お金を失うのは嫌、幸せは長くは続かないし、隣の芝生は青い
私たちの心の本質とは?をまとめた理論があるんです。
広告・マーケティング・ビジネス戦略では必須の行動経済学「プロスペクト理論」を紹介!
プロスペクト理論とは?
プロスペクト理論とは
損得に対して、私たちがどのように反応して行動するかをまとめた理論。
プロスペクト理論は、行動経済学の代表的な理論です。
2002年にはノーベル経済学賞
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【ダニエル・カーネマン】行動経済学の権威が語る人間の科学
ノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマンが語る「人間の科学」 行動経済学の第一人者であるカーネマン教授から学ぶ「人 ...
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プロスペクト理論は、1979年にダニエル・カーネマンとエイモス・トベルスキーが発表して、2002年にはノーベル経済学賞を受賞しました。
行動経済学について調べれば「プロスペクト理論」に必ず出会います。さらに、投資や恋愛まで、日常生活の至るところで、プロスペクト理論を使った話がたくさん!
そんなプロスペクト理論の概要を「重要なポイントを6つ」に絞って解説していきます。
プロスペクト理論:6つのポイント
- 人は得をするよりも、損する方に敏感に反応する。
- 人は得られる利益は確実に得たいが、確実な損失は避けたがる。
- 損をしている場面だと、リスクのある行動を取りやすくなる。
- 人の喜びや悲しみは、参照点に依存する(相対評価)。
- 人の喜び・悲しみは長くは続かない(慣れる)。
- 人は確率を正しく認識していない。
専門用語を使うと、上から順番に
- 損失回避性・保有効果・現状維持バイアス
- 曖昧回避性・不確実回避性
- リスク愛好的・リスク志向的
- 参照点依存性
- 感応度逓減性
- 確率加重関数
プロスペクト理論は ①~⑤の要素をまとめた「価値関数」と ⑥の「確率加重関数」の2つの関数で示されます。
それでは、順番に詳細をみていきましょう。
① 損失回避性 (損失回避の法則)
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人は「得をするよりも損したくない気持ちの方が強い」(利得よりも損失に敏感)
損失回避性はプロスペクト理論の中で1番重要
例えば
皆さんが100万円を獲得する喜びより、100万円を失くす方が苦痛!
ちなみに、プロスペクト理論を考えたダニエル・カーネマン先生は「得をするより、損をする方が2倍以上苦痛を感じる」と考えています。
つまり、100万円を失った苦痛と同じ程度の喜びを感じたければ、200万円以上得しないといけません。
グラフで表すと・・?
損失回避性(損失回避の法則)を表したグラフを「価値関数」と呼びます。
どうして人は損が嫌いなのでしょうか?
動物ならエサを失えば餓死、危険なことをしても死ぬ可能性もあります。人間も動物なので、こうした本能みたいな性質があるのは当たり前なのです。
ちなみに
損失回避性(損失回避の法則)は、次の心理学とも関係があります。
step
1保有効果(授かり効果)
自分が持っているものに高い価値を感じ、捨てることに抵抗を感じる心理現象のこと。
step
2現状維持バイアス
変化を嫌い、現状を維持したくなる心理現象のこと。
「持っているものを手放したくない」「今のままで良い」と考えるのは普通のことです。
「損する」というのは「捨てる」「現状を変えて今までの環境(状況)を手放す」とも言えます。つまり「損失回避」は、身近にあるあなたの心の癖と密接に関係しているのです。
ココがポイント
私たちは「損失回避」「保有効果」「現状維持バイアス」などの心理的な影響を受けている。3つの効果は、プロスペクト理論の中核をなす心理現象だと言える。
- 損失回避性 (損失回避の法則)
- 保有効果 (授かり効果)
- 現状維持バイアス
3つの心理効果についてはこちらで確認してね!
チェック
② 曖昧回避性 (不確実性回避)
人は「曖昧なものを選びたくない気持ちが強い」(確実に○○のような方が安心する)
この話に関係する論文が1961年に発表されています。
エルズバーグの壺(つぼ)
- 目の前に壺が2つあります。
壺A:赤玉50個・白玉50個が入っています。
壺B:赤玉と白玉が入っていますが、数はわかりません。
赤玉を引けば100ドルをゲットできる時、どちらの壺を選びますか?
ここに注目!
どちらの壺を選んでも赤い玉を引く確率は変わりません。
※壺Bは、赤玉ばかりかもしれませんし、白玉ばかりかもしれません。つまり、どちらも確率50%です。
しかし
多くの人は壺Aを選びます。
なんとなく分かるかと思いますが、壺Bは何だか嫌な感じがします。なので、最初から50%と分かっている壺Aの方が好まれるのです。
この実験から、私たちは曖昧なものに不安を感じたりするため、曖昧さを避ける傾向にある事が分かりました。
さらに詳しく
のちほど紹介しますが、この特徴は「アレのパラドックス」で期待値が低い宝くじを選択する理由を説明出来ます。
選択肢A:確実に1,000ドルがもらえる。
選択肢B:10%の確率で2,500ドル・89%で1,000ドル・1%は賞金なし。
上の宝くじでは選択肢Bの方が期待値が高いですが、多くの人が選択肢Aを選びます。
ココがポイント
つまり期待値よりも「確実に得られる利益」を私たちが好んでいることが分かります。
③ リスク回避・リスク愛好
- 得をしている状態のときは、リスクを避ける(リスク回避的)
- 損をしている状態のときは、リスクを無視する(リスク愛好的)
分かりやすい例
- ギャンブルで負けていると一発逆転を狙いたくなる気持ち。
- 株式でちょっとだけ利益が出ると、すぐに利確してしまう気持ち。
ダニエル・カーネマンの心理学の実験
- いま100万円の借金があり、次にの2つの選択肢がありました。
選択肢A:無条件で借金を50万円に減額
選択肢B:コインを投げて表が出たら借金をチャラに!裏が出たら変わらない
ちなみに期待値はどちらも同じ50万円です。
実験の結果
圧倒的に選択肢Bの方が選ばれる確率が高かった。
負けていたり、損している状況だとリスクのある選択肢を取るのには理由があります。
理由
先ほど紹介した「人は損するのが嫌い(損失回避性)」という特徴から、負けているような状況では、リスクが高くても、とにかく損失がゼロになるような大胆な行動を取りたがるのです。
④ 参照点依存性
-
【参照点依存性とは?】他人と比較してしまう理由
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人の感情は「自分が設定した基準(参照点)から、どれくらい変化したのか」で評価が決まる。人は絶対値ではなく、相対的な変化率に反応する。
例えば・・
100万円から80万円に減るよりも、0円から借金20万円になった方が絶望感があります。
同じ損失20万円なのに、最初の基準(参照点)によって感じ方が違う
このように、最初に基準をどう置くかで、私たちの感じ方は大きく変わります。
グラフで見ると
参照点依存性と関係が深い実験があるので紹介します。
有名な実験
100名ほどの人々を2つのグループに分けて質問をします。
国連に参加している国で、アフリカ諸国が占める割合は何%ですか?
- 片方のグループには「45%より多いか少ないか」と聞く
- もう片方には「65%よりも多いか少ないか」と聞く
実験の結果
45%という数字を出されたグループの方が、65%の数字を出されたグループよりも割合を少なく見積もる傾向があったのです。
ポイント
最初に提示された情報が基準となり、その後の回答に影響を与える心理現象を「アンカリング」と言います。
固着性ヒューリスティック(係留と調整)は、アンカリング効果の影響から発生するヒューリスティックだと言えます。
詳しくはこちら
⑤ 感応度逓減性
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同じ出来事でも、繰り返し起こると徐々に何も感じなくなる現象。
お金の話で言うと、金額の大きさが2倍になっても人が感じる価値は2倍にはなりません (価値の大きさは金額に比例しない)。
つまり、持っている100万円が200万円になっても、150万~160万円くらいの価値(喜び)しか感じないと言えます。
お金以外でも
- 恋人と会うたびに喜びが薄れていく
- 新品のスマホにしたけど、段々と嬉しさが消えていく
少し詳しく・・
喉が渇いている時に自動販売機で飲み物を買って1口飲むと、とても満足します。
2口目は、満足しますが、1口目よりも嬉しさは減っています。飲み干すくらいのときは、最初の1口目の感動よりも薄いです。
グラフで見ると・・
最初の方が急カーブで、後の方はなだらかに描くことが出来ます。
①~⑤までの特徴をまとめる
この関数は「価値関数」と言い、プロスペクト理論で登場した新しい考え方です。
これまでに登場したプロスペクト理論の内容を上手く描いているので「プロスペクト理論と言えば上のグラフ」です。
学校で行動経済学を勉強している人は是非覚えておきましょう!
まとめ
- 下側の方がカーブが多きい(損の方が強く反応する)
- 損している時はリスク愛好的
- どこを基準にするかで感じ方が変わる(参照点依存)
- 最初の損得で一気にグラフが上下に移動
- 段々とカーブが緩くなる(感応度逓減性)
⑥ 確率加重関数
確率加重関数とは
人の心が感じる確率を表した関数のこと。
人は、低い確率を高く評価して、高い確率を低く評価する。
分かりやすい例
冬にインフルエンザが流行っていました。
50%くらいでインフルエンザになると、ニュースで伝えていましたが「自分は大丈夫」だと感じることはありませんか?
これは、高い確率を低く評価する例です。
50%の確率でインフルエンザになるということは、2人に1人はなります。自分だけ感染しないと思うのは普通はおかしいのです。
アレのパラドックス
宝くじで引き起った問題
【1回目のくじ】
選択肢A:確実に1,000ドルがもらえる。
選択肢B:10%の確率で2,500ドル・89%で1,000ドル・1%は賞金なし。
【2回目のくじ】
オプションA:11%の確率で1,000ドル・89%は賞金なし。
オプションB:10%の確率で2,500ドル・90%は賞金なし。
結果
ほとんどの場合、1回目のくじでは選択肢A、2回目のくじでは選択肢Bが選ばれる。
- 1回目のくじでは「期待値の低い方を選択」
- 2回目のくじでは「期待値が高い方を選択」
なぜ?(理由を上手く説明できない)
-
【アレのパラドックスと日常例】なぜ私たちは確率を計算できないのか
あなたの心は確率を正しく認識していません。 「ほぼ0%」や「ほぼ100%」なのに、その確率を信じることが出来ないのは何故 ...
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ポイント
私たちは、1%のような低い確率を高く評価してしまいます。
1回目の宝くじで期待値が低い方を選んだ理由は、この1%を嫌ったからです。普通に考えれば、たった1%ですが、この1%を高く評価してしまってリスクを嫌ったのです。
このように、人の心が感じる確率を表したものが「確率加重関数」というわけです。
グラフで表すと
2つの関数
概要で登場した①~⑤をまとめた「価値関数」・⑥の「確率加重関数」の2つがプロスペクト理論では重要になります。
- 「価値関数」で感情的な評価
- 「確率加重関数」で確率(リスク)の評価
プロスペクト理論では、この2つの関数から、私たちは意思決定をして行動を起こしていると考えているわけです。
さらに詳しく
いままでの経済学では「人は自分の利益が最大になるように行動する(期待効用理論)」と考えていました。しかし、それでは説明できない経済現象がたくさんあります。
例えば、バブルや大恐慌などの発生確率的は限りなく低いはずなのに、何故が定期的に発生しています。
プロスペクト理論では、人の心の動きをモデルに組み込んでいるので、従来の経済学では説明できなかった現象を分析できるようになったのです。
2つの関数の詳細はこちらから
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【価値関数と確率加重関数】心が感じる価値と確率の関係を分かりやすく!
私たちの心は「価値」と「確率」を正しく把握できない。 「人は合理的ではなく、心の世界で生きている」 そんな当たり前の答え ...
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投資や恋愛をプロスペクト理論で考えてみる
株式投資の勝つための鉄則をご存知でしょうか?
損が明らかな時には損切り、利益が見込める時には利喰わないのが鉄則だ。
世紀の相場師も言っていますが、損切りは素早く、利食いは急がない。
これが株式投資の鉄則です。
ココに注意
実は株式投資で勝つ秘訣は、プロスペクト理論とは真逆のことを言っています。
プロスペクト理論のポイントにある
「人は得られる利益は確実に得たいが、確実な損失は避けたがる(損失回避)」
このポイントは「損切りは素早く、利食いは急がない」という株式の鉄則とは真逆です。
- 得られる利益は確実に得たい=利食いは早くなる傾向
- 確実な損失は避けたがる=損切りは遅くなる傾向
こうして、あなたは投資やFXで負けるのです。
ココがポイント
投資やトレードで勝つためには、私たちの行動原理とは真逆のことが要求されているわけです。
ちなみに恋愛でも同じようなことが言えます!
- 付き合った当初は、嬉しいことばかり。
- 段々と嬉しさも感じなくなるように・・。
- でも、恋人と過ごす時間が長くなると分かれるのも気が引ける・・。
- ダラダラと付き合いが続きます。
まさしく、プロスペクト理論です。
「感応度逓減性」「損失回避性」
経済学の父 アダム・スミスの言葉
「我々が、良い境遇から悪い境遇に転落するときには、悪い境遇から良い境遇へと上昇するときに常に享受するよりも多くの受難を感じる。」
「経済学の祖」と言われているアダム・スミスが、18世紀にプロスペクト理論について言及していたことはあまり知られていない事実です。
プロスペクト理論を日常生活の問題に当てはめてみよう!
例えば!