ミクロ経済学

【総収入曲線】なぜ完全競争・独占で形状が違うのか

教科書でも記載が少なくて分かりづらい「総収入曲線(TR)」

  • 完全競争市場の場合
  • 独占市場の場合

2つのケースでは総収入曲線の形状が異なるため、それぞれについて簡単にまとめています。

総収入曲線(TR)とは?

総収入曲線(TR)

企業の総収入(生産量と収入金額の関係)をグラフとして描いた曲線

  • 縦軸=収入額
  • 横軸=生産量(Q)

として生産量と収入金額を対応させて描くのが一般的。

 

総収入曲線は「完全競争市場」と「独占市場」で形状が異なります

 

北国宗太郎
順番に解説をお願いします。
承知のすけです。
牛さん

 

完全競争市場の場合

 

ポイント

完全競争市場においては、総収入曲線(TR)は右上がりの直線となる。

 

基本を押さえる

完全競争市場では、生産販売量(Q)に影響なく常に「価格=収入となる

生産販売量(Q価格(P)」で企業の総収入(TR)が求められる

 

北国宗太郎
言葉だけだとイメージし辛いね。。
グラフでも確認しよう!
牛さん

 

例えば

1台300万円の車を販売したときの総収入は…

  • 300万円(P)×1台(Q)=300万円(TR)
  • 300万円(P)×2台(Q)=600万円(TR)
  • 300万円(P)×3台(Q)=900万円(TR)

販売価格(P)300万円に生産販売量(Q)を掛けていけば総収入になります。

完全競争市場における総収入曲線は、右上がりの直線になります。

 

北国宗太郎
簡単だね!
うん。あともう1つポイントがあるよ。
牛さん

 

総費用との関係を知っておく

 

 

ポイント

総費用曲線を使えば利潤最大化するポイントが分かります。

 

総費用曲線についてはこちら

【費用曲線の要点を分かりやすく】総費用・固定・可変・平均可変・限界

 

まずは思い出す

  • 利潤(π)=総収入(TR)-総費用(TC)

グラフ上では、矢印の部分が利潤となる

 

ポイント

この矢印が一番長くなる時に利潤最大化が実現する。

 

北国宗太郎
長さはどうやって計るの?
数学的に解決できるから計る必要はないんだ。
牛さん

 

この矢印が一番長くなるのは、総収入曲線(TR)と総費用曲線(TC)の接線の傾きの大きさが一致する瞬間です。

 

グラフで見ると‥

 

つまり「Q1」の生産量で利潤最大化する

 

北国宗太郎
グラフなら簡単だね!(計算問題は面倒だけど)
うん。おまけでもう1つ!
牛さん

 

知っておく

経済学で「接線の傾き」と出た場合は”限界●●”となる

  • 総収入曲線(TR)の接線の傾き⇒限界収入(MR)
  • 総費用曲線(TC)の接線の傾き⇒限界費用(MC)

それぞれ「接線の傾きの大きさ限界収入(MR)・限界費用(MC)の大きさ」となる。計算のときは総収入曲線・総費用曲線をそれぞれ生産量(Q)で微分すれば接線の傾きが求められます。

 

限界費用(MC)と限界収入(MR)についてはこちら

 

更に

完全競争市場における利潤最大化の条件「P=MC=MR」

グラフでは「接線の傾きの大きさが同じ」になる瞬間に利潤最大化(矢印が1番長くなる)が実現します。「接線の傾きの大きさが同じ限界収入(MR)・限界費用(MC)の大きさが同じ」と言えるため「MC=MR」となります。

独占市場の場合

 

ポイント

独占市場においては、総収入曲線(TR)は凸型(逆U字)の曲線となる。

 

基本を押さえる

独占市場では、生産販売量(Q)が多くなるほど収入の増加具合が減少するため「価格>収入となる

 

北国宗太郎
分からないです。。
重要な項目だから、しっかりと押さえよう!
牛さん

 

重要

独占市場の利潤最大化「限界費用=限界収入」と価格の決まり方

 

「価格>(限界)収入」が理解出来た人は次です。

独占市場では、生産販売量(Q)を増やし続けると(限界)収入が減少していきます。

 

ポイント

独占市場では、過剰生産を行うと価格の下落を招き、結果的に総収入が減少する

 

北国宗太郎
総収入が減少・・・?
詳しく見ていこう!
牛さん

 

例えば

空飛ぶ車を販売します(独占市場を想定)

  • 100台・1400万円で販売(総収入=14億円)
  • 200台・1000万円で販売(総収入=20億円)
  • 300台・600万円で販売(総収入=18億円)

販売価格が下落しているのは独占市場だからです。独占市場では量産するほど市場価格が下落していきます。ただし、企業は市場価格を受け入れずに独占価格で販売を行います。意味が分からなければ確認する⇒独占市場の利潤最大化「限界費用=限界収入」と価格の決まり方

 

独占市場における総収入曲線は、凸型(逆U字)の曲線になります。

 

北国宗太郎
少しずつ理解出来てきました。
独占市場は完全競争市場と考え方が違うから気を付けよう!
牛さん

 

完全競争市場のときと同じく、総費用曲線との関係も押さえましょう。

 

総費用との関係を知っておく

 

 

ポイント

総費用曲線を使えば利潤最大化するポイントが分かります。

 

総費用曲線についてはこちら

【費用曲線の要点を分かりやすく】総費用・固定・可変・平均可変・限界

 

まずは思い出す

  • 利潤(π)=総収入(TR)-総費用(TC)

グラフ上では、矢印の部分が利潤となる

 

ポイント

この矢印が一番長くなる時に利潤最大化が実現する。

 

完全競争市場と同じです

この矢印が一番長くなるのは、総収入曲線(TR)と総費用曲線(TC)の接線の傾きの大きさが一致する瞬間です。

 

グラフで見ると‥

 

つまり「Q1」の生産量で利潤最大化する

 

北国宗太郎
利潤最大化の関係は、完全競争市場と同じだね!
うん。おまけでもう2つ!
牛さん

 

知っておく①

経済学で「接線の傾き」と出た場合は”限界●●”となる

  • 総収入曲線(TR)の接線の傾き⇒限界収入(MR)
  • 総費用曲線(TC)の接線の傾き⇒限界費用(MC)

それぞれ「接線の傾きの大きさ限界収入(MR)・限界費用(MC)の大きさ」となる。計算のときは総収入曲線・総費用曲線をそれぞれ生産量(Q)で微分すれば接線の傾きが求められます。

 

限界費用(MC)と限界収入(MR)についてはこちら

 

独占市場における利潤最大化の条件「MC=MR」

グラフでは「接線の傾きの大きさが同じ」になる瞬間に利潤最大化(矢印が1番長くなる)が実現します。「接線の傾きの大きさが同じ限界収入(MR)・限界費用(MC)の大きさが同じ」と言えるため「MC=MR」となります。

 

知っておく②

独占市場の特徴である「価格>限界収入をグラフで確認する

利潤最大化が実現する生産量で、完全競争市場だった場合の総収入曲線は、右上がりの直線になります。このとき、この右上がりの直線の傾きは価格(P)を表している

例えば、完全競争市場における総収入を表す数式を考えます。価格=100円で生産量をQとするとき「総収入=100Q」となります。この100は、数学的には右上がりの直線の傾きになります。

独占市場で「価格>限界収入」となるのは重要なので意味が分からなければ知っておこう!⇒独占市場の利潤最大化「限界費用=限界収入」と価格の決まり方

 

北国宗太郎
最後のは良くわからなかったけど、後は分かった。
ひとまず完全競争市場と独占市場の違いを理解するのが重要です。
牛さん

関連コンテンツ



-ミクロ経済学
-, , ,