経済学

コースの定理とは?何かと話題になる「負の外部性」の解決策を紹介!

外部不経済(負の外部性)が発生した時の解決策に「交渉」があります。

その交渉に関して有名な「コースの定理」を問題点も含めて簡単に解説します。

コースの定理とは?

 

コースの定理とは

外部不経済(負の外部性)が発生した場合

  1. 取引費用がない(0円)
  2. 所有権が明確
  3. 資産効果・所得効果が働かない
  4. 情報が完全

これらの条件を満たしているならば、交渉を行うことで最適な資源配分が達成できるため、交渉という解決策が有効になるという命題。

ロナルド・H・コース (Ronald H. Coase)(上の写真)が提示した。コースは1991年にノーベル経済学賞を受賞している。

 

北国宗太郎
コースの定理の前に「負の外部性」を知らないと難しい・・
気づいたね。簡単におさらいしよう。
牛さん

 

外部不経済(負の外部性)

ある人の経済活動が、全く関係のない第三者に影響を及ぼすことを「外部性と呼ぶ。

この時、悪い影響を与える場合に「外部不経済負の外部性)」と呼ぶ。(良い影響を与える場合は「外部経済正の外部性)」と呼ぶ)

 

代表的な例

  • 公害

公害とは、企業の活動による騒音・煤煙(ばいえん)・廃液・廃棄物、地下水の大量採取から起こる地盤沈下などが原因で、一般住民の生活に及ぶ害のこと

 

企業は、利益を出すために様々な生産活動を行います。

その過程で、環境に悪影響を与えるなどして、生活環境を破壊することがあります。生活環境を破壊されて困るのは、その企業とは関係のない一般の人々です。

 

こうした企業は、一般の人々に外部不経済(負の外部性)を与えている

 

ココがポイント

公害により、健康を害した人は病院に通うなど、余計に費用を支払うことになります。公害を引き起こした企業は、病院代を負担することはありません

 

北国宗太郎
おさらいが終りました。それでコースの定理は・・
この時に交渉することで問題が解決できると考えたんだ。
牛さん

 

つまり

取引費用がかからない(0円)ならば、企業と住民の人が交渉することで問題を解決して、最適な資源配分が実現するのです。

 

さらに詳しく

①企業が、住民に対して賠償金を支払う

②住民が、企業にお金を支払って汚染を止めてもらう

交渉により、①②のどちらかの解決策が実現する。その時、どちらの方法でも、最適な資源配分が実現するという定理。

 

北国宗太郎
普通は①の解決策になりそうだけど、②が選ばれることはあるの?
そこで重要になるのが所有権だよ。
牛さん

 

企業に環境を利用する権利がある場合

 

汚染権

企業が生産を行う際に、環境を利用してもよい (環境を利用する)権利のこと。

権利の範囲内ならば、環境を汚染することが認められる。

 

北国宗太郎
あまり聞きなれない権利だね。
そうだね。この権利を企業が持っているかが重要なんだ
牛さん

 

ちなみに、最初に「所有権」という話がありましたが、所有権というのは「汚染権」などのことを指しています

 

例えば

  • ある工場が空気中に汚染物質を流していました

これまでは、工場の近くに人が住んでいることもなかったので問題になりませんでした。しかし、ある時から人が住むようになって、空気汚染が問題になりました

 

ポイント

環境を利用する権利(汚染権)が企業に認められていた場合、住民が、企業にお金を支払います

 

北国宗太郎
なるほど、最初から工場もあって汚染権もあるから、住民側がお金を支払うことになるんだ・・
うん。普通ならイメージしずらいけど、その通りだよ。
牛さん

 

次に、逆の場合を考えてみます。

 

住民に環境権がある場合

 

環境権

一般の人々が、良好な環境の中で生活を営む権利のこと。

 

例えば

  • ある工場が空気中に汚染物質を流していました

この工場の近くには、昔から住民が住んでいました。ある時から工場が作られて、空気汚染が問題になりました

 

ポイント

環境権が住民に認められていた場合、企業が、住民に賠償金を支払います

 

北国宗太郎
こっちは普通のイメージ通りだね。
そうだね。こんな感じで権利の所在が重要なんだ。
牛さん

 

ココがポイント

環境に関する権利が、企業と住民のどちらにあるかで、お金の流れが変わります (もしくは権利を売買することも可能)。しかし、どちらの場合にしても、最適な資源配分(総余剰の最大化)が実現するというのがコースの定理です。コースの定理では、権利の配分は関係せず、どちらに権利がどの位あろうと、交渉により最も効率的な資源配分が実現すると考えています。

また、この時に政府の介入は不要で、企業と住民が直接交渉すれば解決するという点も重要です。

※「社会的な利益ー社会的な損失=総余剰」

 

コースの定理の問題点

 

「コースの定理」は、よく議論の的になります。

 

注意ポイント

そもそも「取引費用が0円」という世界は、現実には存在しない

  • 所有権が明確
  • 資産効果・所得効果が働かない
  • 情報が完全

他の3つも、そもそも現実的ではありません。

ちなみに「所得効果」「情報が完全」などは、経済学の考え方です。一般的には「取引費用が0円」「所有権が明確」の2つが注目されるので、このページでは説明を飛ばしました。

 

北国宗太郎
まあ、そうだよね。
他に問題になることがあるよ。
牛さん

 

汚染者負担の原則

環境汚染で発生する社会的な損失は、汚染した企業が負担するべきだ、という考え方。

 

コースの定理への批判

企業が権利を持っているからと言って、環境を汚していない住民がお金を支払わされるのはおかしい

 

「コースの定理」では、一般的な倫理観で考えれば納得できない解決方法も含まれているので、批判されることがあります。

 

ポイント

汚染者負担の原則(公平な負担)⇔コースの定理(効率性)

 

注意

(https://cruel.org/econthought/profiles/coase.htmlより・ロナルド・H・コース)

そもそも、コースは「取引費用が0円」の世界が現実にあるとは考えていません。

取引費用が0円にすれば、このような分析結果が得られました。今後は、取引費用を考慮した場合の交渉について考えていく必要があると、コース自身は考えていました。

 

つまり

コースの定理は、冷徹で、徹底的な効率性を求めたのではありません。この定理を議論のスタートとして提案したに過ぎないのです

「公平な費用負担(汚染者負担の原則)」と「徹底的な効率性(コースの定理)」の現実的な落としどころは、今後に残された課題の1つです。

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