ミクロ経済学

「間接効用関数」の意味や求め方

2019年12月31日

効用最大化が実現する効用水準を、価格と所得で表した「間接効用関数(V)」

  • 間接効用関数(V)とは?
  • 求め方・計算方法は?

間接効用関数(V)の意味なども分かりやすくまとめています。

間接効用関数とは?

間接効用関数とは

最適消費点の効用水準を表す関数で、価格と所得が変数(式)に組み込まれた効用関数のこと。通常の需要関数(D)を効用関数(U)=目的関数に代入して求める(のちに説明)。

ふつうの効用関数(U)は、財の消費量のみを変数(式)にしている(「U=xy」etc)。効用水準に間接的な影響を与える価格・所得を使った効用関数であるため、間接効用関数(V)と呼んでいる。

 

北国宗太郎
間接効用関数は、支出関数と似ている感じ?
うん。2つを並べると分かりやすいから確認しよう!
牛さん

 

通常の需要関数との関係

  • 「ふつうの効用関数(U)」
  • 「需要関数(D)」
  • 間接効用関数(V)」

補償需要関数との関係

  • 「ふつうの効用関数(U)」
  • 「補償需要関数(D’)」
  • 「支出関数(補償所得関数)(E)」

効用関数から順番に計算していくと間接効用関数(V)が求められます。

 

概要が分かったところで実際に計算していきましょう!

 

通常の効用関数・需要関数から求める

 

ポイント

効用関数が与えられていることが多いので、まずは需要関数(D)を計算します。

【効用関数】限界効用・種類・需要関数の求め方を簡単に解説!

 

例題

  • 「U(x, y)=xy」のとき、間接効用関数を求める

 

① 価格や消費量を文字でおき、予算制約式で表す。

  • X財の価格=Px
  • Y財の価格=Py
  • X財の消費量=x
  • Y財の消費量=y

予算制約線(I)は「(X財の消費量×X財の価格)+(Y財の消費量×Y財の価格)」で決まるので「xPx + yPy」と置けます。

以上より「予算制約線(I)= xPx + yPy」です。

 

② 効用最大化問題を解く

効用関数「U(x, y)=xy」と予算制約線「I=xPx + yPy」を使って、効用最大化問題を解きます。

解き方は効用最大化問題で確認できます。方法は沢山ありますが、ここでは「予算制約線の傾き=限界代替率」を使って解きます。

 

(1)予算制約線の傾きを求める

I=xPx+yPyより

  • I=xPx+yPy
  • y=-(xPx/Py)+I/Py
  • y=-(Px/Py)x+I/Py

(2)効用関数から限界代替率を求める

「U=xy」から「y=U/x」へ変形後に微分します。

  • 「y=U/x」⇒「U/xの2乗(=U・xの-2乗)」
  • 「U/xの2乗」に「U=xy」を代入
  • 「U(=xy)/xの2乗」⇒xy/xの2乗」=「y/x

 

(3)予算制約線の傾き=限界代替率で効用最大化(最適消費点)を求める

「-(Px/Py)」=「-y/x」

  • X財の需要関数「x=(Py/Px)y」
  • Y財の需要関数「y=(Px/Py)x」

 

効用関数(U=目的関数)=xyに需要関数(D)を代入する

  • 間接効用関数(V)=xy=(Py/Px)y(Px/Py)x
  • (V)=(yPy/Px)・(xPx/Py)
  • (V)=(yPy/Px)・(xPx/Py)
  • (V)=(yPy)・(x/Py)
  • (V)=xy

間接効用関数は「(V)=xy」

 

ちなみに

ふつうの効用関数(U)と間接効用関数(V)がともに「xy」となっていますが、たまたまです。効用関数が簡単な形だったため、一緒になりましたが、普通は違った関数になります。

 

北国宗太郎
支出関数(E)とほとんど同じだね。
需要関数なのか補償需要関数を使うか、後は代入先が違うから気を付けよう!
牛さん

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