完全競争市場における企業の利潤最大化の条件に「P=MC(=MR)」というものがあります。
- 価格(P)=限界費用(MC)【完全競争市場における利潤最大化条件】
- 価格(P)=限界収入(MR)
- 限界費用(MC)=限界収入(MR)
利潤最大化問題で苦戦している人向けに、簡単なイメージや理解が出来るように情報をまとめました。
価格(P)=限界費用(MC)=限界収入(MR)
価格=限界費用=限界収入
「価格(P)=限界費用(MC)」が完全競争市場における利潤最大化条件の1つ(1階条件)
また、完全競争市場では「価格(P)=限界収入(MR)」となるため「P=MC=MR」となる。
ここからは
完全競争市場における利潤最大条件の1つである「P=MC(=MR)」を直感的に理解できるように解説していきます。
①価格(P)=限界費用(MC)【完全競争の利潤最大化条件】
ポイント
限界費用(MC)の意味を理解しているかが重要。
思い出す
限界費用(MC)は、商品・サービスを1単位追加的に生産するときに発生する費用の増加分のこと。
例えば、車を1台製造する時に100万円かかったら、限界費用(MC)は100万円です。詳しくはこちらで確認⇒限界費用とは?
「価格(P)=限界費用(MC)」が成立する背景には、こんな前提があります。
前提
- 企業は利益が出る限り、製造販売を続ける
企業は利益追求のために、利益が出続ける限り製造販売を続けます。これは直ぐに理解できると思います。
利益が出る状態とは?
- 売った商品の価格 >費用
話を簡単にするために、作ったものを必ず売れると仮定します。
製造費用より高く商品を売ることが出来れば利益が出ます。これも普通の話です。
例えば
1台300万円で販売している車
この車は、1台生産するのに200万円掛かっています。
300万円(価格)ー200万円(費用)=100万円(企業の利益)
企業は順調に製造販売を続けていましたが、たくさんの車を生産すると、次第に問題が発生します。
注目
- 工場を作る場所が無くなってきた
- 車を保管する場所が無くなってきた
- 人件費が膨らんできた
商品を生産し続けると、このような問題が生まれます。
さらに詳しく
生産を拡大すると、工場などを立てる場所が無くなってきます。そのため、新しく工場を建てるために、普通よりも割高な土地に工場を建てることになるます。さらに、人をたくさん採用し続けると、安い賃金では人が見つからなくなっていきます。結果的に、最初よりも高い賃金を支払って人を集めます。
なので
無理に生産を増やし続けると、いずれは費用(コスト)が増加すると言える。
100台生産していた時は200万円の費用だったのに、1万台生産している時には250万円の費用が発生しているわけです。
限界費用との関係
無理に生産を続けると費用が増えていきます。つまり、限界費用が増えていくわけです。
おさらい:車を1台製造する時に100万円かかったら、限界費用(MC)は100万円です。
例えば
- 100台目から101台目を作る⇒増加コスト150万円
- 1000台目から1001台目を作る⇒増加コスト200万円
- 10万台から10万1台目を作る⇒増加コスト300万円
すると、いずれは販売価格の300万円に到達します。
増加コスト(限界費用)が300万円かかる車を、300万円で売っても利益は出ません。
ポイント
つまり「限界費用(MC)=販売価格(P)」になるまで、無理に生産を続けると利益が出なくなる。逆に言えば、そこまで生産を続けて、売り続ければ利益を出し続ける事が出来ます。
つまり
- 企業は利益を最大化するために、利益が出なくなるまで生産規模を拡大させる。
- 上の例で示した通り、車1台を製造するための追加費用が販売価格に到達するまでは利益を出せる。
- そのため、企業は「販売価格(P)=限界費用(MC)」となるまでは製造販売を続けると考えられるため「P=MC」という数式が成立する。
②価格(P)=限界収入(MR)
ポイント
限界収入(MR)の意味を理解しているかが重要。
思い出す
限界収入(MR)は、商品・サービスを1単位追加的に販売したときに発生する収入の増加分のこと。
例えば、車を1台を300万円で販売した時に、限界収入(MR)は300万円です。詳しくはこちらで確認⇒限界収入とは?
例えば
- 価格300万円の自動車を売った時を考える
販売価格300万円の自動車を売った時、300万円が手に入ります。
当たり前ですが、300万円の車を売ったら300万円が手に入ります。
つまり
- 売った価格=収入となるため、完全競争市場ならば※「販売価格=限界収入」と言える。
- 「販売価格(P)=限界収入(MR)」となるため「P=MR」という数式が成立する。
独占市場の場合のみ「販売価格=限界収入」にならないので注意してください。⇒独占市場の価格の決まり方
③限界費用(MC)=限界収入(MR)
ポイント
「① 価格(P)=限界費用(MC)」「② 価格(P)=限界収入(MC)」を理解する。
①②を合わせれば「価格(P)=限界費用(MC)=限界収入(MC)」なので「限界費用=限界収入」です。
思い出す
- 限界費用(MC)は、商品・サービスを1単位追加的に生産するときに発生する費用の増加分のこと。
- 限界収入(MR)は、商品・サービスを1単位追加的に販売したときに発生する収入の増加分のこと。
例えば、車を1台製造する時に100万円かかったら、限界費用(MC)は100万円です。詳しくはこちらで確認⇒限界費用とは?
例えば、車を1台を300万円で販売した時に、限界収入(MR)は300万円です。詳しくはこちらで確認⇒限界収入とは?
限界費用(MC)と限界収入(MR)を思い出してから、次の例を考えます。
例えば
1台300万円で販売している車
この車は、1台生産するのに200万円掛かっています。
300万円(価格)ー200万円(費用)=100万円(企業の利益)
- 300万円=限界収入(MR)
- 200万円=限界費用(MC)
まず
- 車を1台販売するごとに300万円の収入が得られます。なので、収入の増加分(限界収入・MR)=300万円と言えます。
次に
企業は順調に製造販売を続けていましたが、たくさんの車を生産すると、次第に問題が発生します。
- 工場を作る場所が無くなってきた
- 車を保管する場所が無くなってきた
- 人件費が膨らんできた
商品を生産し続けると、このような問題が生まれます。
さらに詳しく
生産を拡大すると、工場などを立てる場所が無くなってきます。そのため、新しく工場を建てるために、普通よりも割高な土地に工場を建てることになるます。さらに、人をたくさん採用し続けると、安い賃金では人が見つからなくなっていきます。結果的に、最初よりも高い賃金を支払って人を集めます。
なので
無理に生産を増やし続けると、いずれは費用(コスト)が増加すると言える。
100台生産していた時は200万円の費用だったのに、1万台生産している時には250万円の費用が発生しているわけです。
無理に生産を続けると費用が増えていきます。つまり、限界費用が増えていくわけです。
例えば
- 100台目から101台目を作る⇒増加コスト150万円
- 1000台目から1001台目を作る⇒増加コスト200万円
- 10万台から10万1台目を作る⇒増加コスト300万円
すると、いずれは販売価格の300万円に到達します。
増加コスト(限界費用)が300万円かかる車を、300万円で売っても利益は出ません。
ポイント
つまり「収入の増加分(限界収入・MR)=費用の増加分(限界費用・MC)」になるまで無理に生産を続けると利益が出なくなる。逆に言えば、そこまで生産を続けて、売り続ければ利益を出し続ける事が出来ます。
つまり
- 売った価格=収入となるため、完全競争市場ならば※「販売価格(P)=限界収入(MR)」と言える。
- 企業は利益を最大化するために、利益が出なくなるまで生産規模を拡大させる。
- 上の例で示した通り、車1台を製造するための追加費用が販売価格に到達するまでは利益を出せる。
- そのため、企業は「販売価格(P)=限界費用(MC)」となるまでは製造販売を続ける
- 以上より「限界収入(MR)=限界費用(MC)」となるため「MR=MC」という数式が成立する。
独占市場の場合のみ「販売価格=限界収入」にならないので注意してください。⇒独占市場の価格の決まり方
ポイント
①②③から「価格(P)=限界費用(MC)=限界収入(MR)」となる。