経済学やビジネスで登場する「機会費用」という考え方。
中々イメージしづらい「機会費用」を分かりやすく解説&日常に登場する例なども紹介していきます。
「機会費用」とは?
機会費用とは
複数ある選択肢のうち、自分が選んでいない選択肢で得られたはずの利益のこと。
例) 仮に○○を選んでいれば、○○○の利益があった (=機会費用)。
機会費用は、経済学で登場する考え方です。
ビジネスで使う場面があったり、簿記や管理会計の分野で「機会原価」として登場するなど、ビジネスマンには必須の考え方です。
「Time is Money」の考え方と同じ
「機会費用」という言葉を作った経済学者 デビッド・L・グリーンは、「若き商人への手紙」という手紙を持ち合に出して、機会費用を説明しました。
- 1日働いたら10シリング(約10円)を稼ぐことが出来る。
しかし、若い商人は、あの日の半分は遊んで過ごし、6シリング(約6円)を使った。
この時の彼の支出は6シリングだけではない。半日働いて5シリング得られたはずなのだから、5シリングを投げ捨てたと言える。
ちなみに「若き商人への手紙」は「タイム・イズ・マネー(時は金なり)」という言葉が生まれた手紙です。
余談
「機会費用」という言葉は、1894年に初めて登場します。
考え方自体は、オーストリアの経済学者:フリードリヒ・フォン・ヴィーザーによって提案されていました。
機会費用を「代替費用」という言葉で論文を書いていた。
(Wikipediaより フリードリヒ・フォン・ヴィーザー)
「機会費用」と「機会損失」の違い
「機会費用」と似た言葉に「機会損失」というものがあります。
よく、この言葉と混同してしまうことがあるので、違いを理解しておきましょう。
「機会費用」は、さきほど紹介した半日働いていれば、5シリング(約5円)稼げていた、というものです。
一方で
「機会損失」は、実際に働くという選択肢を取った時のみ登場します。
半日働こうと決断します。しかし、商売道具を忘れて仕事になりませんでした。この時、5シリングを稼ぎそこないます。
ポイント
「機会費用」は、もし○○をしていたらどれくらい稼いでいたか・費用が掛かっていたか?を表す言葉。
「機会損失」は、稼ぎそこなった利益のこと。
図解
身近な例を紹介
機会費用を、もっと身近な例で考えていきます。
例①
- どのスーパーで買い物をするか?
主婦の方や、買い物上手な人は、1円でも安いスーパーに行きたいですよね?
しかし、機会費用で考えると必ずしも正しいとは言えません。
例えば
- お茶(2L):105円
- お茶(2L):100円
お茶を売っている2つのスーパーがあります。
- 1のスーパーは、家からすぐそこにあります。
- 2のスーパーは、家から車で1時間です。
この場合、値段だけで見ると2のスーパーの方が安いです。
機会費用を考えてみる
車で1時間かかる場合、往復で2時間かかります。
燃料費だけでも5円以上はかかります。(仮に10円とします。)
1のスーパーに行けば105円のお茶。
2のスーパーに行く場合、
お茶代100円+燃料費10円以上=110円の費用が発生。
2のスーパーに行ってしまうと、機会費用が5円発生してしまい損をします。
例②
- 公認会計士の試験
公認会計士になるためには、一般的に3500時間の勉強時間が必要です。
学生時代、もし3500時間をバイトするとどうなるでしょうか?
- 3500時間勉強する時のコストは0円
- 3500時間を時給1,000円で働くと350万円稼げます
その期間だけで見ると350万円の差が出ますが・・。
その後の生涯収入を考えてみる
普通のサラリーマンの平均年収は450万円程度です。
450万円×勤続40年とすると「1億8,000万円」稼げます。
一方で公認会計士の平均年収は600万円程度です。
600万円×勤続40年とすると「2億4,000万円」稼げます。
その差額6,000万円です。最初の350万円のアルバイト代を考慮すると5,650万円の差が生まれます。
つまり、公認会計士の試験勉強をせずに、3500時間アルバイトする時の機会費用は5,650万円です。
これは公認会計士の試験だけではありません。
注意ポイント
中学・高校で勉強をして、有名な大学を出た方が平均的には収入が高くなります。学生時代に勉強しないというのは、機会費用が高くつくものなのです。
機会費用の考え方を少しは理解できましたか?
ビジネスマンは勿論のこと、若い人は機会費用を考えて行動する癖をつけましょう。