ミクロ経済学

【契約曲線とコア配分】グラフや計算方法

2020年7月24日

エッジワース・ボックス(純粋交換経済)の項目で登場する契約曲線について基礎知識をまとめています。

  • 契約曲線とは?
  • 契約曲線のグラフ
  • 契約曲線とコア配分
  • 計算方法・求め方

契約曲線とは

契約曲線

エッジワース・ボックスで、パレート効率的(パレート最適)な資源配分が実現している点を結んだ線パレート最適が実現する点の軌跡)のこと。

参考:パレート効率性エッジワース・ボックス

 

グラフで見ると‥

 

北国宗太郎
北国宗太郎
この線の上なら、全部がパレート効率的ってことだね。
うん。それじゃあ、ポイントが2つあるから説明します。
牛さん
牛さん

 

ポイント①

ポイント①

契約曲線上では、2人の消費者の限界代替率(MRS)が常に一致している。

参考:限界代替率エッジワース・ボックス

 

パレート効率的な資源配分では、2人の消費者の限界代替率が一致します。

つまり、パレート効率的な資源配分の軌跡である契約曲線上は「常に2人の消費者の限界代替率が一致している」ことになります

これは計算問題とかで使うので、頭の片隅にでも入れておきましょう。

 

ポイント②

ポイント②

契約曲線上はすべてパレート効率的ではあるが、それぞれの資源配分が実現できるかは初期保有・財の価格比に依存するパレート効率的ではあっても、全てが競争均衡配分というわけではない)。

 

契約曲線は「このエッジワース・ボックス内なら、この部分が効率的な資源配分ですよ」ということを示しています。

しかし、効率的な資源配分だからと言って、実現が出来るかどうかは分かりません。

 

例えば

2人の初期保有は下記の通り

  • Aさん(X財=12・Y財=4)
  • Bさん(X財=10・Y財=6)

いま2人が財の交換を行います。

 

ここで

財の交換をした結果

  • Aさん(X財=21・Y財=9)
  • Bさん(X財=1・Y財=1)

となるでしょうか?

相手がジャイアンではない限り、普通に考えればここまで偏った資源配分にはなりません。

 

普通に考えると‥

  • Aさん(X財=11・Y財=5)
  • Bさん(X財=11・Y財=5)

という風になるのが自然です。

これが「契約曲線上はすべてパレート効率的な資源配分だけど、どの資源配分が実現できるかは初期保有に依存する」という意味になります。

 

北国宗太郎
北国宗太郎
イメージが湧いてきました。
この話を発展させた「コア配分」について見ていこう!
牛さん
牛さん

 

コア配分

はてな

初期保有点よりもパレート改善が実現する領域で、かつ契約曲線上にある資源配分のことを「コア配分」と呼ぶ。

 

いま、2人の消費者の初期保有が次のようになっている。

初期保有点よりもパレート改善となる資源配分は・・?

パレート改善は「誰かの効用水準を下げることなく、誰かの効用水準を高める」という意味です。

 

例えば

Aさんの効用水準を下げないで、Bさんの効用水準を高めます。

 

Bさんの効用水準を高める(無差別曲線を移動していく)

Aさんの効用水準を変えずに、Bさんの効用水準は点Aまで高めることが出来ます

Aさんのオレンジ色の無差別曲線上なら、どの部分も同じ効用水準なので、ぎりぎり(点A)までBさんの無差別曲線を移動させることが出来ます。

 

Aさんの無差別曲線からはみ出た部分は除く

 

はみ出た部分では、Aさんの効用水準を引き下げる必要がある。

逆に、枠内ならAさんの効用水準を高めることで実現が可能です。

 

以上より

ポイント

初期保有点W・点A・点C・点B」内の資源配分なら、初期保有点(W)よりもパレート改善が実現する

 

北国宗太郎
北国宗太郎
楕円の内側と覚えます、、
それで大丈夫です。では次に参ります。
牛さん
牛さん

 

「初期保有点W・点A・点C・点B」の領域内にある契約曲線に注目します。

この点A~点Bの契約曲線部分をコア配分と言います。

  • 初期保有点よりもパレート改善が実現する領域
  • かつ、パレート最適が実現する資源配分(契約曲線上)

この2つの条件を満たす部分がコア配分と呼ばれます。

 

北国宗太郎
北国宗太郎
楕円の中の契約曲線がコア配分‥
そう覚えれば簡単だね。
牛さん
牛さん

 

問題で「コア配分」はどの部分か?などの問いがあったりするので、しっかりと覚えておきましょう。

計算方法(例題)

 

いま、2人の消費者(Aさん・Bさん)が2種類の財を保有している。

  • AさんはX財20個・Y財80個
  • BさんはX財80個・Y財20個

また2人の効用関数は以下の通りである。

  • Aさん「U=3xy」
  • Bさん「U=2xy」

契約曲線を求める

 

step
1
限界代替率を求める

ポイント

効用関数(無差別曲線)を微分すれば「傾き(限界代替率)」が求められます。

参考:最適消費点の計算方法

 

  • Aさんの効用関数「U=3xy」より

「y=U/3x」とする

「y=U/3x」を微分すると⇒「U/-3xの2乗(=U・-3xの-2乗)」

ちなみに分数は「(1/2)=2の-1乗」なので注意しましょう。

 

ここで

「U」という文字が邪魔なので、Uを「xとy」に置き換えます。

「U=3xy」を「U/-3xの2乗」に代入します。

「U(=xy)/-3xの2乗」⇒3xy/-3xの2乗」=「-(y/x)

 

Bさんの限界代替率も同様に求めると-(y/x)となります。

 

以上より

  • Aさんの限界代替率=「-(y/x)」
  • Bさんの限界代替率=「-(y/x)」

 

step
2
2人の資源配分を考慮する

問題文の情報より各財の総量は‥

AさんはX財20個・Y財80個
BさんはX財80個・Y財20個

  • X財の総量=100個
  • Y財の総量=100個

 

ポイント

  • AさんがX財を「x個」消費するとき、Bさんは「100-x」を消費
  • AさんがY財を「y個」消費するとき、Bさんは「100-y」を消費

 

また、Bさんの2財の消費量は「100-y」「100-x」と表現できるので、Bさんの限界代替率を「-(y/x)=-(100-y)/(100-x)」と考えます。

 

以上より

  • Aさんの限界代替率=-(y/x)
  • Bさんの限界代替率=-(100-y)/(100-x)

 

ここで、契約曲線上では2人の限界代替率が等しいことを思い出します。

つまり「(y/x)=(100-y)/(100-x)」となります。

計算がややこしくなるのでマイナスは消しました。

 

後は「(y/x)=(100-y)/(100-x)」を計算して「y=○○x」などの形にすればOKです。

契約曲線は「(縦軸)=(横軸)」という式になる。

 

(y/x)=(100-y)/(100-x)
(y/x)(100-x)=(100-y)
(100y-xy/x)=(100-y)
(100y-xy)=(100-y)x
100y-xy=100x-xy
100y=100x
y=x

契約曲線は「y=x」

 

ちなみに

「y=x」ということは、契約曲線はグラフのような直線になります。

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