近年話題の「サブスクリプションモデル」
サブスクリプションがどうして注目されているのか?
時代に取り残されないために、必ず知っておくべきビジネスの形式を紹介!
「サブスクリプション」とは?
サブスクリプションとは?
定額課金方式のこと。月額の料金を支払えば、利用頻度に関係なく一定のサービスが受けられる。
対照的に使った分だけ支払うものは従量課金という。
・新聞購読・AmazonPrime・Netflixなどはサブスクリプション。
・一方で、電気料金・課金型ゲームなどは従量課金に該当する。
「サブスクリプションモデル(方式)」という言葉になると、定額課金型のサービス・ビジネスという感じの意味合いになる。
大きなメリットは、保有効果と現状維持バイアス という心理学の効果から、一度課金すると、長期にわたり課金を続けてくれる確率が高くなることです。
「サブスクリプションモデル」は昔からあるものでした。しかし、近年になって重要性が増してきています。
その理由の1つが私たちの価値観が変わってきているからです。
モノを所有することの価値が薄れている
1世代前の人なら「車が欲しい!」とか「時計が欲しい!」と若い時に感じたことも多いかと思います。私の父親は、バブルの頃に外車を集めていました。
しかし今では、そうした「物を買う」ではなく「サービスを利用する・ゲームで課金する・SNSウケするようなレジャー体験を買う」のが普通。
重要!
モノを所有するよりも「その商品(サービス)の便利さ・面白さだけを享受出来ればOK」という時代にあなたは生きているのです。
「モノを所有する」よりも「サービスが受けられれば良い」という価値観が浸透してきている。
サブスクリプションモデルは、この価値観と相性が抜群に良いです。
定額料金を支払っていれば、好きな時にサービスが使えます。そして不要になったらお金を払うのを止めればいいのですから。
わざわざ処分はどうするかとかを考える必要もありません。
時代の流れを受けて、こんな業界でサブスクリプションモデルへの移行が試されています。
- メディア
- ネットサービス
- 交通手段
情報配信サービス(新聞・NewsPicks)・音楽配信サービス(Spotify)・動画配信サービス(Netflix・Hulu)などは名前を聞いたことがあるかと思います。
ネットサービスでの定額課金は想像しやすいですが、一方で昔ながらの業界でもサブスクリプションモデルへの動きが盛んです。
例えば自動車業界です。
車の定額課金サービスなどはイメージがしづらいかもしれません。しかし、ベンツやトヨタ自動車などは、既にサブスクリプション型のサービスを展開し始めています。
実際にニュースにもなっています。(下記は日経新聞より引用)
トヨタ自動車株式会社(以下、トヨタ)は、お客様にクルマとの新しい関係を提案する愛車サブスクリプションサービス「KINTO」の展開を2019年初めをめどに開始します。
(略)
「KINTO」は、税金や保険の支払い、車両のメンテナンス等の手続きをパッケージ化した月額定額サービスを気軽に申し込むことができ、好きなクルマ・乗りたいクルマを自由に選び、好きなだけ楽しんでいただくことができます。
引用元:日経新聞https://www.nikkei.com/article/DGXLRSP494800_R01C18A1000000/
サブスクリプションモデルの概要と、どうして最近話題になっているのかが分かったところで、サブスクリプションモデルが「成功した例」と「失敗した例」を紹介します!
サブスクリプションの成功例と失敗例
まずは有名な成功例からご紹介します。
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1アドビ(Adobe)の成功例
アドビとは?
アドビシステムズ(Adobe Systems Incorporated)というアメリカの会社。
PDFファイルのリーダーや、動画編集ソフトなどのサービスが有名。アドビで検索すると見たことがあるロゴがたくさん出てくるはずです。
サブスクリプションモデルに移行後、売上が約1兆円へ到達。
2011年11月
アドビは、自社のサービスをサブスクリプションモデルに移行することを発表しました。
(Adobe本社・Wikipediaより)
この発表は有名で「あのアドビがサブスクリプションモデル?」という位の衝撃がありました。
なぜ定額課金に移行した?
- ソフトウェアの買い切りの限界
- 2008年のリーマンショックで大打撃
アドビは自社のソフトウェアサービスを買い切りの形で販売していました。
ソフトウェアの買い切りとは、昔で言うゲームソフトを買って、そのゲームをプレイするみたいな感じです。一度購入すればそのソフトウェアを使い続けることが出来ます。
しかし、このソフトウェアサービスの買い切りには問題点がありました。
注意ポイント
ネット世界の進化が速く、売り出したソフトウェアが直ぐに時代遅れになってしまう。(買ったゲームが直ぐに流行遅れになる感じ。直ぐに新しいゲームを購入し続けないといけなくなる。)
直ぐに、時代に遅れいてくなら「わざわざ買わなくてもいい」と思うのが普通です。
さらに詳しく
実際にアドビを購入する人は、リーマンショック前までは横ばいでした。そして、リーマンショックが起きてから一気に顧客が離れていったのです。
アドビがリーマンショック後の世界で生き残るためには、ネットの進化に合わせて常に最新のサービスを提供する必要がありました。
ポイント
ソフトウェアを買い切りにしていては時代に追い付かない。そこで「定額課金にして、顧客に常に最新のサービスを利用してもらう」というかじ取りをしたのです。
このアドビの発表後に株価は暴落しましたが、2017年10月~2018年9月の売上高は約90億ドル超(レートにもよりますが日本円で約1兆円前後)です。
2015年くらいから年率20%で成長を続けて、サブスクリプションモデルへ移行した企業の成功例となりました。
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2サブスクリプションモデルの失敗例
こちらは日本でもニュースにもなったAOKIの例を見てみます。
2018年4月
国内で始めて「定額でスーツ・ネクタイをレンタルできるサービス」が始まる。スーツなどの衣服を企画販売するAOKIが始めたスーツサブスクリプションです。
サブスクリプションの波に乗って、メディアでも多く報道されていました。
2018年11月
サービスがどうなっていたかと言うと・・終了!
わずか半年という期間でサービスの終了が決定しました。
AOKIの想定と失敗
- 20~30代の若者に利用してもらう
- 結果的に40代が一番利用していた
「モノを所有する」よりも「サービスが受けられれば良い」という価値観が浸透してきている、という時代にあったサービスを提供するのが元々の狙いでした。
特にスーツ離れが進む20代~30代の若者をメインターゲットにしたのですが、ここで想定外のことが起こります。
40代の利用が多かった
既にスーツを購入してくれる40代が利用しては、スーツ販売の売上が減少してしまう。既存の事業とのバランスを取るのも難しく撤退を余儀なくされたという話になっています。
表向きはそのような説明だったのですが、事業の内容を見れば撤退もうなづけます。
サブスクリプションモデルを維持するには、一定数以上の利用者が必要
月額2万円程度でスーツ一式が配送されて、クリーニングもしてくれて・・と豊富なサービス設計になっていました。
ココがポイント
スーツというのは夏と冬でバージョンが違いますし、クリーニング代なども馬鹿になりません。それをすべて会社側でフォローするとなると、莫大な費用が掛かります。
その費用を補うだけの収入がないといけませんが、おそらくそこに到達するには険しい道のりがあった?というか不可能だったのでしょう。
サブスクリプションモデルでは、利用者が拡大するのに時間がかかるので、最初は収益性が低いです。
その後、順調に利用者が伸びれば大成功ですが、事業が安定する前に会社側が耐えられないほど費用がかさんでは当然失敗に終わります。
ポイント
つまり、利用者数がどのように伸びて、どれくらいで累積の費用が回収できるのか?などをしっかりと考えないと、成功に辿り着きません。
更に、サブスクリプションモデルでは、継続して利用してもらう事が重要です。
利用者が満足してもうらためにはどうすれば良いのか?を考え続ける必要があり、施策のために、追加の費用が発生する可能性もあります。
利用者の拡大を目指しつつ、顧客への満足度を維持しながら、安定した収益を得る。
世間では「サブスクリプションモデル」は今後のビジネスモデルの主流になる!という感じで騒がれていますが、すぐに成功するほど簡単なビジネスモデルではないです。
試行錯誤しながら、収益を上げていくといのは、サブスクリプションモデルだろうが、他のビジネスモデルだろうが、変わりはないのかもしれません。