経済学で登場する限界費用という考え方。
- 限界費用と平均費用の違い
- 限界費用=価格で利潤最大化
- 限界費用曲線が平均費用曲線と交わる意味
上の3つのポイントに絞って簡単解説します。
限界費用とは?
限界費用とは
商品を1つ生産するときに発生する、生産コスト(費用)の増加分のこと。
経済学で登場する「限界」は、「1つ(1単位)変化すると、どうなるか?」という意味合いがある。
例えば
- 車100台生産していた会社があります
車をもう1台(101台目を)生産すると、追加コスト(費用)が170万円発生しました。
ここで
追加コスト170万円を限界費用と言います。
それでは、限界費用について深く話を進めていきます。
ちなみに
「限界費用」は、経済学のほかにも会計・ビジネスの分野でも似た話が出てきます。
なので「限界費用」を経済学だけの話とは考えず、ビジネス全般で応用できる概念だと考えましょう。
限界費用と平均費用の違いは?
限界費用を勉強していると、最初につまづくポイントです。
平均費用とは何が違うのか?
平均費用
商品を生産するのに発生した総費用を、生産した商品数で割ったもの。
イメージ通り、かかった費用を平均値にしたもの。
先ほどの例
- 車を100台生産した時に発生した費用は総額で2億円
この時の平均費用は・・?
2億円(総費用)÷100台(生産数)=200万円(平均費用)
101台目を考えてみる
- 101台目を生産すると、追加で205万円が発生
2億205万円(総費用)÷101台=約200万495円 (平均費用)
101台生産した時の、1台当たりの平均費用は約200万495円と出ます。
「限界費用」で考えみる
ポイント
- 100台目までは200万円の費用
- 101台目で205万円の追加費用
限界費用は205万円です。
限界費用と平均費用は、似てるようで全然違うことを言っているので注意しましょう!
「限界費用=価格」で利潤が最大化するのは何故?
利潤最大化とは?
利潤=利益のこと。
利益が1番出るように企業が生産活動することを「利潤最大化」と言っている。
利益が出る状態
- 売った商品の価格 >費用
話を簡単にするために、作ったものを必ず売れると仮定します。
1台300万円で販売している車
この車は、1台生産するのに200万円掛かっています。
300万円(価格)ー200万円(費用)=100万円(企業の利益)
たくさんの車を生産すると、次第に問題が発生します。
注目
- 工場を作る場所が無くなってきた
- 車を保管する場所が無くなってきた
- 人件費が膨らんできた
商品を生産し続けると、このような問題が生まれます。
さらに詳しく
生産を拡大すると、工場などを立てる場所が無くなってきます。そのため、新しく工場を建てるために、普通よりも割高な土地に工場を建てることになるます。さらに、人をたくさん採用し続けると、安い賃金では人が見つからなくなっていきます。結果的に、最初よりも高い賃金を支払って人を集めます。
なので、無理に生産を増やし続けると、いずれは費用(コスト)が増加すると言える。
100台生産していた時は、200万円の費用だったのに、1万台生産している時には、250万円くらいの費用が発生しているわけです。
限界費用との関係
無理に生産を続けると費用が増えていきます。つまり、限界費用が増えていくわけです。
おさらい:車100台目から101台目を生産した時に、追加費用の増加分を「限界費用」と言いました。詳しくは最初を読んでね!
例えば
- 100台目から101台目を作る⇒増加コスト150万円
- 1000台目から1001台目を作る⇒増加コスト200万円
- 10万台から10万1台目を作る⇒増加コスト300万円
すると、いずれは販売価格の300万円に到達します。
増加コスト(限界費用)が300万円かかる車を、300万円で売っても利益は出ません。
ポイント
つまり「限界費用=販売価格」になるまで、無理に生産を続けると利益が出なくなる。
逆に言えば、そこまで生産を続けて、売り続ければ利益を出し続ける事が出来ます。
ポイント
「限界費用=販売価格」まで作って売れば利益を出し続けることが出来る
⇒ そこまで生産して売り続ければ利潤最大化することが出来る
次は、この話と関係が深い「平均費用曲線と限界費用曲線が交わる」というお話です。
平均費用曲線と限界費用曲線が交わる意味は?
平均費用曲線と限界費用曲線が交わる話をする前に、注意点が1つあります。
平均費用には2種類ある
- 平均費用
- 平均可変費用
平均可変(かへん)費用
固定費用を除いた場合の平均費用。
平均費用は、最初から説明している通り、イメージ通りの平均費用です。
平均可変費用は、固定費を除いたバージョンです。
固定費は、スマホの月額基本料や家賃など、利用料に関わらず1カ月で必ず発生する費用のこと。
平均費用の特徴
平均費用は、次の3つの場面で変化があります。
- 生産を始めた当初
- 生産を拡大していく途中
- 過剰に生産しているとき
ポイント
生産を始める段階では、初期費用がかかるため平均費用は一気に増加。
生産が軌道になると、どんどん効率的になっていくので平均費用は安くなっていきます。次第に横ばいになっていき、無理に生産を増やし続けると、費用が増加していく。
グラフで見てみる
限界費用のグラフも見てみましょう。
限界費用のグラフ
「限界費用」との関係
- 車を1台生産した時に、300万円かかりました
この時の平均費用は300万円 (300万円÷1台)です。
- 2台目の車は、290万円かかりました
この時の平均費用は295万円・(300万円+290万円)÷2台です。
限界費用は?
車1台で300万円、2台目は290万円の費用が掛かりました。
300万円⇒290万円なので、限界費用は290万円です。
ここで、この2つのグラフの重要なポイントがあります。
平均費用曲線と限界費用曲線が交わる
この2つのグラフ、途中で交わります。
ポイント
平均費用曲線のU字の底の部分と、限界費用曲線が必ず交わります。
ポイント
平均費用曲線のU字の底というのは、傾きが0(変化しない)ということ。
例えば
車を10台生産する時の平均費用が300万円だったとします。
この時、11台目の車を生産した時の追加費用が300万円でした。すると、平均費用は300万円から変化しません。グラフ的に言えば、傾きは0です。
- 10台目までは平均で300万円
- 11台目も300万円
つまり、300万円(10台目まで) ⇒ 300万円(11台目)なので、限界費用は300万円です。
平均費用=限界費用=300万円になります。
ココがポイント
平均費用の底(最底辺)は、生産量を増やしても(減らしても)平均費用が変化しない・傾きが0になっている。この時、1単位当たりの生産量を増減させた場合の費用の増加分は、必ず平均費用と同じとなる(限界費用=平均費用)。グラフで書けば、必ず最低底で交わることになる。
「1単位当たりの生産量を増減させた場合の費用の増加分は、必ず平均費用となる~」
10台目までは平均費用が300万円かかります。この時、追加で11台目の車を生産します。
平均費用曲線の底の部分なら
11台目も必ず300万円(=平均費用)かかるという意味。
300万円 ⇒ 300万円で、限界費用も300万円(限界費用=平均費用ということ)