ミクロ経済学

【費用関数】意味・生産関数からの求め方

費用関数」は、ある生産量を実現させるときに必要となる最小費用を示した関数のこと。

  • 費用関数(C)とは?
  • 費用関数(C)の求め方・計算方法

生産者理論でも頻出する費用関数の意味や、生産関数との関係について分かりやすくまとめています。

費用関数とは?

費用関数とは

総費用を生産量の関数で表したもので「資本価格(r)・労働価格(w)・生産量(Y)」の3文字で表される。また、費用関数では企業の費用最小化行動も織り込まれている。

 

北国宗太郎
生産量の関数で表すってどういう意味ですか?
簡単に解説していくね。
牛さん

 

前提として

企業がある生産量を実現させるとき、最小費用で生産が行われる(費用最小化が実現する)。

この前提のときに「生産関数(Y)=KL」を「C=●●」に組み込むというイメージです。

 

更に

費用最小化問題では、等費用線(C)が与えられていることが一般的なので「等費用線(C)=rK+wL」へ「生産関数(Y)」を組み込めば費用関数(C)となります。

 

北国宗太郎
雰囲気は分かりました。
実際に計算したほうが分かりやすいから、見ていこう!
牛さん

 

費用関数の求め方・計算方法

 

ポイント

まずは費用最小化問題を解く。

最終的に「C=●●」という関数になり「生産要素の価格(r・w)・生産量(Y)」の「r・w・Y」という3文字だけで表されます。生産要素が1つしかない場合は2文字だけになります。

 

例題

  • 生産関数(Y)=√K・√L
  • 資本価格=r
  • 労働価格=w
  • 等費用線=rK+wL

このときの費用関数(長期費用関数)を求める。

長期費用関数(C)という表現は、生産要素が2つ以上のとき(資本を含めて考えた場合)に登場します。生産要素が1つのとき(労働だけなどの場合)は短期費用関数(C)と言います。

 

費用最小化を求める

費用最小化問題の解き方を知っている前提で計算を進めるので、分からない人はこちらで確認⇒【費用最小化】考え方・条件式・求め方について分かりやすく解説

 

step
1
技術的限界代替率(MRTS)を求める

  • 生産関数(等量曲線)から「傾き=技術的限界代替率」を求めます。

 

「生産関数(Y)=√K・√L」を「K=●●」の形にして微分する

まずは

「生産関数(Y)=√K・√L」の”√”を外す
両辺を2乗⇒「Yの2乗=K・L

次に

「Yの2乗=K・L」の両辺をLで割る⇒「K=(Yの2乗)/L」

最後に「K=(Yの2乗)/L」を微分する

  • -(Yの2乗/Lの2乗)(=-(Yの2乗・Lの-2乗))」となります。

 

注意ポイント

急にマイナス(-)記号が出てきて混乱した人は注意してください。「1/L」などの分数は、乗数を使って表すと「Lの-1乗」となることを知っておきましょう。

※「Lの-1乗」から-1を手前に持ってくる&-1乗から1を引いて「-2乗」⇒「-(Yの2乗・Lの-2乗)」。これを分数に戻すと「-(Yの2乗/Lの2乗)」

 

ここで

「Y」という文字が邪魔なので、Yを「KとL」に置き換えます。

「Y=√K・√L」を「-(Yの2乗/Lの2乗)」に代入します。

「-(Y(=√K√L)の2乗/Lの2乗)」⇒-(KL/Lの2乗)」=「-(K/L)

 

step
2
「等費用線の傾き」を求める

  • 等費用線(C)=rK+wL
  • C=rK+wL
  • rK=-wL+C
  • K=-(w/r)L+(C/r)

等費用線の傾きは「-(w/r)」

 

step
3
「等費用線の傾き=技術的限界代替率」で投入量を求める

  • 等費用線の傾き「-(w/r)」
  • 技術的限界代替率「-(K/L)」

「-(w/r)」=「-(K/L)」

① 両辺にLを掛ける

K=(w/r)L

②「K(w/r)L」の両辺に(r/w)を掛ける

L=(r/w)K

 

step
4
生産要素の投入量を生産関数(Y)で表す

費用最小化が実現する生産要素の投入量が求まりました。

  • K=(w/r)L
  • L=(r/w)K

ただし、これでは「K=●●」の中に”L”が含まれており、生産関数(Y)が含まれていません。

改めてですが費用関数(C)は「r・w・Y」の3つの文字で表されます。

 

なので

「生産関数(Y)=√K・√L」より

  • K=Yの2乗/L
  • L=Yの2乗/K

この2つを、さきほど求めた投入量の式

K=(w/r)L
L=(r/w)K

にそれぞれ代入します。

 

K=(w/r)L
K=(w/r)(Yの2乗/K)
Kの2乗=(w/r)(Yの2乗)

  • K=√(w/r)・Y

 

L=(r/w)K
L=(r/w)(Yの2乗/L)
Lの2乗=(r/w)(Yの2乗)

  • L=√(r/w)・Y

 

ちなみに

計算の途中ですが、生産要素の式を「K=●●」「L=●●」として、「r・w・Y」の3つの文字で表したものを「制約付き要素需要関数」と呼ぶことがあります。

 

step
5
生産関数(Y)で表した式を等費用線(C)へ代入

  • K=√(w/r)・Y
  • L=√(r/w)・Y

ここまで求めることが出来ました。次がラストです。

 

ポイント

ここで求めたK=√(w/r)・Y」「L=√(r/w)・Y」を、等費用線の式「C=rK+wL」へ代入すると費用関数(C)となります。

 

C=rK+wL
C=r(√(w/r)・Y)+w(√(r/w)・Y)

 

この状態です

 

ここで

√(w/r)=「√rw/r」と有利化します

分母分子に「√r」を掛ける⇒「(√w・√r)/r」

 

√(r/w)=「√rw/w」と有利化します

分母分子に「√w」を掛ける⇒「(√w・√r)/w」

 

つまり

 

あとは、この数式を綺麗にすれば‥

 

費用関数(C)=2Y√rw

 

北国宗太郎
計算が出来れば何とか‥。
生産関数から費用関数を求める問題はよく見かけるから練習しよう!
牛さん

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