独占市場の利潤最大化の条件に「MC=MR」というのがあります。
- 独占市場での利潤最大化
- どうして限界費用=限界収入となる?
- 価格の決まり方は?
少しばかり迷ってしまう話を、簡単に分かりやすくまとめています。
独占市場の利潤最大化
独占市場の利潤最大化
独占企業が自身の利益を最大化するために、どのような行動をとるのか?を考えたもの。


必ず知っておくこと
- [競争市場]企業はプライステイカー(価格受容者)
- [独占市場]企業はプライスメーカー(価格決定者)
競争市場の場合
価格が決まってから需要が決まります。価格⇒需要の関係は、市場によって決まるため、企業はどの価格で売るかを考えることになります (プライステイカー・価格受容者)。
独占市場の場合
独占市場だと話が変わります。どれくらい生産するかは企業が決めて、その後に価格が決まります (需要⇒価格の関係)。独占企業は需要(生産量)を調節することが出来るため、間接的に価格の決定権がある。 (プライスメーカー・価格決定者)。
ここも押さえる
- 独占市場では、生産を増やすと価格が下落する
ポイント
独占市場には、この特徴があるため「限界収入(MR)」が需要曲線よりも右下がりの曲線になります。
この話を知らない人は確認!
⇒ 限界収入とは?競争市場と独占市場での違い・求め方を分かりやすく解説!


利潤最大化
- 企業が1番利益が出る状態のこと。
どの市場でも「限界費用(MC)=限界収入(MR)」が利潤最大化となる


そもそも
完全競争市場(モデル)では「価格(P)=限界収入(MR)」
ポイント
価格が100円のものを売ったら、100円の収入になります。もう1個売っても、もう100円の収入になります。
なので、競争市場では、販売価格(P)=限界収入(MR)となります。
なので、完全競争市場の利潤最大化が「限界費用(MC)=価格(P)」となっていますが、本来であれば「限界費用(MC)=価格(P)=限界収入(MR)」という風になっているのです。


独占市場では「価格(P) >限界収入(MR)」となります
改めてここが分からない人は確認!
⇒ 限界収入とは?競争市場と独占市場での違い・求め方を分かりやすく解説!
限界費用も知っておこう
⇒ 限界費用とは?利益・平均費用との関係も分かりやすく簡単に解説
「限界費用(MC)=限界収入(MR)」で最大化する理由
なぜ、この交点で利潤が最大化するのか
まずは簡単に数学的に説明します。
利潤が最大化するのは「純利益=総収入(TR)ー総費用(TC)」が一番大きくなる時です。
次にそれぞれを生産量で微分すると
- 純利益(利潤)’=1個当たりの利益
- 総収入(TR)’= 限界収入(MR)
- 総費用(MC)’=限界費用(MC)
1個当たりの利益=限界収入(MR)ー限界費用(MC)
※この数式は微分をした後なので、1個当たりの利益を計算していることになる。
1個当たりの利益が0円になるまで作り続ければ、利益が最大化する
1個あたり1円でも利益が出るなら、作り続けることで利益が拡大する。なので、もう利益が出ない0円まで作り続けることで利潤が最大化する。
つまり
- 1個当たりの利益(0円)=限界収入(MR)ー限界費用(MC)
これを計算すれば、利潤が最大化するときの条件が分かる
限界費用(MC)=限界収入(MR)


その前に
利潤が最大化する「限界費用(MC)=限界収入(MR)」を理解するために
- 限界費用(MC)
- 限界収入(MR)
の2つを理解する必要があるので簡単に書いておきます。
例えば
- 1台100万円で車を売る
- 製造費用は90万円
この時、1台売るごとに100万円ずつ収入が増えていきます。
なので限界収入(MR)=100万円
また、製造費用は90万円なので、1台作るごとに90万円ずつ費用がかかります。
なので限界費用(MC)=90万円
ここで
自動車をたくさん作ると、置き場所に困るという問題が発生しました。そこで、車を保管する倉庫を借ります。
ココがポイント
どの業種でも、製造しすぎると余計にコストが発生する。
そのため、1台あたり90万円で製造していた車は、次第に1台当たり95万円くらいになります
これを繰り返した結果
1台あたりの製造費用が100万円になりました。
すると、100万円で販売している自動車を、100万円かけて作っていることになります。
ポイント
この時「限界費用(MC)=限界収入(MR)」となっています。
※つまり、これ以上車を作っても、利益が出せない状態です。


独占市場の価格の決まり方
「限界費用(MC)=限界収入(MR)」で利潤が最大化することが分かれば、どの価格でどれくらい生産するかという話になります。
まずは
上のグラフで分かる通り、「限界費用(MC)=限界収入(MR)」となる場所(交点)を見つけます。
次に
独占企業は「プライスメイカー(価格決定者)」なので「生産量⇒価格」となるようにグラフを見ていきます。
ポイント
「限界費用(MC)=限界収入(MR)」に合わせて、生産量を決めます (①)
そのまま、需要曲線(D)が伸びているところまで線を伸ばし、ぶつかるところで価格が決まります (②)
気を付ける
限界費用(MC)=限界収入(MR)で利潤が最大化しますが、価格は限界費用(MC)と限界収入(MR)の交点ではありません。
限界収入(MR)などの話は、あくまで企業側の話です。需要があるところで価格を決めましょう。あくまで、独占市場では「価格(P) >限界収入(MR)」です。この話が分からない人はこちらで確認⇒ 限界収入とは?


競争市場と独占市場をしっかりと分けて考えないと、利潤最大化は意味が分からなくなります。
しっかりと違いを理解しましょう~!