経済学

【技術的限界代替率・技術的限界代替率逓減の法則】意味や計算方法・求め方

2020年2月11日

等量曲線の傾きを求める「技術的限界代替率

等量曲線が分かっても、技術的限界代替率の意味や計算で苦労する人も多いです。

  • 技術的限界代替率とは?
  • 技術的限界代替率逓減の法則とは?
  • 等量曲線の接線の傾き
  • 計算の方法・求め方

技術的限界代替率について、イマイチ理解できない人向けに簡単にまとめています。

技術的限界代替率とは?

技術的限界代替率とは

同じ生産量を維持するための生産要素の交換比率。

ある生産要素(資本量・労働量)を増やすとき、もう片方の生産要素(資本量・労働量)をどれくらい減らせば、同じ生産量を維持できるかを表す。等量曲線の接線の傾きになる。

※技術的限界代替率(MRTS)=Marginal-Rate-of-Technical-Substitution

 

北国宗太郎
技術って書いてるから、生産技術の話かな・・?
違うよ。簡単な例から見ていこう。
牛さん

 

例えば

  • お米10kgの収穫を行います

お米10kgの収穫を行うには、つぎの2つの方法があります。

  • 人を雇う
  • 無人稲刈り機(機械)を使う

「1人を雇う」なら「機械1台」を使わずにお米10kgを収穫が出来ます。逆に「機械1台」があれば「1人を雇わず」にお米10kgが収穫できます。

 

ここで

人を雇ってお米10kgの収穫をしていたとき、人の代わりに「機械1台を使う」ことにします。機械1台でもお米10kgの収穫を維持できます。

このとき「1人を雇う」「機械1台」の交換比率を技術的限界代替率と言います

※「1人を雇う」「無人稲刈り機1台」では、限界代替率は「1」となります。

 

北国宗太郎
交換比率ってことならイメージできた。
最初は”技術”って言葉は気にしない方が良いかもね。
牛さん

 

重要

技術的限界代替率逓減ていげんの法則について

技術的限界代替率には「ある生産要素(資本・労働)の投入量を増やすほど、もう片方の生産要素(資本・労働)は減らす量が少なくなる」という特徴がある。

 

北国宗太郎
牛さん、ピンとこないです。
今度はお米1000kgの収穫を考えてみよう。
牛さん

 

例えば

  • お米1000kgの収穫を行います

はじめは人を雇わずに、無人稲刈り機を100台使うとします。

 

農家

う~ん、機械が多すぎて作業効率が悪いな・・

 

北国宗太郎
さすがに100台も使うとそうなるよね。
この状態に注目です。
牛さん

 

ポイント

もし、人を雇わずに機械を100台投入すると「人を雇う価値」は凄く高くなります。「機械101台目< 従業員1人と感じる

このように「2つの生産要素があったとき、片方の生産要素を投入し続けると、次第にもう片方の生産要素の価値が高まること」を技術的限界代替率逓減の法則と言います。

 

もっと具体的な話

次は、お米1000kgのうち500kgの生産を機械1台で実現したケースを考えます。

人を雇うことにすると・・

機械1台を投入して収穫量が500kgになりました。機械のメンテナンスとかも含めて、細かな作業をしてもらうために人を1人雇うことを考えます。

人を雇って機械をメンテすれば、もう500kgの収穫が実現できます。

 

しかし

結局人を雇うことは出来ずに高性能な機械をもう1台投入したとします。

  • 機械を追加投入して+300kgの収穫
  • 機械をもう1台投入して+200kgの収穫

合計1000kgの収穫になります。

 

ポイント

生産要素の追加的な1単位の投入から得られる収穫量

  • 2台目の機械=300kgの収穫
  • 3台目の機械=200kgの収穫

機械を追加で1台投入するにつれて、人を雇うことの相対的な価値が高まっています。これを、人を雇うときの収穫量を基準に考えてみます

 

2台目の機械

  • 2台目の機械=300kgの収穫
  • 1人を雇う=500kgの収穫

300÷500=0.6

つまり、2台目の機械は「人を雇うときと比べて0.6倍の生産量」に相当します。

 

3台目の機械

  • 3台目の機械=200kgの収穫
  • 1人を雇う=500kgの収穫

200÷500=0.4

つまり、3台目の機械は「人を雇うときと比べて0.4倍の生産量」に相当します。

 

ココがポイント

このように「無人稲刈り機」を1台増やすにつれて、人を雇う価値が高まります。

 

補足

  • 2台目の機械と同じ生産量(300kg)を得るには、0.6人を雇う必要があります。
  • 3台目の機械と同じ生産量(200kg)を得るには、0.4人を雇う必要があります。

「片方の生産要素(機械)の投入量」を1単位増やすほど、同じ生産量を得るために必要な「もう片方の生産要素(人)の投入量」が減っていることが分かります(0.6人→0.4人)。

 

まとめ

技術的限界代替率は「ある生産要素(資本・労働)の投入量を1つ増やしたとき、同じ生産量を維持するために、もう片方の生産要素(資本・労働)の投入量をどれくらい減らす必要があるか」を表している。技術的限界代替率には「ある生産要素(資本・労働)の投入量を増やすほど、もう片方の生産要素(資本・労働)は減らす量が少なくなる」という特徴がある。これを「技術的限界代替率逓減の法則」という。

技術的限界代替率の求め方・計算方法

 

ポイント

基本的には、等量曲線の傾きを求めることで「技術的限界代替率」が分かります。

 

 

グラフで見ると

技術的限界代替率=Marginal Rate of Technical Substitution

 

北国宗太郎
傾きと技術的限界代替率の関係がイマイチ分からない、、
まずはその辺の理屈から解説していくよ。
牛さん

 

等量曲線の傾き=技術的限界代替率

まずは

  • 等量曲線が直線だった場合を考える

この直線(等量曲線)は、100の生産量を得られる生産要素の組合わせを結んでいます。

  • 資本量=2
  • 労働量=2 という状態になっています。

 

次に

技術的限界代替率の定義を思い出す

ある生産要素を増やすとき、同じ生産量を維持するために、もう片方の生産要素をどれくらい減らす必要があるのか(交換比率)を表したもの

 

労働量を1単位増やしてみる

この時、同じ生産量(Y=100)を維持するために 資本量を1減らす必要があるとします

同じ生産量(Y=100)を維持するためには

  • 労働量を1増やす
  • 資本量を1減らす

つまり、技術的限界代替率(MRTS)=1となります。労働量を1単位多く投入したら、資本量を1単位少なくすることで同じ生産量(Y=100)を保てる⇒ 交換比率=1:1(1分の1)となっている状態。

 

この等量曲線の傾きを考えてみる

ポイント

等量曲線に限らず、グラフの直線の傾きを求めるには、次の計算の方法を使います。

  • (縦軸に移動した距離)/(横軸に移動した距離)

 

つまり

この等量曲線(直線)の傾きは、1となります。

 

北国宗太郎
技術的限界代替率=1で、等量曲線の傾きも1になったね。
うん。だから等量曲線の傾きを求めることになるんだ。
牛さん

 

ポイント

技術的限界代替率(MRTS)は「労働量を1単位多く投入したとき、同じ産出量を維持するために資本量をどれくらい減少させるか」を計算することになる。

グラフ的に見れば

  • 労働量を1単位多く投入したとき=横軸の移動距離
  • 資本量をどれくらい減少させるか=縦軸の移動距離

となるため、数学的には、等量曲線の傾きを求めるのと同じになる。

 

技術的限界代替率の計算式

 

先ほどの「等量曲線の傾き=技術的限界代替率の理由」を理解していれば簡単です。

 

変化量をΔとする

  • 労働量の増加分=ΔデルタL
  • 資本量の減少分=ΔデルタK

 

普通の等量曲線でも同じ

 

北国宗太郎
等量曲線の傾き=技術的限界代替率の理由 を理解していれば簡単だね。
うん。最後に計算問題を解くときに重要になる話をするね。
牛さん

 

資本の限界生産力・労働の限界生産力の比

ポイント

技術的限界代替率(MRTS)は「資本の限界生産力」と「労働の限界生産力」の比率で求められる。

 

北国宗太郎
どうして限界生産力(MP)が登場するの?
計算問題では頻出だから理解しておこう!
牛さん

 

まずは

限界生産力(MP)が登場する理由

先ほどまでは「横軸に移動した距離」「縦軸に移動した距離」という表現を使って、技術的限界代替率(等量曲線の傾き)を求めました。実は、この移動距離が限界生産力(MP)に当たります

 

先ほどのグラフを再チェック

 

ここで

限界生産力(MP)は「生産要素を追加的に1単位投入した時の産出量の増加分」です。

 

限界生産力(MP)の「生産要素を追加的に1単位投入」の部分が、グラフ上の横軸・縦軸の移動距離にあたります。

 

北国宗太郎
「産出量の増加分」は、どこに行ったの?
イコールになるから無視できるよ。
牛さん

 

ポイント

そもそも同じ等量曲線上では、生産量は一定です。つまり、同じ等量曲線上の移動なので「労働の追加投入で増加した産出量」と「資本の投入量が減ったことで減少した産出量」は、足し引き=0になります。

 

つまり

  • 労働の限界生産力 ⇒「横軸に移動した距離・それに伴って変化した産出量」
  • 資本の限界生産力 ⇒「縦軸に移動した距離・それに伴って変化した産出量」

「それに伴って変化した産出量」は、どちらも同じになります。

 

  • 労働の限界生産力 ⇒「横軸に移動した距離・それに伴って変化した産出量
  • 資本の限界生産力 ⇒「縦軸に移動した距離・それに伴って変化した産出量

このようになるので「技術的限界代替率(MRTS)(等量曲線の傾き)」を求めるときに”資本の限界生産力”と”労働の限界生産力”の比率を使うことが出来きます。

 

北国宗太郎
とても文系チックな説明でありがとうございます。
計算問題を解くときは、機械的にやるのがポイントです。
牛さん

考えると分けわからなくなります。ひとまず「資本の限界生産力(MPK)と労働の限界生産力(MPL)の比率で技術的限界代替率(MRTS)が求められる」という点を覚えておきましょう

 

上の説明は、生産関数(Y)を全微分を行う過程で「dY=0となる」という過程を言葉で説明したつもりです。説明を考えながら書いてみて分かりましたが、数学的に処理する方が簡単です(汗)

 

実際に計算して求める

例題

  • 生産関数(Y)=2√L・2√K

この時の技術的限界代替率(MRTS)を求める。

 

step
1
資本・労働の限界生産力(MP)を求める

限界生産力(MP)を求める時は微分をしますが、微分する理由が分からない人は「限界生産力・限界生産力逓減の法則」で確認してください。

 

「Y=2√L・2√K」を微分できるように変形します。

変形すると・・

 

知っておく①

 

次に「L」「K」で偏微分する

 

知っておく②

微分をするときは

  1. 乗数を手前に持ってくる
  2. 乗数を「1」マイナスする

 

後はこれを計算するだけ

(労働の限界生産力)

(資本の限界生産力)

 

知っておく③

マイナス2乗は分数を意味する

 

「-2分の1乗」だと・・

 

計算結果

 

step
2
資本・労働の限界生産力(MP)の比率を計算する

分母に「資本の限界生産力(MPK)」が出てきて混乱する人がいますが、全微分という計算過程を経ると上の式になります。

消費者理論の限界代替率・限界代替率逓減の法則 の「2財の限界効用の比になる数学的な説明(全微分)」で確認できます。ここでは説明を省略します。

 

北国宗太郎
少し混乱しそう。。
とりあえず計算してみよう!
牛さん

 

 

計算する

 

北国宗太郎
簡単に答えが出た。
計算ミスをしなければ楽勝です。
牛さん
  • 生産関数(Y)=2√L・2√K

このときの技術的限界代替率(MRTS)は「K/L」です。

 

技術的限界代替率の求め方は沢山ありますが、オーソドックスな方法で計算してみました。

もっと早く簡単に計算する方法はありますが、この分野の理解を深める意味で、オーソドックスな計算方法も知っておきましょう。

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