無差別曲線は「右下がりで、原点に対して凸の曲線」が一般的です。
しかし、もちろん例外もあります。
無差別曲線の例外をまとめました。
右下がりの直線になる無差別曲線
念のためですが、曲線は直線を含みます。しかし、無差別曲線はふつうは直線にならないので、例外として扱っています。
右下がりの直線になる理由
2財が完全代替財のため。
良くある例
- お茶とお水
- 紅茶とコーヒー
- 千円札5枚と五千円札1枚
「どっちでも良い」というもの。
のどが渇いている時に、お茶とお水が出されても、どっちでもOKで同じ効用を得ます。このとき、私の場合は「お茶から得られる効用=お水から得られる効用」なので、完全代替材になります。
ちなみに
完全代替財では、効用関数が「U=x+y」などのように足し算になります。
このような効用関数を「リニア型(線形)」と呼びます。リニア型の効用関数(無差別曲線)では、「端点解(コーナー解)」という論点もあるので知っておくと良いです。
垂直・水平の直線になる無差別曲線
垂直・水平の直線になる理由
片方の財からは、効用が得られない (関心がない) ため。
例・・?
この話では、あまり有名な例はありません。というのも、人によって興味のない財は変わるためです。
例えば私なら、唐揚げについているレモンです。
唐揚げにレモンをかけても、かけなくても、正直どっちでも良い派です。
上のグラフなら
- 垂直な無差別曲線⇒Y財がレモンに該当
- 水平な無差別曲線⇒X財がレモンに該当
全く興味のないモノを消費しても効用の変化はありません。片方の財の消費量が効用の大きさに影響しないため、垂直・水平な無差別曲線になります。
L字型になる無差別曲線
L字になる理由
2財が完全補完財のため。
良くある例
- 左右の靴
- 左右の手袋
片側の靴だけあっても使い道が無いように、両方の財を消費することで、初めて意味があるものは、無差別曲線がL字型になります。
ちなみに
L字型の無差別曲線になるような効用関数(U)は「レオンチェフ型」と呼ばれます。
円形になる無差別曲線
円形の直線になる理由
飽和性があるため。通常の無差別曲線は「単調性(非飽和性)」を満たしているが、消費には限界があると考えられるもの。
良くある例
- お酒
- 甘ったるいお菓子
お酒で考えれば、飲み始めている頃は、飲めば飲むほど効用が高まります。しかし、飲み過ぎると気持ち悪くなるため、消費には飽和性(限界)があります。
ちなみに
円形の無差別曲線の場合、右上の無差別曲線ほど効用が高いですが限界点(すべての組み合わせで一番効用が高い点)があります。その限界点を飽和点と言います。
右上がりになる無差別曲線
右上がりになる理由
消費するほど効用が減少する財が含まれいているため。
良くある例
- ハイリスク・ハイリターン系の投資商品
- 片方がゴミ
投資商品でハイリスク・ハイリターンなものを購入する場合、リスクがあるため効用が減少しますが、それを超えるリターンがあるため、無差別曲線自体は右上がりになります。
さらに詳しく
経済学の最初の段階では、消費すれば効用を得られる普通の財を扱います。これを英語ではGoods(グッズ)と言います。
一方で、消費することで効用が減少する財もあります。英語ではBads(バッズ)と言い、Bads(バッズ)が含まれていると「右上がりの無差別曲線」になります。
ちなみに
グラフの意味合いが分かりづらいと思うので少しだけ解説。
無差別曲線はどの点を取っても同じ効用水準です。
そのため、グラフ横軸の「効用が減少する財」を消費すると、効用の減少分を補完するように「縦軸の通常の財」を消費しないと、同じ効用水準を保てなくなります。
その関係をグラフ化すると「右上がりのグラフ」になります。
上のグラフの場合、横軸の財(Bads・バッズ)によって減少した効用を取り戻すためには、横軸の財(Bads・バッズ)よりも多くの通常の財を消費する必要があります。そのため、急な右上がりのカーブになっています。
原点に対して凹になる無差別曲線
原点に対して凹になる理由
それぞれ単独で消費したほうが高い効用を得られるため(2財を一緒に消費すると不快になる財のとき)。
例えば
- 牛乳と白米
人によりますが、私は牛乳と白米を一緒に食べるなら、それぞれ別で食べたい派です。
原点に対して凹になるのは、どちらかの財を単独で消費したい気持ちを表しています。バランスよく消費する方が高い効用を得られる場合は、原点に対して凸の無差別曲線になります。
普通は、バランスよく消費する方が高い効用を得られるため「基本的には無差別曲線は原点に対して凸」となります。
※この話は「無差別曲線の簡単な証明(※無差別曲線が原点に対して凸)」を参照してください。