ミクロ経済学

【供給曲線シフトの要因】例を交えて分かりやすく理解する

外部要因によって、企業の供給曲線を変化させることを「供給曲線のシフト」と言います。

  • 供給曲線のシフトとは?
  • 原材料費の変化
  • 技術革新
  • 売り手の数が変わる
  • 気候・災害・事件
  • 税金

供給曲線がシフトする要因を、例を交えてまとめています。

供給曲線のシフトとは?

供給曲線のシフト

供給曲線が、何らかの要因によって移動(シフト)すること。

 

供給曲線がシフトする要因は様々ですが、注意点があります。

 

注意

  • その生産物(商品)の価格が変化する

これは供給曲線上の変化なので、供給曲線がシフトすることにはなりません

供給曲線は、価格と生産量(供給量)の対応関係を表しています。つまり、対象となる生産物の「価格の変化」だけの話なら、供給曲線上の動きだけで完結します。

 

ポイント

供給曲線のシフトは、その生産物(商品)の価格以外の要因の変化によって引き起こる

 

北国宗太郎
少し混乱。
実例を見ていけば、分かってくるよ!
牛さん

 

供給曲線がシフトする例は大きく次の通りです。

  • 原材料費の変化
  • 技術革新
  • 売り手の数が変わる
  • 気候・災害・事件
  • 税金

それでは早速、供給曲線がシフトする例を見ていきましょう!

 

原材料の価格が変化した場合

原材料費が変化すると生産量に影響を与えるため、供給曲線がシフトする要因となります。

 

原材料費が・・

  • 下落した場合

一般に供給曲線は右にシフトする

  • 高騰した場合

一般に供給曲線は左にシフトする

一般的なミクロ経済学では、供給曲線は「左or右にシフト」すると考えます。上下には動かしませんが、便宜上「左上・右下」ということもあります。

 

次に身近な話に置き換えてみましょう。

ここでは、原材料を生産要素(労働・資本)と考えてみます。ちなみに、原材料は石油・鉄・素材などが当てはまります。

 

人件費の高騰

日本では人手不足が騒がれて久しいです。

 

その結果、人件費がどんどん高騰しています。

 

北国宗太郎
ニュースで見ない日はないよね。
うん。日本は人口も減って大変。
牛さん

 

そのため

日本では「(ほぼすべての業種で)供給曲線が左にシフトしている」と言えます。

日本の人手不足

 

ここに注意

さきほど、供給曲線のシフトは「その生産物(商品)の価格以外の要因の変化によって引き起こる」と書きました。

 

原材料費が高騰したら生産物の価格も上がって、話が違うんじゃない?と思うかもしれません。供給曲線のシフトは生産物の価格が一定だと仮定しています。

なので「原材料費が高騰して商品価格を変えられないなら、どうなるか?」とイメージしてください。商品の価格が変えられないなら、原材料費が高騰した分、生産量を減らす(供給曲線が左にシフト)しか方法はありません。

 

一方で

生産量が減っても、例えば食品は需要量が減る(需要曲線が変わる)わけではないので、グラフの通り価格が上昇します。

つまり、現実世界で見かける「原材料費が高騰したら生産物の価格も上がる」は

供給曲線がシフトする

需要量は変わらない(需要曲線はシフトしない)

均衡点が変わって価格が上昇する

という経路をたどっています。

技術革新が進んだ場合

技術革新により、生産効率が変化して供給曲線がシフトします。

教科書的には「工場に新設備が導入された結果、生産効率が上がり供給量が増えて~」という例が多い気がしますが、少し視点を変えた例を紹介します。

 

例えば

  • センサー技術の開発

センサー技術は、外部の状況(空気や気温)・対象物(画像や人)などの情報を読み取って、電気信号に変換する技術です。

 

センサー技術は、IoT製品(インターネットに繋がった製品)・自動運転・無人レジなど、新時代の生活を支える技術です。

今後このような技術によって、今まで人が判断する必要があったものは全般的に置き換えが可能になっていきます。

 

つまり

センサー技術によって、日本の人手不足を補って生産性を向上させていきます。その結果、(ほぼ全ての業種で)供給曲線は、どんどん右にシフトしていく事になります。

センサー技術により生産効率が向上

 

売り手の数が変化した場合

売り手数が変化すれば、市場全体の供給量が変化するので供給曲線がシフトします。

 

売り手が・・

  • 増えた場合

一般に供給曲線は右にシフトする

  • 減った場合

一般に供給曲線は左にシフトする

一般的なミクロ経済学では、供給曲線は「左or右にシフト」すると考えます。上下には動かしませんが、便宜上「左上・右下」ということもあります。

 

タピオカブーム

日本では定期的にタピオカがブームになります。

 

ブームの都度、タピオカを扱う店が増えます

 

北国宗太郎
ブームになると、お店を始める人も多いよね。
いつの時代もムーブは無くならない。
牛さん

 

そのため

ブームになると「供給曲線は右にシフトする」と言えます。

タピオカブーム

 

天候・災害・事件など

 

天候・災害・事件などの影響により、供給曲線がシフトすることもあります。

 

例えば

  • 台風の被害

 

「台風で農作物がだめになって野菜の価格が上がった」というニュースはよく聞きます。

台風の被害を受けた農作物は「供給曲線が左へシフトする」と言えます。

台風被害で不作に陥る

 

ちなみに

台風で野菜の価格が上がるまでのプロセス

①農作物の供給曲線が左にシフト

 

②野菜の需要が減るわけではないので需要曲線はそのまま

 

③均衡点が変わって、野菜価格が上昇

 

北国宗太郎
自然災害が起こると、よくニュースになる。
うん。よく登場する例だから知っておこう。
牛さん

税金

ポイント

課税の影響は、費用曲線の動きを理解する必要がある。

 

これ1つで大きな項目なので別記事でまとめています。

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