生産者余剰に関する基本情報をまとめています。
- 生産者余剰
- 利潤との違い
- 生産者余剰のグラフ
- 生産者余剰の計算方法
生産者余剰とは?利潤との違い
生産者余剰とは
財の取引によって生産者が得た追加の便益のこと。市場価格(取引価格)から限界費用を差し引いたものが余剰となる。
例えば
- アイスコーヒーを300円で売る
アイスコーヒーを300円で売るのは、企業の限界費用が300円以下だからです。
企業がアイスコーヒーを売るときは
企業
1個200円程度の追加費用がかかる。
企業
うちは1個100円の追加費用で量産できる。
という風に、販売価格よりも低い追加費用で製造すれば儲かります。
- 300円-200円=100円
- 300円-100円=200円
それぞれ100円・200円程度、追加の利潤が生まれます。
ポイント
市場には、その商品を市場価格よりも低い追加費用で製造できる企業がたくさんいます。企業が、その商品を製造販売を行うことで得られた”追加の利潤”を生産者余剰と呼んでいます。
式で考えると「生産者余剰(PS)=総収入-可変費用」となります。
生産者余剰は、黒字・赤字という指標ではなく「生産を行わなかった場合(生産量が0のとき)に比べて、追加の生産を行うことで、どれくらいメリット(追加の利潤)があるのか?」を考えています。そのため、生産量に関わらず発生する固定費用は余剰の計算には含めていません。以上より、純粋な利潤の合計額(=総収入-可変費用-固定費用)がそのまま余剰になるのではなく、あくまで追加の利潤(固定費用を無視した「総収入ー可変費用」)が余剰となります。
ただし「利潤=総収入ー可変費用-固定費用」なので、式を変形すると「利潤+固定費用=総収入-可変費用」となって「生産者余剰(PS)=総収入-可変費用=利潤+固定費用」とすることもあります。
グラフで確認する
右上がりの供給曲線があります
価格が「P1」で決まって生産量は「Q1」となりました。
このときの生産者余剰は?
- 市場価格「P1」
- 市場均衡点「E」
- 供給曲線の切片となる「P0」
この3つの点からなる三角形部分が生産者余剰となります
生産者余剰(PS)=「三角形P0・E・P1」
生産者余剰の計算方法
ポイント
基本的には三角形の計算を思い出す。
例えば
- 財Aの需要曲線が「D=-20P+500」
- 財Aの供給曲線が「S=30P-150」
このとき、市場均衡点における生産者余剰はいくらか?
均衡点は「需要曲線と供給曲線が交わる」という事を意味しているので「D=S」として計算します。
- -20P+500=30P-150
次に均衡点における市場価格を計算します。
- 50P=650
- P=13
「S=30P-150」に市場価格のP=13を代入します。
- S=390-150=240
これで、市場均衡点における価格と供給量(生産量)が分かりました。
グラフで見ると
三角形の面積を求めるには、切片(?)の値が必要です。
- 供給曲線「S=30P-150」を「P=●●の形(逆供給関数)」にする
30P=S+150
P=(S+150)/30
切片なので横軸の供給量(S)は0となります
グラフの横軸は”生産量Q”という表記になっていますが、需要量(D)・供給量(S)と同じ意味です。
P=(0+150)/30
P=(150)/30
P=5
以上より
ポイント
後は「(縦×横)÷2」で三角形の面積を求めるだけです。
- 縦=(13-5)=8
- 横=240
(8×240)÷2=960
以上より、生産者余剰(PS)=960