最近話題の「シェアリング・エコノミー」
でもタクシーの相乗り(シェア)って、どうやって料金を決まっているの?
ゲーム理論で登場する「シャープレイ値」について解説!
シャープレイ値とは?貢献度で計算する
シャープレイ値とは
協力して得られた利益を、貢献度に応じて配布する計算方法。
ゲーム理論の協力ゲームで、プレイヤーが連携して得られた利益を公正に配分する方法として発案された。
シャープレイ値は、この計算方法を発案した経済学者ロイド・シャープレーから名前を取ったものです。彼はゲーム理論の権威で「マッチング理論」の分野では2012年にノーベル経済学賞を受賞しました。
シャープレイ値が重要になる理由は「シェアリングエコノミー」の発達です。
シェアした時に料金をどうやって決めるのが良いのか?という問題が出てきます。
例えば・・
- タクシーの相乗り
- 宿泊施設の共有
- 家電選品のレンタル
などなど、今までは個人で購入・利用していたものが、みんなでシャアするサービスが増えています。
特に「タクシーの相乗り」などは料金をどのように決めるのかが問題になります。
シャープレイ値の計算方法
提携形ゲーム(N, v)の
プレイヤー i のシャープレイ値 Φi は
(http://www.orsj.or.jp/~wiki/wiki/index.php/シャープレイ値 より)
超簡単な例
- Aさん
- Bさん
2人はタクシーで相乗りをして帰宅することにしました。
Aさんの自宅までの料金は300円
Bさんの自宅までの料金は500円
タクシーの料金自体は500円になります。(Aさんは料金メーターが300円のところで下車、Bさんが最後まで乗車していた。)
このときに「シャープレイ値」を使って貢献度を計算します。
step
1Aさんが先に乗車したと考える
- Aさんは300円を支払います
- Bさんは200円で済みます(※)
※500円-300円
さらに詳しく
「Aさんが先に乗車した」という考え方をする理由は次の通りです。Aさんはもともとタクシーに乗るはずだったので料金は全額負担すべきなので、Bさんは差額分を支払う。逆にBさんが先に乗車していたら、Bさんはもともと乗車するはずだったので全額負担すべきで・・という考えになります。
step
2Bさんが先に乗車したと考える
- Bさんは500円を支払います
- Aさんは0円で済みます(※)
※500円ー500円
まとめると
Aさんが先に乗車 | Bさんが先に乗車 | |
---|---|---|
Aさんの支払額 | 300円 | 0円 |
Bさんの支払額 | 200円 | 500円 |
最後にAさん・Bさんの貢献度(実際に支払うべき金額)を計算します。
2通りあったので最後に2で割って平均値を計算します。
Aさん:(300円+0円) ÷2 =150円
Bさん:(200円+500円) ÷2 =350円
相乗りでタクシーを利用した「Aさんは150円」「Bさんは350円」を支払うという答えになりました。
シャープレイ値を簡単に計算する
先ほどの例をもう一度考えてみます。
Aさんの自宅までの料金は300円
Bさんの自宅までの料金は500円
タクシーの料金自体は500円になります。(Aさんは料金メーターが300円のところで下車、Bさんが最後まで乗車していた。)
タクシー料金の場合、シャープレイ値はすぐに計算できます。
ここに注目
「Aさんの自宅までの料金は300円」を折半する
- Aさん:150円
- Bさん:150円
最後までタクシーに乗車するBさんは残額を支払います。
- Bさん:200円
これを全部足すと「Aさん150円」「Bさん350円」となり、最初に計算したシャープレイ値と同じ金額になります。
3人の場合
最初にタクシーを降りるのはAさんで、そこまでの金額は900円
3人で割ります。900円÷3人=300円になります。
次にタクシーを降りるのはBさんで、そこまでの金額は1500円
最初の900円分を引くと1500円-900円=600円です。
なので、600円÷2人 =300円です。
最後にタクシーを降りたのCさんで、そこまでの金額は1800円
1500円分を引くと、1800円-1500円=300円です。
Cさんが負担します。
最終的な支払金額は
- Aさん:300円
- Bさん:600円
- Cさん:900円
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シャープレイ値は「影響度・貢献度」の指標
相乗りしたタクシー料金を計算する方法として「シャープレイ値」を紹介しました。
最後に「シャープレイ値」の意味をもう少しだけ深く解説します。
ポイント
シャープレイ値は、影響度・貢献度を数値化したもの。
さきほどのタクシーの例では「Aさん150円」「Bさん350円」を支払うことになりました。
別の言い方をすると「Aさんが150円分の影響力があった」「Bさんは350円分の影響度があった」という風になります。
もっと分かりやすい例
カップルで旅行に行くことになりました。
この場合、2人が賛成(合意)しないと旅行に行けません。(1人で旅行に行ってもカップルで行くことにはなりません。)
この時の「彼氏」「彼女」の影響度は、それぞれ「50%(0.5)」です。
どちらかが反対したら旅行が実現しないため、2人の影響度は同じ数字になります。
こんな感じでシャープレイ値は「影響度・貢献度」を数値化したものなのです。
シャープレイ値が「影響度・貢献度」だと知っていれば、みんなで物事を決める時に、自分が想像以上の影響度があれば、交渉を有利に進められる可能性もあります。
シャープレイ値は「シェアリング・エコノミー」だけではなく「交渉」というジャンルにも関わってくるので、ぜひ知っておきたいですね!