4「後悔する≒損する」から後悔回避性(後悔回避バイアス)も言える
私たちは成功して得られるものよりも、失敗して後悔しない方に焦点を置いてしまいます。損失回避性・損失忌避の影響。
この人の性質こそが「後悔回避性(後悔回避バイアス)」に繋がっているのです。
後悔回避性(後悔回避バイアス)の有名な例
後悔についてこんな話をしたのを覚えていますか?
何かの行動をする前に「失敗した時に感じる後悔」「行動しなかった後悔」などを私たちは想像する力がある。
つまり・・?
後悔回避性 (後悔回避バイアス)は、実際に行動する前に生まれる
そんな前提も押さえておいた上で、後悔回避性(後悔回避バイアス)の具体例を見ていきましょう!
① リスク回避型
最初に「リスク回避型」の後悔回避性(後悔回避バイアス)です。
普段やらない事をやるかどうかを判断する時に引き起こるタイプの後悔回避。
具体例
- 起業するかどうか
- 定食屋で新商品を注文するかどうか
- 隣のレジに並びなおすかどうか
いつもと違う事をするかを迷った時に、後悔回避は強く働きます。
ココがポイント
普段と違う行動をして失敗すると後悔が大きくなるため、失敗を避けようと現状を維持する選択肢が選ばれやすくなる!
最初に上げた例だと
- 起業して失敗すると後悔が大きくなる (やらなければ良かった)
- 新商品の味が微妙だったら後悔が大きくなる(普段の頼めばよかった)
- 並びなおした方が遅かったら後悔が大きくなる(並びなおすんじゃなかった)
頭の中でこう考えてしまって、結果的に「起業しない」「普段通りの注文をする」「レジでは並びなおさない」という行動に繋がります。
ここにも注意!
- 普段と違う行動をするか迷うと、後悔回避性(後悔回避バイアス)だけではなく、現状維持バイアスも働くため、より安全な選択肢を取りやすくなります。
「現状維持バイアス」はこちらで確認⇒ 現状維持バイアスとは?
新しく何かを始めたり、挑戦しようとしている人は、こうした癖も考慮して判断しましょう!
② リスク志向型
次に「リスク志向型」の後悔回避性(後悔回避バイアス)です。
「行動しないと後悔する」と判断した時に引き起るタイプの後悔回避。
具体例
- 投資でリスクを取るかどうか
- 好きな人への告白をするかしないか
この場合、行動しなかった時に、後悔回避が強く働きます。
ココがポイント
挑戦しなかった後悔が大きくなるため、リスクを取ってでも後悔を避けようと行動する!
さきほどと違うのは、現状維持しても得をするかどうか分からない点
起業しなくても、現在の安定した職を維持できます。定食屋で新商品を選ばなくても、普段のメニューを選んでいれば問題ありません。
しかし
投資や告白の場合は先ほどまでとは若干違います。
リスクを取らない事で、大儲けするチャンスを失い、対した儲かってもいない現状に甘んじる事になります。
告白なら、好きな人と曖昧な関係のまま過ごしてしまい、他の人に取られるリスクもあります。
このように
行動してもしなくてもリスクがある場合、私たちは行動しなかった後悔を避けようとします。
「やらない後悔より、やる後悔」が生まれるのはこのような状況です。
「トム・ソーヤーの冒険」で有名なマークトウェインのお言葉です。
Twenty years from now you will be more disappointed by the things you didn't do than by the ones you did do.
「20年たてば、したことよりもしなかったことを嘆くようになる。」
ここに注意!
- この場合「後悔をしたくない!」と盲目的になっていないか注意です
投資判断・告白しても良いのか?よ~く考えてから行動しましょう!
先ほどの起業するかどうかは、現在の仕事が嫌いだと感じていればリスク志向的な後悔回避が働いて、起業する意志が逆に強くなることもあります。
人生に後悔はつきものです
よく「ああすれば良かった」と感じることがありますが、それは結果論にすぎません (後知恵バイアス)。「後悔」と上手く付き合っていきましょう。
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