ミクロ経済学

限界費用とは?利益・平均費用との関係も分かりやすく簡単に解説

2019年8月11日

経済学で登場する限界費用という考え方。

  • 限界費用と平均費用の違い
  • 限界費用=価格で利潤最大化
  • 限界費用曲線が平均費用曲線と交わる意味

上の3つのポイントに絞って簡単解説します。

限界費用とは?

 

限界費用とは

商品を1つ生産するときに発生する、生産コスト(費用)の増加分のこと。

経済学で登場する「限界」は、「1つ(1単位)変化すると、どうなるか?」という意味合いがある。

 

北国宗太郎
北国宗太郎
正直、この説明もピンと来ないよね。
イメージのしづらさは時代を超えても不変。
牛さん
牛さん

 

例えば

  • 車100台生産していた会社があります

車をもう1台(101台目を)生産すると、追加コスト(費用)が170万円発生しました。

 

ここで

追加コスト170万円を限界費用と言います。

 

北国宗太郎
北国宗太郎
これなら直ぐに分かる。
限界費用についてはイメージが出来たかな?
牛さん
牛さん

 

それでは、限界費用について深く話を進めていきます。

 

ちなみに

「限界費用」は、経済学のほかにも会計・ビジネスの分野でも似た話が出てきます

なので「限界費用」を経済学だけの話とは考えず、ビジネス全般で応用できる概念だと考えましょう。

限界費用と平均費用の違いは?

 

限界費用を勉強していると、最初につまづくポイントです。

平均費用とは何が違うのか?

 

平均費用

商品を生産するのに発生した総費用を、生産した商品数で割ったもの

イメージ通り、かかった費用を平均値にしたもの。

 

先ほどの例

  • 車を100台生産した時に発生した費用は総額で2億円

この時の平均費用は・・?

2億円(総費用)÷100台(生産数)=200万円(平均費用)

 

北国宗太郎
北国宗太郎
めっちゃ簡単だ!
イメージの通りだから凄く簡単だよ。
牛さん
牛さん

 

101台目を考えてみる

  • 101台目を生産すると、追加で205万円が発生

2億205万円(総費用)÷101台=約200万495円 (平均費用)

 

101台生産した時の、1台当たりの平均費用は約200万495円と出ます。

「限界費用」で考えみる

 

ポイント

  • 100台目までは200万円の費用
  • 101台目で205万円の追加費用

限界費用は205万円です。

 

北国宗太郎
北国宗太郎
平均費用と限界費用は、全然違うね。
2つを比べれば、違いがすぐに分かるよ!
牛さん
牛さん

 

限界費用と平均費用は、似てるようで全然違うことを言っているので注意しましょう!

 

「限界費用=価格」で利潤が最大化するのは何故?

 

利潤最大化とは?

利潤=利益のこと。

利益が1番出るように企業が生産活動することを「利潤最大化」と言っている。

 

利益が出る状態

  • 売った商品の価格 >費用

話を簡単にするために、作ったものを必ず売れると仮定します。

 

1台300万円で販売している車

 

この車は、1台生産するのに200万円掛かっています

300万円(価格)ー200万円(費用)=100万円(企業の利益)

 

北国宗太郎
北国宗太郎
ここまでは普通の話だね
ここから現実的な話を加えていくよ
牛さん
牛さん

 

たくさんの車を生産すると、次第に問題が発生します。

 

注目

  • 工場を作る場所が無くなってきた
  • 車を保管する場所が無くなってきた
  • 人件費が膨らんできた

 

商品を生産し続けると、このような問題が生まれます。

 

さらに詳しく

生産を拡大すると、工場などを立てる場所が無くなってきます。そのため、新しく工場を建てるために、普通よりも割高な土地に工場を建てることになるます。さらに、人をたくさん採用し続けると、安い賃金では人が見つからなくなっていきます結果的に、最初よりも高い賃金を支払って人を集めます。

 

なので、無理に生産を増やし続けると、いずれは費用(コスト)が増加すると言える。

100台生産していた時は、200万円の費用だったのに、1万台生産している時には、250万円くらいの費用が発生しているわけです。

 

限界費用との関係

 

無理に生産を続けると費用が増えていきます。つまり、限界費用が増えていくわけです。

おさらい:車100台目から101台目を生産した時に、追加費用の増加分を「限界費用」と言いました。詳しくは最初を読んでね!

 

例えば

  • 100台目から101台目を作る⇒増加コスト150万円
  • 1000台目から1001台目を作る⇒増加コスト200万円
  • 10万台から10万1台目を作る⇒増加コスト300万円

すると、いずれは販売価格の300万円に到達します。

 

増加コスト(限界費用)が300万円かかる車を、300万円で売っても利益は出ません。

 

ポイント

つまり「限界費用=販売価格」になるまで、無理に生産を続けると利益が出なくなる

逆に言えば、そこまで生産を続けて、売り続ければ利益を出し続ける事が出来ます

 

北国宗太郎
北国宗太郎
利益が出なくなる直前まで作って売り続ければOKだね。
うん。だから「限界費用=販売価格」が利潤最大化となるんだ。
牛さん
牛さん

 

ポイント

「限界費用=販売価格」まで作って売れば利益を出し続けることが出来る

⇒ そこまで生産して売り続ければ利潤最大化することが出来る

 

次は、この話と関係が深い「平均費用曲線と限界費用曲線が交わる」というお話です。

 

平均費用曲線と限界費用曲線が交わる意味は?

 

平均費用曲線と限界費用曲線が交わる話をする前に、注意点が1つあります。

 

平均費用には2種類ある

  • 平均費用
  • 平均可変費用

 

平均可変(かへん)費用

固定費用を除いた場合の平均費用。

 

平均費用は、最初から説明している通り、イメージ通りの平均費用です。

平均可変費用は、固定費を除いたバージョンです。

固定費は、スマホの月額基本料や家賃など、利用料に関わらず1カ月で必ず発生する費用のこと。

 

北国宗太郎
北国宗太郎
2つの種類があるけど、話が変わってくるの?
うん。ここでは「平均費用」の話をするね。
牛さん
牛さん

 

平均費用の特徴

平均費用は、次の3つの場面で変化があります。

  • 生産を始めた当初
  • 生産を拡大していく途中
  • 過剰に生産しているとき

 

ポイント

生産を始める段階では、初期費用がかかるため平均費用は一気に増加

生産が軌道になると、どんどん効率的になっていくので平均費用は安くなっていきます。次第に横ばいになっていき、無理に生産を増やし続けると、費用が増加していく。

 

グラフで見てみる

 

限界費用のグラフも見てみましょう。

 

限界費用のグラフ

 

北国宗太郎
北国宗太郎
なんか、グラフの形が似ているね。
うん。限界費用の特徴を思い出そう!
牛さん
牛さん

 

「限界費用」との関係

  • 車を1台生産した時に、300万円かかりました

この時の平均費用は300万円 (300万円÷1台)です。

 

  • 2台目の車は、290万円かかりました

この時の平均費用は295万円・(300万円+290万円)÷2台です。

 

限界費用は?

車1台で300万円、2台目は290万円の費用が掛かりました。

300万円⇒290万円なので、限界費用は290万円です。

 

北国宗太郎
北国宗太郎
微妙に違うね。
うん、平均費用と限界費用の意味をしっかりと抑えよう。
牛さん
牛さん

 

ここで、この2つのグラフの重要なポイントがあります。

 

平均費用曲線と限界費用曲線が交わる

 

この2つのグラフ、途中で交わります

 

ポイント

平均費用曲線のU字の底の部分と、限界費用曲線が必ず交わります

 

北国宗太郎
北国宗太郎
どうして必ず交わるの?
簡単に説明していくね。
牛さん
牛さん

 

ポイント

平均費用曲線のU字の底というのは、傾きが0(変化しない)ということ。

 

例えば

車を10台生産する時の平均費用が300万円だったとします。

この時、11台目の車を生産した時の追加費用が300万円でした。すると、平均費用は300万円から変化しません。グラフ的に言えば、傾きは0です。

 

 

北国宗太郎
北国宗太郎
ここまでは理解できました。
次に限界費用を考えてみるよ。
牛さん
牛さん

 

  • 10台目までは平均で300万円
  • 11台目も300万円

つまり、300万円(10台目まで) ⇒ 300万円(11台目)なので、限界費用は300万円です。

 

平均費用=限界費用=300万円になります。

 

 

ココがポイント

平均費用の底(最底辺)は、生産量を増やしても(減らしても)平均費用が変化しない・傾きが0になっている。この時、1単位当たりの生産量を増減させた場合の費用の増加分は、必ず平均費用と同じとなる(限界費用=平均費用)。グラフで書けば、必ず最低底で交わることになる。

 

北国宗太郎
北国宗太郎
牛さん、「1単位当たりの~」の赤字の部分が良く分からないです。
さっきの話と照らし合わせてみよう!
牛さん
牛さん

 

1単位当たりの生産量を増減させた場合の費用の増加分は、必ず平均費用となる~

 

10台目までは平均費用が300万円かかります。この時、追加で11台目の車を生産します。

平均費用曲線の底の部分なら

11台目も必ず300万円(=平均費用)かかるという意味

300万円 ⇒ 300万円で、限界費用も300万円(限界費用=平均費用ということ)

 

北国宗太郎
北国宗太郎
勉強が必要かもしれません・・。
限界費用と平均費用の関係は、よく問題にもなるから勉強しよう!
牛さん
牛さん

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