ミクロ経済学

支出関数(補償所得関数)の求め方

2019年12月22日

ある効用水準を達成するために必要な最低支出額(最低限の所得)を計算するための「支出関数(補償所得関数)」

  • 支出関数(補償所得関数)とは?
  • 求め方・計算方法は?

ヒックスの補償需要関数(D’)と混乱する人も多い支出関数を、分かりやすくまとめています。

支出関数(補償所得関数)とは?

支出関数とは

価格(P)と効用水準(U)で表される、最小支出額(補償所得)を計算する関数のこと。ある効用水準(U)を達成するためには、最低でいくら支出する必要があるのか(最低で所得がいくら必要か)?を計算することが出来る。

 

北国宗太郎
支出関数は、予算制約式みたいなイメージ?
厳密には違うけど、分からなかったら一旦それでいいよ。
牛さん

 

簡単な流れ

  • 「ふつうの効用関数(U)」
  • 「補償需要関数(D’)」
  • 「支出関数(補償所得関数)(E)」

効用関数から順番に計算していくと支出関数が求められます。

 

計算問題がメインになるので、さっそく計算方法を見ていきましょう!

 

通常の効用関数・補償需要関数から求める

 

ポイント

効用関数が与えられていることが多いので、まずは補償需要関数(D’)を計算します。

【ヒックスの補償需要曲線】マーシャルの需要曲線との違い・関数の求め方

 

例題

  • 「U(x, y)=xy」のとき、支出関数を求める

 

① 価格や消費量を文字でおき、支出額を式で表す。

  • X財の価格=Px
  • Y財の価格=Py
  • X財の消費量=x
  • Y財の消費量=y

支出額(E)は「(X財の消費量×X財の価格)+(Y財の消費量×Y財の価格)」で決まるので「xPx + yPy」と置けます。

以上より「支出額(E)= xPx + yPy」です。

 

この「支出額(E)= xPx + yPy」は支出関数(補償所得関数)の前段階になるので、これを答えにしないでください。

 

② 支出(費用)最小化問題を解く

効用関数「U(x, y)=xy」と支出額「E=xPx + yPy」を使って、支出(費用)最小化問題を解きます。

解き方は効用最大化問題と同じです。方法は沢山ありますが、ここでは「予算制約線の傾き=限界代替率」を使って解きます。

 

(1)予算制約線の傾きを求める

E=xPx+yPyより

  • E=xPx+yPy
  • y=-(xPx/Py)+E/Py
  • y=-(Px/Py)x+E/Py

(2)効用関数から限界代替率を求める

「U=xy」から「y=U/x」へ変形後に微分します。

  • 「y=U/x」⇒「U/xの2乗(=U・xの-2乗)」
  • 「U/xの2乗」に「U=xy」を代入
  • 「U(=xy)/xの2乗」⇒xy/xの2乗」=「y/x

 

(3)予算制約線の傾き=限界代替率で効用最大化(最適消費点)を求める

「-(Px/Py)」=「-y/x」

  • X財についての補償需要関数「x=(Py/Px)y」
  • Y財についての補償需要関数「y=(Px/Py)x」

 

③ 支出額「E=xPx + yPy」のx,yに補償需要関数(D’)を代入する

 

  • E=(Py/Px)y・Px + (Px/Py)x・Py
  • E=「Py・y + Px・x」
  • E=「yPy + xPx」

支出関数(補償所得関数)は「E=yPy + xPx」

 

ちなみに

途中で支出額を「E=xPx + yPy」と置いたのと、支出関数(補償所得関数)の答えが一緒になっていますが、たまたまです。

効用関数が簡単な形だったため、一緒になりましたが、普通は違った関数になります。

 

北国宗太郎
支出関数より、補償需要関数とかの計算を勉強したほうが良さそう。
最後に代入するだけだから、途中の計算が出来るように練習しよう!
牛さん

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