経済学

【限界代替率・限界代替率逓減の法則】無差別曲線の傾きの求め方・式を分かりやすく解説

2019年10月14日

無差別曲線の傾きを求める「限界代替率

無差別曲線が分かっても、限界代替率の意味が分からずに苦労する人も多いです。

  • 限界代替率とは?
  • 限界代替率逓減の法則とは?
  • 計算の方法・求め方
  • 限界効用の比率と全微分

限界代替率について、イマイチ理解できない人向けに簡単にまとめています。

限界代替率・限界代替率逓減の法則とは?

 

限界代替率とは

同じ効用水準を維持するための2財の交換比率。

ある財の消費量を増やすとき、もう片方の財の消費量をどれくらい減らせば、同じ効用を維持できるかを表している。無差別曲線の接線の傾きになる。

 

北国宗太郎
代替は「他のもので置き換える」みたいな意味だよね。
うん。限界代替率もイメージは同じだよ。
牛さん

 

例えば

紅茶とコーヒーを飲みます。

紅茶・コーヒー、どちらを飲んでも10の効用を得られるとします。

 

ここで

「効用=10」を維持することを考えてみます。

 

北国宗太郎
紅茶を1杯飲むか、コーヒーを一杯飲めばイイね。
そうだね。それこそ限界代替率だよ。
牛さん

 

ポイント

10の効用を維持するためには「紅茶を1杯飲んで、コーヒーを飲まない」「紅茶を飲まずに、コーヒーを1杯飲む」のどちらかです。

つまり、どちらの場合でも、財を1単位消費するときに、もう片方の財を1単位減らす(諦める)必要があります。この交換比率を限界代替率と言います。

※紅茶とコーヒーの例では、限界代替率は「1」となります。

 

限界代替率逓減ていげんの法則について

限界代替率には「X財の消費量を1つ増やすほど、減らすY財の消費量は小さくなる」という特徴がある。

 

北国宗太郎
牛さん、ピンときません。
今度は紅茶とパンケーキの話で考えてみよう。
牛さん

 

例えば

紅茶とパンケーキを食べます。

今度は、紅茶を全然飲めずに、パンケーキばかりを食べているとします。

 

甘党

そろそろ、飲み物が欲しいな・・

 

北国宗太郎
普通はそうなるよね。
この状態に注目です。
牛さん

 

ポイント

もし紅茶を飲めずに、パンケーキを5個食べていると、紅茶の価値は凄く高くなります。「パンケーキ6枚目< 紅茶1杯」と感じる。

このように「2つの財があったとき、片方の財を消費し続けると、次第にもう片方の財の価値(得られる効用)が高まる状態のこと」を限界代替率逓減の法則と言います。

 

仮に

  • 紅茶とパンケーキを食べて、100の効用を得ようとします。

最初にパンケーキを食べて効用が50になりました。次の紅茶を1杯飲めばもう50の効用を得られそうです。

 

しかし

紅茶を飲まずに、パンケーキをもう1枚食べたとします。残念ながら、お腹いっぱいで+30の効用にしかなりませんでした。

もう1枚パンケーキを食べれば+20の効用で、合計100の効用になります。

 

ポイント

追加的な1単位の消費から得られる効用

  • 2枚目のパンケーキ=30の効用
  • 3名目のパンケーキ=20の効用
  • 紅茶1杯=50の効用

パンケーキを追加で1枚消費するにつれて、紅茶の相対的な価値が高まっています。これを、パンケーキの効用を基準に考えてみます

 

2枚目のパンケーキ

  • 2枚目のパンケーキ=30の効用
  • 紅茶1杯=50の効用

30÷50=0.6

つまり、2枚目のパンケーキは「紅茶0.6杯分」に相当します。

 

3枚目のパンケーキ

  • 3枚目のパンケーキ=20の効用
  • 紅茶1杯=50の効用

20÷50=0.4

つまり、3枚目のパンケーキは「紅茶0.4杯分」に相当します。

 

ココがポイント

「パンケーキの消費量」を1枚増やすにつれて、同じ効用を得るために必要な「紅茶の消費量」が減っているのが分かります。この特徴こそが「X財の消費量を1つ増やすほど、減らすY財の消費量は小さくなる」という限界代替率逓減の法則の意味になります。

 

補足

  • 2枚目のパンケーキと同じ効用を得るために必要な「紅茶の消費量」は0.6杯
  • 3枚目のパンケーキと同じ効用を得るために必要な「紅茶の消費量」は0.4杯

「片方の財の消費量」を1単位増やすほど、同じ効用を得るために必要な「もう片方の財の消費量」が減っていることが分かります(0.6杯 → 0.4杯)。

 

まとめ

限界代替率は「X財の消費量を1つ増やしたとき、同じ効用を維持するために、どれくらいY財の消費量を減らす必要があるか」を表している。限界代替率には「X財の消費量を1つ増やすほど、減らすY財の消費量は小さくなる」という特徴がある。これを「限界代替率逓減の法則」という。

限界代替率の求め方・計算方法

 

ポイント

基本的には、無差別曲線の傾きを求めることで「限界代替率」が分かります。

 

グラフで見ると

限界代替率(MRS)=「Marginal Rate of Substitution」の略

 

北国宗太郎
つまり、この傾きを求めることが、限界代替率を求める事になるんだね。
うん。まずはその辺の理屈から解説していくよ。
牛さん

 

無差別曲線の傾き=限界代替率の理由

まずは

  • 無差別曲線が直線だった場合を考えてみる

この直線(無差別曲線)は、4の効用を得られる消費の組合わせを結んでいます。

  • X財の消費量=2
  • Y財の消費量=2 という状態になっています。

 

次に

限界代替率の定義を思い出してください。

ある財の消費量を増やすとき、同じ効用を維持するために、もう片方の財の消費量をどれくらい減らす必要があるのか(交換比率)を表したもの

 

X財の消費量を1単位増やしてみる

この時、同じ効用水準(4)を維持するために Y財の消費量を1減らす必要があるとします

 

同じ効用水準(4)を維持するためには

  • X財の消費量を1増やす
  • Y財の消費量を1減らす

つまり、限界代替率(MRS)=1となります。X財を1つ多く消費したら、Y財を1つ少なくしないと同じ効用が保てない⇒ 交換比率=1:1(1分の1)となっている状態。

 

北国宗太郎
かろうじて理解しまた。
噛んでるみたいだけど、次に進みます。
牛さん

 

この無差別曲線の傾きを考えてみる

ポイント

無差別曲線に限らず、グラフの直線の傾きを求めるには、次の計算の方法を使います。

  • (縦軸に移動した距離)/(横軸に移動した距離)

 

つまり

この無差別曲線(直線)の傾きは、1となります。

 

北国宗太郎
限界代替率=1で、無差別曲線の傾きも1になったね。
うん。だから無差別曲線の傾きを求めることになるんだ。
牛さん

 

ポイント

限界代替率(MRS)は「X財を1つ消化したとき、同じ効用を維持するためにY財の消費量をどれくらい減少させるか」を計算することになる。

グラフ的に見れば

  • X財を1つ消化したとき=横軸の移動距離
  • Y財をどれくらい減少させるか=縦軸の移動距離

となるため、数学的には、無差別曲線の傾きを求めるのと同じになる。

 

限界代替率の計算式

 

先ほどの「無差別曲線の傾き=限界代替率の理由」を理解していれば簡単です。

 

変化量をΔとする

  • X財の消費量の増加分=ΔデルタX
  • Y財の消費量の減少分=ΔデルタY

 

普通の無差別曲線でも同じ

 

北国宗太郎
確かに「無差別曲線の傾き=限界代替率の理由」を理解していれば簡単だね。
うん。最後に計算問題を解くときに重要になる話をするね。
牛さん

 

限界代替率は2財の限界効用の比になる

 

ポイント

限界代替率(MRS)は、2財の限界効用から求めることも出来る。(限界代替率は「X財の限界効用」と「Y財の限界効用」の比率で表すことができる。)

 

北国宗太郎
どうして限界効用(MU)が登場するの?
計算問題では頻出だから理解しておこう!
牛さん

 

まずは

限界効用(MU)が登場する理由

先ほどまでは「横軸に移動した距離」「縦軸に移動した距離」という表現を使って、限界代替率(無差別曲線の傾き)を求めました。実は、この移動距離が限界効用(MU)に当たります

 

重要なのでもう一度

ポイント

限界代替率(MRS)は「X財を1つ消化したとき、同じ効用を維持するためにY財の消費量をどれくらい減少させるか」を計算することになる。

グラフ的に見れば

  • X財を1つ消化したとき=横軸の移動距離
  • Y財をどれくらい減少させるか=縦軸の移動距離

限界代替率(MRS)=「縦軸に移動した距離」/「横軸に移動した距離」

 

ここで

限界効用(MU)は、「財を追加的に1単位消費したときの、効用の増加分」です。

 

限界効用(MU)の「財を追加的に1単位消費」の部分が、グラフ上の横軸・縦軸の移動距離にあたります。

 

北国宗太郎
「効用の増加分」は、どこに行ったの?
イコールになるから無視できるよ。
牛さん

 

ポイント

そもそも同じ無差別曲線上では、効用の大きさは一定です。つまり、同じ無差別曲線上の移動なので「X財の効用が増加した分」と「Y財の効用が減少した分」は、足し引き=0になります。

 

つまり

  • X財の限界効用 ⇒「横軸に移動した距離・それに伴って変化した効用の大きさ」
  • Y財の限界効用 ⇒「縦軸に移動した距離・それに伴って変化した効用の大きさ」

「それに伴って変化した効用の大きさ」は、どちらも同じになります。

 

  • X財の限界効用 ⇒「横軸に移動した距離・それに伴って変化した効用の大きさ
  • Y財の限界効用 ⇒「縦軸に移動した距離・それに伴って変化した効用の大きさ

このようになるので「限界代替率(MRS)(無差別曲線の傾き)」を求めるときに、2財の限界効用(MU)の比率を使うことが出来きます。

 

北国宗太郎
とても文系チックな説明でありがとうございます。
計算問題を解くときは、機械的にやるのがポイントです。
牛さん

考えると分けわからなくなります。ひとまず「2財の限界効用(MU)の比率で限界代替率(MRS)が求められる」という点を覚えておきましょう

 

上の説明は、効用関数(U)を全微分を行う過程で「dU=0となる」という過程を言葉で説明したつもりです。説明を考えながら書いてみて分かりましたが、数学的に処理する方が簡単です(汗)

 

2財の限界効用の比になる数学的な説明(全微分)

数学的な説明

  • 効用関数(U)=U(x, y)がある
  • 「U」は「効用の大きさ」
  • 「x」は「X財の消費量」
  • 「y」は「Y財の消費量」

つまり「X財の消費量」「Y財の消費量」から、どれくらいの効用(U)が得られるのか?を数式化したもの

そもそも無差別曲線は、効用関数(U)から求められるものです。その辺りの話が分からない人はこちらで確認⇒【無差別曲線】意味や性質・効用関数との関係をわかりやすく※よくある疑問の「無差別曲線と効用関数はイコールじゃない」を参照

 

確認

「効用関数(U)=U(x, y) 」の「U(x, y)」は次の意味があります。

効用関数(U)=「〇x」×「〇y」

  • 効用関数(U)=x × y
  • 効用関数(U)=5x × 5y
  • 効用関数(U)=100x × 200y

このような数式を意味しています。通常「〇x」×「〇y」の「〇」にどんな数字が入るかは問題文に書いています。ここでは、〇の部分(定数)は不要なので省略します。

 

ここで

  • 「効用関数(U)=U(x, y)」を全微分する

ここでの全微分の意味は、効用関数(U)=「〇x」×「〇y」の「x」「y」の大きさが変化した時に、効用(U)の大きさがどんな変化をするか?を知るためです。

具体的な数字が分かれば計算できますが、文字だけで表現するとどうなるか?という感じです。

 

それぞれを文字に置き換える

  • 「x (X財の消費量)」の変化量を「dx」
  • 「y (Y財の消費量)」の変化量を「dy」
  • 最終的な効用(U)の変化量を「dU」

「d」は「ディー」などと呼びます。

メモ

全微分をすると上記の式になる。全微分は大学数学の範囲で、上の式になる説明をすると長い話になるので省略します。

Youtubeで【大学数学】全微分とは何か【解析学】という動画があったので、興味があれば参考にしてみてください。

動画内で、3次元のグラフの話が登場しますが、先に【無差別曲線】意味や性質・効用関数との関係を簡単に の「①無差別曲線と効用関数はイコールじゃない」を読んでおくとイメージしやすいです。

ここでは、全微分した後の数式の意味を説明していきます。

 

北国宗太郎
「∂U/∂x」って何でしょうか・・・・。
ちゃんと勉強していれば見たことがあるはずです。
牛さん

 

ポイント

全微分した後に登場する「∂U/∂x」「∂U/∂y」は限界効用(MU)と同じ

 

2財のときの限界効用(MU)を求めると

  • X財を消費した時の限界効用(MUx)=「∂U/∂x」
  • Y財を消費した時の限界効用(MUy)=「∂U/∂y」

という風になります。

2財の限界効用(MU)を求める話は、こちらで確認できます⇒ 限界効用・限界効用逓減の法則とは?求め方も含めて簡単にわかりやすく※「財が2つの場合」を参照

 

つまり

全微分した後の数式の意味は、次のようになります。

 

北国宗太郎
日本語で見れば、何となくだけど分かってきた。
それじゃあ、次のステップだよ。
牛さん

 

あらためて

ここまでの話は「限界代替率(MRS)を求める」=「無差別曲線の傾きを求める」と進んできていました

 

ポイント

ここで、同じ無差別曲線上なら、どの点でも効用の大きさは同じです。

先ほどの「効用関数(U)=U(x, y)」で「x」「y」の大きさがどう変わろうと、効用の大きさは常に同じ値になります。

 

つまり

  • 全微分した式の左辺が=0になる

全微分した式は、X財・Y財の消費量を変化させた結果、最終的な効用がどれくらい変化するかを表しています。無差別曲線上の変化を考えると、効用はどの点でも同じになるので効用の変化量は「0」になります。

 

ここで

  • 「x (X財の消費量)」の変化量を「dx」
  • 「y (Y財の消費量)」の変化量を「dy」

とおいていたので、次のように言えます。

  • 「dx」が「横軸に移動する距離」
  • 「dy」が「縦軸に移動する距離」

「縦軸に移動する距離=dx」/「横軸に移動する距離=dy」

 

ポイント

限界代替率(MRS)=「dy/dx」になる。

 

北国宗太郎
移動距離の話って何だっけ・・・。
忘れた人は確認しよう!
牛さん

 

限界代替率(MRS)=「dy/dx」になることは重要なポイントです。

先ほどの全微分した式を見てください。

 

この式は、ここから限界代替率(MRS)=「dy/dx」を導出することが出来ます。

 

北国宗太郎
限界代替率「dy/dx」が出てきた。
こんな感じです。とりあえず、一般的な形にするね。
牛さん

一般的には、限界代替率(MRS)の方をマイナスにして表記します。

 

ポイント

効用関数(U)=U(x, y)を全微分した式は、左辺が限界代替率(MRS)=「-(dy/dx)」になる。

 

北国宗太郎
牛さん、右辺はゴチャゴチャしてるね。
右辺も言葉で書けば分かりやすいよ。
牛さん

 

途中でも書きましたが、2財の限界効用は次のようになります。

  • X財を消費した時の限界効用(MUx)=「∂U/∂x」
  • Y財を消費した時の限界効用(MUy)=「∂U/∂y」

2財の限界効用(MU)を求める話は、こちらで確認できます⇒ 限界効用・限界効用逓減の法則とは?求め方も含めて簡単にわかりやすく※「財が2つの場合」を参照

 

つまり

 

「X財の限界効用(MUx)」/「Y財の限界効用(MUy)」となっていますが、これは比率を表しています。

例えば「縦軸(y)=5:横軸(x)=2」なら比率は「2/5」と分数表記できます。

 

まとめ

  • 限界代替率(MRSxy)=「X財の限界効用(MUx)」/「Y財の限界効用(MUy)」

※限界代替率(MRSxy)の「xy」部分は、xyの限界代替率という意味合い。

効用関数(U)を全微分した式から上記が求められる。つまり、限界代替率(MRS)は2財の限界効用(MU)の比になることが言える。

 

北国宗太郎
これを使えば、限界代替率を求める問題も解けるのかな?
うん。簡単な手順を紹介しておくね。
牛さん

 

おまけ

  • ミクロ経済学「限界代替率(MRS)を求める問題」の解き方の手順

通常、問題文に効用関数(U)が与えられます。

例1)効用関数を「U(x, y)=100xy」とする。
例2)効用関数を「U(x, y)=√x・√y」とする。

 

次に

効用関数(U)が与えられるので、そこから、2財の限界効用(MU)を求めます。

 

最後に

2財の限界効用(MU)が分かれば、下記の式に代入すればOKです。

  • 限界代替率(MRSxy)=「X財の限界効用(MUx)」/「Y財の限界効用(MUy)」

ここでは「X財」「Y財」と統一した表現にしていますが、「X1財」「X2財」のようなパターンもあります。状況に応じて、分子分母を間違えないように気を付けましょう。

 

北国宗太郎
後は、問題をたくさん解くのが大事だね!
うん。ここでは予算線の話とかをしていないから、色々な組み合わせの問題を解こう!
牛さん

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