経済学で数学を使うって聞くけど、出来なくても大丈夫か心配。。
どれくらいのレベルの数学の知識があれば大丈夫なの?
そのあたりの話を簡単解説!
経済学で必要な数学のレベル
「経済学で必要な数学」というのはジャンルによって変わってきます。
- ミクロ経済学
- マクロ経済学
- 計量経済学
- 統計学
経済学で数学的な知識が必要になるものは大きくこの4つくらいです。
「経済数学」みたいなジャンルもありますが、普通に数学が必要で&必ず受講するようなものではないので今回は置いておきます。
それぞれで求められる数学のレベルが全然違います。
さらに言えば、必ずみんなが勉強する分野と、そうではない分野もあります。
ここからは
- どの経済学のジャンルに
- どの程度の数学の知識がいるのか
を分かりやすく書いていきます。
まずは、経済学を勉強すると必ず求められる数学のレベルから解説していきます~。
必ず使う数学のレベル
大学などで経済学を勉強すると、ほぼ100%習う分野があります。
それが「ミクロ経済学」と「マクロ経済学」です。
さらに詳しく
この2つは、経済学の基礎として大学1年生(1回生)とかで勉強する内容です。
それでは「ミクロ経済学」「マクロ経済学」で必要になる数学に知識を見ていきます。
ちなみに「ミクロ経済学」は企業や個人などの経済活動、「マクロ経済学」では国などの経済活動を見ていく分野になります。
step
1「ミクロ経済学」で登場する数学
先に答えを書きますが、ミクロ経済学で一番重要な数学は「微分」です。
とりあえず微分がマスターできていれば、ミクロ経済学で困ることはありません。
例えば
「ミクロ経済学」は、企業や個人などの経済活動を見ていく分野なので、企業活動を分析することがあります。
車を生産しているA社は、どのくらい車を作るのが効率的か?
こんな話が出てきたときに、一番効率的な状況を求める時に「微分」が登場します。
利益 = (販売価格) × (生産台数) - (製造コスト)
計算が面倒なので、生産した車は全部売れると仮定します。
すると利益はこんな感じで計算できます。
同じことを繰り返してくると、段々と効率が上がっていきませんか?
逆にたくさん作り過ぎると、保管場所や土地代に困ったりと、製造コストが余計にかかります。
ココがポイント
会社も同じで、車を1台生産するより、100台生産する方が1台当たりの製造コストが少なくなったり、作り過ぎるとコストが逆に増えていくことがある。
段々と効率的になったり、逆にコストが掛かったりすることを乗数(2乗)を使って表します。
たとえば
先ほどの式で、生産台数を「Y」、製造コストは「Yの2乗」として考えてみます。
1台作れば製造コストは1万円。2台作ると製造コストは4万円、こんな感じでコストが増えるとします。
利益(π)=【100万円(販売価格)】×【Y (生産台数)】-【Yの2乗(製造コスト)】
⇒「100Y - Yの2乗」となります。
この時一番効率的な生産台数は?という問題が出されます。
「微分」することで利益と費用の関係をもっと簡単に表せるようになります (2乗を消す)。
微分すると「100 - 2Y」です。
「100Y(←Yの1乗) - Yの2乗」⇒「100-2Y」となっています
微分は「Yの○乗」の”○の部分の数字”を手前に持ってきて「乗数から1を引く」計算です。
こんな感じで「100ー2Y」が0になる”Yの値”を探します。
Y=50台で0になるので、50台生産する時が一番利益が高くなることが分かります (効率的となる)。
50台より多く生産すると、製造コストの方が高くなり利益が減ってしまいます。
実際に確認すると・・
Y台生産:100Y(売上高) - Yの2乗(製造コスト) =利益
49台:4900万円(売上)ー【49の2乗(2401万円)】=2499万円
50台:5000万円(売上)ー【50の2乗(2500万円)】=2500万円
51台:5100万円(売上)ー【51の2乗(2601万円)】=2499万円
50台生産して販売するのが一番利益が出ていることが分かります。
微分で計算した通りの結果になりましたね!
このような感じで、ミクロ経済学では微分が分かると話が直ぐに飲み込めるようなものがあります。
「微分」ができる、ある程度理解できるくらいの数学の知識があればOK。
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2「マクロ経済学」で登場する数学
マクロ経済学で必ず登場する話は「GDP」などが登場する「三面等価の原則」です。
GDP = 消費+ 投資 + 政府支出 + ( 輸出 – 輸入 )
こんな感じの式が出てきます。
見ての通り、マクロ経済学の最初の方は、足し算や掛け算が出来ればOKです。
この話が発展すると、変化率を求める話になります。その辺から少し複雑になりますが、上の式に抵抗がなければ大丈夫です。
掛けたり、割ったりすのが基本的な処理になるので心配無用です。
ココに注意
経済学で登場する数式では「消費額を”C”と置きます」みたいに、いろいろと文字に置き換えていきます。その過程で、何がどの文字に置き換えられているかが分からなくなり、数式の意味が分からなくなることがあり、注意が必要です。
ちなみに
経済学で頻繁に出てくる文字への置き換えはこんな感じ。
- 消費=C(consumption)
- 投資=I(Investment)
- 政府支出=G(Government expenditure)
- 輸出=E(export)
- 輸入=M(Import)※投資と被るのでM
- 資本=K(Capital)※Kapital (ドイツ語)
マクロ経済学では、こういったものを数式に置き換える場面がたくさんあります。
先ほどの式だと・・
GDP = C+ I + G + (E – M)
マクロ経済学の場合、ミクロ経済学よりも割と簡単な数学の知識さえあれば大丈夫です。
これより難しい話でも
G(政府支出)を100から120にしたときに、〇〇はどれくらい変化するか?
みたいな問題が出てくるので、数式の意味さえできていれば、代入などをしておおよそ解けます。
経済学では数学の知識が必要と言われていますが、高度な知識は要求されていないのが分かってもらえたかと思います。
ココがポイント
経済学の勉強で、必ず学習する分野はさほど難しい数学の知識はいりません。一番肝(きも)になるのは「微分」
人脈や情報を駆使して、「微分」が得意でなくても乗り切れる人がたくさんいることも付け加えておきます。
好ましいとは思いませんが、処世術としては良いと思っています。試験前に分かる人に教えてもらうのが早かったりも。
ちなみに
経済学で使う数学の基礎知識があるのか、結構本気で悩んでいる人へ
経済学は公務員試験でも出題されるので教材も豊富にあり、自分で学習することも可能です。
例えばこの本はミクロ経済学・マクロ経済学で使う、基本的な数学がまとまっており、ワークブックで自分が解けない部分のみ勉強することも可能です。この本の内容が理解出来れば経済学で使う数学の基礎知識は十分です。
人によっては必要になる数学
先ほどまでとは違って、人によっては必要な数学の知識もあります。
皆さんが大学に入学後、どの講義を受講するかで必要になるかが変わります。
「計量経済学」「統計学」などを受講すると、先ほどよりも高度な数学が必要になってきます。
ココに注意
大学によっては、必ず受講するようになっている可能性もあります。自分が行きたい大学はどうなっているのかを簡単に調べておくといいかもしれませんね!
まずイメージのしやすい「統計学」から簡単に説明してきます。
step
1「統計学」ってどんな感じなの?
統計学は、言葉の通り、イメージの通りです。
統計学には大きく2つのジャンルがあります。
- 記述統計学
- 推測統計学
「記述統計」は、データの平均値を求めたりする(集計する)統計学です。
※超簡単に書いています。
例えば
子どもが10人います。10人の平均の身長は何センチ?
平均値などを求めるにあたって、Σ(シグマ)などが頻繁に登場します。
Σ(シグマ)は「〇~〇まで足し合わせる」という意味です。
次に「推測統計」です。
大学で習う統計学は、こっちがメインになります。
「推測統計」は、今あるデータから色々と推測する統計手法です。
※超簡単に書いています。
例えば
さきほどの質問の答えが120センチだったとします。
子どもが10人います。10人の平均の身長は何センチ?⇒120センチ
学者
この情報から、日本人の子ども全員の平均身長も予測できないかな?
これを実現したのが「推測統計」です。
なんと「10人の平均身長120センチ」から「日本人の子ども全員の身長平均」を推測します。
もちろん100%当たる推測は出来ないのですが、95%程度で当たるレベルの予測が可能です。
95%の確率で「日本人の子ども全員の平均身長は、110センチ~130センチ」の範囲になる、という風に推測します。※110~130センチとかは適当です。
この95%は統計学ではよく登場する基準です。
さて、この予想(推測)を求めるためには
- 平均値
- 不等式
- 分散
- 標準偏差
などなど、色々と使います。
さらに詳しく
標準偏差・分散は、データのばらつき度合いを表す指標です。Σ(シグマ)・√(ルート)などが計算に出てきます。分散は「値と平均との差の2乗の平均」です。標準偏差は、分散に√(ルート)を付けた指標になります。
注意ポイント
統計学を知っていれば、世の中にあるデータが信頼性のあるものなのかを見極めることが出来るようになるので、学ぶ価値が大いにあります。
ただし、数学が理解できないとチンプンカンプンになりかねません。
統計学を必ず勉強するかは分からないけど、数学が出来ないと付いていけなくなる科目なので注意してください。
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2「計量経済学」ってどんな感じなの?
計量経済学は「エコノメトリックス (Econometrics)」とも呼ばれます。
ちなみに統計学は「スタティスティックス (statistics)」です。普通に「統計」と呼ぶことが多い気がします。
計量経済学は、経済学で登場する理論が本当にあっているのかを、数学・統計学を使って分析する学問です。
※簡単に
「統計学」はデータの分析などを行いますが、別に経済学以外でも登場します。
それに対して「計量経済学」は、統計学などを使って、経済学の理論を分析するのが目的になります。
例えば
経済学の世界では、利子率が下がれば投資が増えるという話があります。
利子=銀行からお金を借りる時に発生する利子のこと。
これが本当かどうかを、数学や統計学を駆使して調べるのが「計量経済学」です。
※この例は、とりあえずで出したものなので、答えはありません。
計量経済学は、これまで紹介してきた経済学の中で一番数学が必要になります。
統計学を使えることはもちろん、微積分・線形代数(行列)などは必須です。
計量経済学を必ず受講しなければいけない大学はないかと思います。
なので、ここで登場するレベル数学の知識がなくても全く問題ありません。
ただし、受講を考える時は、それなりにハードな内容になるので注意が必要です。
終わりに・・・
- ミクロ経済学
- マクロ経済学
- 統計学
- 計量経済学
と経済学の分野で登場する4ジャンルを紹介しました。
まず、皆さんが心配する必要があるのは「ミクロ経済学」「マクロ経済学」です。
ポイント
そして、一番重要なのは「微分」が理解できること。いま計算出来なくても悲観しなくて大丈夫です。
この記事を読んで、かんたんに意味を理解できたなら、大学に入る前に簡単に勉強しておけば問題はないでしょう。
逆に、足し算・掛け算も出来ないような人は、経済学部は危ないかもしれません。
いま微分が出来なくても、理解できる程度の素養があれば経済学部でも生きていけます。
入学後に詳しい人に教えてもらうのも良いでしょうし、上手く乗り切りましょう!