ミクロ経済学

限界収入とは?競争市場と独占市場での違い・求め方を分かりやすく解説!

経済学で登場する「限界収入(MR)」という考え方。

  • 限界収入の意味は?
  • 競争市場・独占市場では限界収入が違う?
  • 限界収入はどうやって求めるの?
  • 頻出「独占市場と限界収入の関係」

限界収入(MR)が分からない人向けに、簡単に分かりやすくまとめました (グラフをたくさん使っています)。

限界収入とは?

 

限界収入(MR)とは?

商品を1つ売ったときに発生する、売上の増加分のこと(生産物を1単位当たり売却した時に得られる収入の増加分)。

英語では「Marginal Revenue」と言うのでMRと略します。Marginalには「1つ(1単位)変化すると、どうなるか?」という意味合いがある。

 

北国宗太郎
いまいちピンと来ないです。。
簡単な例で考えてみよう!
牛さん

 

例えば

  • 自動車を2台売ります

1台目は300万円で売れました。限界収入(追加で発生した売上)は300万円です。

2台目は290万円で売れました。限界収入(追加で発生した売上)は290万円です。

 

「限界収入」自体は、そこまで難しい考え方ではありません

限界収入は、完全市場や独占市場で登場します。その時に、関連する知識がないと「限界収入」が出てきて混乱する事になるので、注意が必要です。

 

北国宗太郎
「限界収入」以外にも、他の知識も重要なんだね。
うん。ここでは重要な要点を解説するよ!
牛さん

 

必ず押さえるポイント

  • 完全競争市場と独占市場の違いを理解する
  • おもに独占市場で重要になる

この2つを正しく理解しないと、限界収入の意味が分からなくなります。

 

 

step
1
完全競争市場だと

 

一番身近な「完全競争市場」では、次の前提があります。

  1. 価格⇒需要量
  2. 企業はプライステイカー

 

北国宗太郎
価格⇒需要量・・・?
基本的な話なんだけど、知らない人が多い話だよ。
牛さん

 

需要と供給のグラフ

考え方

完全競争市場では、企業は価格と需要量を操作することが出来ない

そのため企業は、市場で決まった価格⇒需要量の関係から、価格をテイクする(選ぶ)ことになります。これを「プライステイカー(価格受容者)」と言います。

 

 

step
2
独占市場だと

 

一方で「独占市場」には、競争市場とは違った前提があります。

  1. 需要量⇒価格
  2. 企業はプライスメーカー

 

需要と供給のグラフ

考え方

独占市場では、企業は価格を決定する(供給量を調整して間接的に価格を操作する)ことが出来ます。

そのため企業は、需要(供給)量⇒価格の関係から、価格をメイクする(決める)ことになります。これを「プライスメーカー(価格決定者)」と言います。

 

北国宗太郎
このグラフって適当に見てたけど色々と見方があるんだね・・!
うん。市場の状況で価格と需要の関係が変わるから注意してね。
牛さん

 

限界収入との関係

  • 競争市場の場合

自社で製品を100個生産しても、1000個生産しても、市場価格に影響を与えることは基本的にありません。

1つの企業がどのくらい生産しようと、市場価格は100円のままなので、企業は1個売るごとに100円の収入を得ます。したがって、限界収入は常に一定です。

 

  • 独占市場の場合

自社製品を増産すると市場価格に影響を与えます。

独占企業が生産を増やすと、供給量が増えるため市場価格が下がります企業はたくさん売るほど、収入の幅が減少するのです。したがって、限界収入は右下がりです。

 

例えば

 

トヨタが自動車を100万台増産しても、自動車の価格が下がることはありません

世界中にある車の数を考えれば、1企業がどれだけ頑張って増産しても、市場価格に影響を与えるほどの生産は出来ないのです。

仮に増産した100万台を売れば、おおよそ一定の収入を得られます限界収入は変わらない)。

 

トヨタが空飛ぶ車を量産した場合(独占市場)

世界でトヨタだけが販売している「空飛ぶ車」の量産を始めます。空飛ぶ車は、トヨタだけが販売しているので独占市場です。

量産すると、1台2000万円くらいだった空飛ぶ車は、1台500万円になります(ライバル企業がいないため、生産数がもろに市場価格に影響を与えます)。

したがって、限界収入が下がり始めます。2000万円だった限界収入は、500万円程度になります。

 

まとめると

完全競争市場の場合

  • 限界収入(MR)=価格(P)

先ほどの説明の通り、販売価格100円の商品を売れば、限界収入は必ず100円になります。限界収入=(販売)価格

 

独占市場の場合(グラフ)

 

ポイント

例えば、独占市場でこんな状態だった場合

  • 10個 100円 =1000円
  • 11個 99円 =1089円

※独占市場なので、供給量を増やすと市場価格が下落する。

10個→11個へと生産を増やすと限界収入は89円になります。しかし、価格は99円なので、限界収入< 価格(P)となります。

 

北国宗太郎
牛さん、「限界収入(MR)<価格(P)」までは分かったけど、「限界収入(MR)<需要曲線(D)」がイマイチ分かりません・・・
戸惑うポイントだよね。でもグラフの見方を思い出せば直ぐわかるよ!
牛さん

独占市場の場合は・・

 

つまり

独占市場で11個生産すると、需要(曲線)があるところで価格が決まります(価格(P)=99円)。一方で「限界収入(MR)=89円」です。つまり、グラフの通り「限界収入(MR)< 需要曲線(D)」となります

 

北国宗太郎
おお・・。「限界収入(MR)< 需要曲線(D)」が見えました。
良かったです。次は限界収入曲線(MR)をもっと正確に求めてみるよ。
牛さん

限界収入曲線(MR)の求め方

 

ポイント

完全競争市場では「限界収入(MR)=価格(P)」です。

そのため、経済学でよく問題になるのは、独占市場で「限界収入曲線(MR)」をどうやって求めるかです。

 

北国宗太郎
考え方自体は、さっきの通りで大丈夫ですか?
うん。独占市場は数式を使って求めてみるよ!
牛さん

 

まずは簡単な競争市場で考えてみます。

 

完全競争市場の場合

  • 1台100万円の車を20台売るとき(競争市場)

総収入(R)=100万円× 20台 =2000万円

 

この時の限界収入(MR)を求める

競争市場では「限界収入(MR)=価格(P)」となります。この問題の答えは「限界収入(MR)=100万円」です。

 

100万円の車を1台売れば収益が100万円増えるので「限界収入(MR)=100万円」

 

独占市場の場合(限界収入との関係について)

 

北国宗太郎
経済学では頻出と噂の・・
独占市場で限界収入(MR)を求めるのは定番です。
牛さん

 

独占市場で限界収入(MR)を求める場合に、必ず登場する話があるので紹介していきます。

 

独占市場と限界収入の関係

  • 独占市場では、限界収入曲線(MR)は、需要曲線の傾きよりも(絶対値で考えて)2倍の傾きになる

 

北国宗太郎
さっきのグラフにそんな秘密があったんだ・・。
独占市場では、必ずこうなるから確認しよう!
牛さん

 

計算してみる

  • D=需要(生産量)
  • P=価格

需要曲線を「D=-aP+b」とします

※計算を簡単にするために「傾き(a)=1」で考える

「Ⅾ=-aP+b」⇒「D=-P+b」⇒「P=-D+b

 

次に

総収入(TR)= D(需要量) × 価格(P)」です。

先ほどの「P=-D+b」を「価格(P)」に代入します。

総収入(TR)=「D×(-D+b)」 =「(ーDの2乗)+Db」

 

この時の限界収入を求める

ここで需要(D)で微分します。

 

必ず覚えておく!

限界収入(MR)は、総収入を生産量で微分したものになる。需要があるだけ生産するので、需要(D)=生産量と考えてください

 

北国宗太郎
牛さん、どうして微分するの?
微分の意味を知っておく必要があるね。
牛さん

 

ポイント

微分は、値が1つ変化した時に、関数がどんな変化をするのかを計算するもの

「限界収入(MR)」は、商品を1つ売ったときに発生する、収入の増加分のことなので、総収入(TR)を微分すれば、商品を追加で1個売上げた時に、総収入(TR)がどんな動きをするのかが直ぐに分かる

 

微分は、乗数を1つ減らして、元の乗数を定数に掛ける

例えば

  • 「Aの3乗」を微分→「3Aの2乗」
  • 「Aの2乗」を微分→「2A」
  • 「A (の1乗)」を微分→「1」

「A」を微分する場合は「Aの1乗」と考えます。また、微分すると「1Aの0乗」となりますが、0乗=1なので「1×1=1」となります。

 

先ほどの総収入(TR)を需要(D)で微分する

「(ーDの2乗)+Db」 ⇒「P’=ー2D+b」となります

微分する前の数式→「P=-D+b

つまり、独占市場では、限界収入曲線(MR)は、需要曲線の傾きよりも(絶対値で考えて)2倍の傾きになる。

 

限界収入を求める時は「総収入を生産量で微分する」ことを忘れないでおきましょう!

 

北国宗太郎
牛さん、限界収入の求め方は分かったけど、これで大丈夫?
経済学の問題だと、需要関数とかが与えられて「独占市場の時の限界収入(MR)を求めなさい」的なことになるから、ここを理解して、練習問題とかを解けば大丈夫だよ。
牛さん

 

ちなみに

限界収入以外に「限界費用(MC)」や「独占市場での価格の決まり方」など、他の話と絡めてくることが多いので、その辺りも勉強しておきましょう~!

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