ミクロ経済学

【機会費用とは?】機会損失との違いは?身近な例で分かりやすく考えてみる

2019年7月14日

経済学やビジネスで登場する「機会費用」という考え方。

中々イメージしづらい「機会費用」を分かりやすく解説日常に登場する例なども紹介していきます。

「機会費用」とは?

 

機会費用とは

複数ある選択肢のうち、自分が選んでいない選択肢で得られたはずの利益のこと。

例) 仮に○○を選んでいれば、○○○の利益があった (=機会費用)。

 

機会費用は、経済学で登場する考え方です。

ビジネスで使う場面があったり、簿記や管理会計の分野で「機会原価」として登場するなど、ビジネスマンには必須の考え方です。

 

北国宗太郎
機会費用は、実際にはどうやって使うのかな?
昔の人が考えた例があるから紹介するね。
牛さん

 

「Time is Money」の考え方と同じ

「機会費用」という言葉を作った経済学者 デビッド・L・グリーンは、「若き商人への手紙」という手紙を持ち合に出して、機会費用を説明しました。

  • 1日働いたら10シリング(約10円)を稼ぐことが出来る。

しかし、若い商人は、あの日の半分は遊んで過ごし、6シリング(約6円)を使った。

この時の彼の支出は6シリングだけではない。半日働いて5シリング得られたはずなのだから、5シリングを投げ捨てたと言える

 

ちなみに「若き商人への手紙」は「タイム・イズ・マネー(時は金なり)」という言葉が生まれた手紙です。

 

余談

「機会費用」という言葉は、1894年に初めて登場します。

 

考え方自体は、オーストリアの経済学者:フリードリヒ・フォン・ヴィーザーによって提案されていました。

機会費用を「代替費用」という言葉で論文を書いていた。

(Wikipediaより フリードリヒ・フォン・ヴィーザー)

 

 

「機会費用」と「機会損失」の違い

 

機会費用」と似た言葉に「機会損失」というものがあります。

よく、この言葉と混同してしまうことがあるので、違いを理解しておきましょう。

 

「機会費用」は、さきほど紹介した半日働いていれば、5シリング(約5円)稼げていた、というものです。

 

一方で

「機会損失」は、実際に働くという選択肢を取った時のみ登場します。

半日働こうと決断します。しかし、商売道具を忘れて仕事になりませんでしたこの時、5シリングを稼ぎそこないます

 

ポイント

「機会費用」は、もし○○をしていたらどれくらい稼いでいたか・費用が掛かっていたか?を表す言葉

「機会損失」は、稼ぎそこなった利益のこと

 

図解

 

北国宗太郎
どっちも分かりにくいけど、図を見るとイメージしやすいね
じゃあ、機会費用の具体的な例を見ていこう!
牛さん

身近な例を紹介

 

機会費用を、もっと身近な例で考えていきます。

 

例①

  • どのスーパーで買い物をするか?

主婦の方や、買い物上手な人は、1円でも安いスーパーに行きたいですよね?

しかし、機会費用で考えると必ずしも正しいとは言えません

 

例えば

  1. お茶(2L):105円
  2. お茶(2L):100円

お茶を売っている2つのスーパーがあります。

  • 1のスーパーは、家からすぐそこにあります。
  • 2のスーパーは、家から車で1時間です。

この場合、値段だけで見ると2のスーパーの方が安いです。

 

機会費用を考えてみる

車で1時間かかる場合、往復で2時間かかります。

燃料費だけでも5円以上はかかります。(仮に10円とします。)

1のスーパーに行けば105円のお茶。

2のスーパーに行く場合、
お茶代100円+燃料費10円以上=110円の費用が発生。

2のスーパーに行ってしまうと、機会費用が5円発生してしまい損をします。

 

北国宗太郎
普段は機会費用なんて考えないから、実は損していたパターンは気を付けないとね。
機会費用を考える癖をつけると、本当の意味で損しない行動を取れるようになれるよ。
牛さん

 

例②

  • 公認会計士の試験

 

公認会計士になるためには、一般的に3500時間の勉強時間が必要です。

学生時代、もし3500時間をバイトするとどうなるでしょうか?

 

  • 3500時間勉強する時のコストは0円
  • 3500時間を時給1,000円で働くと350万円稼げます

その期間だけで見ると350万円の差が出ますが・・

 

その後の生涯収入を考えてみる

普通のサラリーマンの平均年収は450万円程度です。

450万円×勤続40年とすると「1億8,000万円」稼げます。

一方で公認会計士の平均年収は600万円程度です。

600万円×勤続40年とすると「2億4,000万円」稼げます。

 

その差額6,000万円です。最初の350万円のアルバイト代を考慮すると5,650万円の差が生まれます。

つまり、公認会計士の試験勉強をせずに、3500時間アルバイトする時の機会費用は5,650万円です。

 

これは公認会計士の試験だけではありません。

 

注意ポイント

中学・高校で勉強をして、有名な大学を出た方が平均的には収入が高くなります。学生時代に勉強しないというのは、機会費用が高くつくものなのです。

 

北国宗太郎
中学校や高校で教えた方が良いことの1つだよね。
うん。機会費用を知らないだけで大損する可能性もある。
牛さん

 

機会費用の考え方を少しは理解できましたか?

ビジネスマンは勿論のこと、若い人は機会費用を考えて行動する癖をつけましょう。

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