21世紀のいまだからこそ、知っておくべき学問があります。
それが「行動経済学」です。
ビジネスや日常生活でも使える行動経済学について知りたい・・。
そんな人向けの「はじめての行動経済学」です!
行動経済学とは?
行動経済学とは、いままでの経済学に心理学などを取り入れていく学問です。
ポイント
人は感情的になったり、ときには間違ったりします。「そうした人の特性に注目して経済活動を分析しよう!」というのが行動経済学のはじまり。
というのも従来の経済学では説明が出来なかった経済現象がたくさんあります。
経済学では「人は超合理的に行動する」と考えられていました。
ふつうの人は、時には感情的になりますし合理的に行動するとは限りません。そうした、人の特徴を無視して経済学が限界を迎えていたというわけです。
例えば・・?
- バブルが発生する理由
バブル経済が発生する理由は、今までの経済学では説明できませんでした。
さらに詳しく
人が合理的に行動していれば、統計的にあり得ない頻度で、世界でバブル状態が発生している。⇒従来の経済学では説明不能
そこに行動経済学が登場
行動経済学では、心理学などの分野を応用することでバブル経済が頻繁に発生する理由を説明することができました。
※この話は「ハーディング現象(効果)」と呼ばれています。
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【ハーディング現象とは?】バブル経済が生まれ、店に行列ができる理由
「みんなやってるよ、やってないの?」 私たちは、何故この魔法の言葉に反応してしまうのか? 誰もが経験した事があるこの現象 ...
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いまでは超有名な行動経済学ですが、ここまで有名になったのには理由があります。その理由を知れば、あなたが行動経済学を勉強する意欲を掻き立てられること間違いなしです。
行動経済学がブームになるまでの流れ
行動経済学の世界では、大きく3つの変化があります。特に2~3つ目の流れが、世間に行動経済学のブームを巻き起こしました。
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1行動経済学っぽいものが誕生
(http://netgeek.biz/archives/74574 より)
この人は「ハーバード・サイモン(1916年~2001年)」です。サイモン先生は、行動経済学っぽいことを始めた人として有名です。
企業・組織の意思決定が、経済学の考えでは全然説明ができないことを指摘します。1950年くらいから、そうした論文をたくさん書きはじめます。
そこに登場したのが「限定合理性」という考えです。
みんな合理的になんて動いていないよ。
そもそも完ぺきに合理的に動くためには情報が足りないし、今の状況から、それなりの分析をして、自分たちが満足するような意思決定をしているだけ。
とりあえずの経験則とかで「これくらいの利益出せそうだし、それでいこう!」みたいなアバウトでも、それで満足したならOKになる。
1978年
むかえたこの年のノーベル経済学賞ですが、サイモン先生が受賞します (今までの研究成果に対して贈られたものです)。
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22002年、行動経済学者がまたノーベル経済学賞!
(TED.com より)
2002年、ノーベル経済学賞を受賞した「ダニエル・カーネマン」です。
行動経済学の話をすると、大体この人の名前が出てきます。
カーネマン先生は、行動経済学の理論をたくさん取りまとめています。
例えば・・?
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ヒューリスティックで人が経験則で行動する事例・心理学との関係
直感的に行動したり、経験則で行動することを心理学・行動経済学の世界で「ヒューリスティック」と言います。 今までの経験上こ ...
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【プロスペクト理論を分かりやすく】行動経済学で投資や恋愛で失敗する理由を知ろう!
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特に「プロスペクト理論」は、行動経済学で一番有名な理論になります。この話は投資をする人には必須の知識となっていることはご存知の通りです。
プロスペクト理論の概要
- 人は得をするよりも、損する方に敏感に反応する。
- 得られる利益は確実に得たいが、確実な損失は避ける。
- 損している時は、リスクのある行動を取りやすくなる。
- 人の喜びや悲しみは、参照点に依存する(相対評価)。
- 人の喜び・悲しみは長くは続かない(慣れる)。
- 人は確率を正しく認識していない。
他にも・・
さらに、プロスペクト理論と関係している「フレーミング効果」は、ビジネスで物を売ったり、キャッチコピーを考えたりする時に役立ちます。
人は状況によって反応しやすい言葉の表現がある。
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そんな彼が書いた「ファスト&スロー(上) あなたの意思はどのように決まるか?」は有名です。 ファスト&スロー あなたの意思はどのように決まるか? 文庫 (上)(下)セット
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32010年以降~行動経済学のブームへ
(gettyimagesより)
こちらは2017年にノーベル経済学賞を受賞した「リチャード・セイラー」です。彼もダニエル・カーネマンと共同で研究をしていたり、数多くの研究成果を出しています。
相田みつをのファンとして有名。
例えば・・?
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【ナッジ理論とは?】行動経済学で人の動きを思いのままにする方法
行動経済学で「人の動き(心)を操る魔法」と称される「ナッジ理論(ナッジ効果)」 普段の生活には「ナッジ」と呼ばれる技術が ...
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特にナッジ効果(理論)は、自民党の小泉衆議院も注目する行動経済学の理論です。
男性用トレイの小便器に、的を描くとトイレが汚くなりにくい(無意識にみんな的を狙って用をたすようになる)。
ココがポイント
こうしたナッジの理論を、日常生活で応用したり、行政のサービスでも応用できるものがたくさんあります。これがセイラー先生が提唱しているナッジ理論が注目をされている理由です。
他にも「メンタルアカウンティング(心の会計)」では、人のお金に対する価値は、モノと状況によって変化するという理論をまとめました。
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心理会計「メンタルアカウンティング」とは?人が浪費する理由
お金がたまらない。 そんな悩みと関係が深い行動経済学の理論。 「心理会計・メンタルアカウンティング」を分かりやすく簡単解 ...
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同じ1,000円でも、おにぎりが1,000円だと高く感じるが、フランス料理が1,000円なら安く感じる。
注目!
2010年以降、行動経済学を身近なものにした火付け役がもう一人います。
(Wikipediaより)
それが「ダン・アリエリー」です。
彼が有名なのは、行動経済学の書籍で、全米ベストセラーになったことがあるからです。
全身の大やけどを負った彼の経験から、繰り広げられる行動経済学の話は、初めて行動経済学を勉強する人にとっても分かりやすく、惹きつけられる内容になっています。
彼の本の影響もあって、行動経済学というマニアックな学問が一般の人にも注目をあたえるきっかけになったのは間違いありません。
特に、ビジネスの世界では行動経済学の重要性は増しています。商品開発、マーケティング、販売戦略などには行動経済学の知識は必須です。
行動経済学の有名な話
行動経済学には有名な話がたくさんあります。行動経済学を勉強していくと出会うものばかりなので興味があったら、このブログの記事を読んでいってね!
「やる後悔」と「やらない後悔」はどっちが良いか?
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【行動非行動の法則とは?】「やらない後悔・やる後悔」を行動経済学で解説!
「やらない後悔より、やる後悔」 何もしないくらいなら、やって後悔した方が良い! この考えが行動経済学的に正しい理由を解説 ...
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よく「やる後悔・やらない後悔」のどちらが良いかの議論になりますが、あなたはどちらだと思いますか?
行動経済学的には明らかに「やる後悔」の方がいいと言われています。
こうした話は「行動非行動の法則」として知られていて、先ほど紹介した「プロスペクト理論」とも関係している話になります。
詳しくはこちら
【行動非行動の法則とは?】「やらない後悔・やる後悔」を行動経済学で解説!
「アジア疾病問題」
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フレーミング効果「表現で選択を変える」マーケティング・行政の事例
あなたの選択は操(あやつ)られていると言われたら? 表現だけで人の感じ方は変わります。 コップに水がもう半分しかない コ ...
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さきほども紹介した「フレーミング効果」ですが、この話で登場する「アジア疾病問題」は超有名です。
【問題1】 (ポジティブフレーム)
対策案A: 200人が助かる
対策案B: 1/3の確率で600人が助かるけど 2/3の確率で誰も助からない
この場合、Aを選択した人が72%・Bを選択した人が28%でした。つまり対策案Aを選択する人が多い。
【問題2】(ネガティブフレーム)
対策案C:400人が死ぬ
対策案D:1/3の確率で誰も死なないけど2/3の確率で600人が死ぬ
この場合、Dを選択した人が78%・Cを選択した人が22%でした。つまり対策案Dを選択する人が多い。
ちなみに、対策案の「AとC」「BとD」は同じことを言っています(表現方法が異なる)。
どうしてこの結果になるのか?そこには「フレーミング効果」が大きく関係しています。
詳しくはこちら
【アジア疾病問題】フレーミング効果の有名な3パターンを解説!
「リンダ問題」
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ヒューリスティックで人が経験則で行動する事例・心理学との関係
直感的に行動したり、経験則で行動することを心理学・行動経済学の世界で「ヒューリスティック」と言います。 今までの経験上こ ...
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こちらは、ダニエル・カーネマンの話の時にちょっとだけ紹介したヒューリスティックに関係するお話。
リンダ問題
リンダという女性がいます。
彼女は大学では哲学を専攻した。学生時代には差別や社会問題に深く関心を持ち、反核デモにも参加した。
彼女はどちらの可能性が高いと思いますか?
(1) リンダは銀行で働いている。
(2) リンダは銀行で働いていて、女性運動に参加している。
この問題の答えは (1)です。
どうして、多くの人は(2)を選んでしまうのか?そうした謎を解くのが「ヒューリスティック」です。
ポイント
こんな感じで、行動経済学を使うといろいろな問題を分析できます。日常の話から、ビジネスにも応用できるというのが少しは分かってもらえたかと思います。
詳しくはこちら
【ヒューリスティックとは?】人が経験則で行動する理由を心理学で説明!
行動経済学に興味がわいたところで、おすすめの本も紹介します!
行動経済学のおすすめの本
よく行動経済学のおすすめの本として、ダニエル・カーネマンの「ファスト&スロー」が紹介されているかと思います。 ファスト&スロー あなたの意思はどのように決まるか? 文庫 (上)(下)セット
しかし、私的には、大学などで勉強している人が読むぶんにはお勧めしますが、一般の人が読むには少々堅苦しいというか難しいという感じがしています。
さきほど紹介したダン・アリエリー先生の本です。
行動経済学に興味が出てきた、手始めに勉強したい!という人にとってもおすすめ。
- 内容が身近な話でイメージしやすい
- 勉強になる&考えさせられる内容もある
- ダン・アリエリー独自の体験談がある
ダン・アリエリー先生が全身大やけどを負ったことから思いついた話などもあり、他の人物にはまねできないような発想で実験などを行っています。
なので、行動経済学の本を何か読みたいなとか思ったら、迷わずにコレです。全米ベストセラーになった行動経済学の本を読まずして何も始まらない・・。
ちなみに・・・
ダン・アリエリー先生の本で有名なものは2つあります。
さっきの本の前に出版された「予想どおりに不合理」も必見です!
予想どおりに不合理: 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
行動経済学はまだまだ発展途中の学問です。
行動経済学の知恵を使って、日常生活にビジネスを有利に進めていきましょう!