消費者の「無差別曲線と限界代替率」に対応する「生産可能性曲線と限界変形率」について、グラフを交えながら解説しています。
生産可能性フロンティア(生産可能性曲線)
生産可能性フロンティアとは
ある経済主体が保有する資源・技術を用いて、効率的に生産を行ったときに得られる生産物(財)の組み合わせを表した曲線のこと。
英語で「Production Possibility Frontier」なので略してPPFと表記することがある。
例えば
ある企業が2種類の商品(財)を生産しています
- 縦軸=商品(財)Aの生産量
- 横軸=商品(財)Bの生産量
企業の経営資源(人・モノ・金など)を効率的に利用するとき、2種類の商品(財)の生産量には、どのような関係があるのかを見ていきましょう。
グラフで見ると‥
何故このようなグラフになるのか
一般的に企業が商品(財)Aの生産に集中するほど、商品(財)Bの生産量は減っていきます。
企業の経営資源(人・モノ・金)には限りがあるので、片方の商品(財)をたくさん生産すればするほど、もう片方の商品(財)の生産量は自然と減少していくはずです。※両方の商品(財)の生産量を増やすためには、人を雇ったり設備投資が必要になります。ここでは、企業の経営資源が一定のときを想定しているので上記のようなグラフになります。
逆に、商品(財)Bの生産に集中すると‥
先ほどの逆パターンですが考え方は同じです。商品(財)Bの生産に集中するほど、商品(財)Aの生産量は少なくなっていきます。
生産可能性フロンティア(生産可能性曲線)は、ミクロ経済学の一般均衡や貿易などの分野で登場するので、グラフの見方を知っておきましょう。
限界変形率
限界変形率(MRT)とは
限界生産可能性曲線の傾きのこと。片方の財の生産を1単位増加させたとき、もう片方の財の生産をどれくらい減少させる必要があるのかを表す。消費者理論の限界代替率に対応している。
英語で「Marginal Rate of Transformation」なので略してMRTと表記することがある。
例えば
いま、ある企業が商品Yと商品Xの生産を行っています。
- 縦軸=商品Yの生産量
- 横軸=商品Xの生産量
生産可能性曲線がグラフのように描けるとき、商品Yの生産量を増やす↑ために、商品Xの生産量を減らす↓ケースを考える。
すると・・
「商品Yの生産量の増加分」と「商品Xの生産量の減少分」をもとに三角形が描けます。このとき、この三角形の傾きが限界変形率(MRT)です。
はじめに記載した通り、限界変形率(MRT)は「片方の財の生産を1単位増加させたとき、もう片方の財の生産をどれくらい減少させる必要があるのか」を表しています。
つまり、この三角形の傾きは「商品Yの生産量の増やすために、商品Xの生産量がどれくらい減少したか」を表します。
式で見ると・・
商品Yの生産量の変化分(ΔY)/商品Xの生産量の変化分(ΔX)
例えば、商品Yを1増やすために、商品Xを2減らす必要があれば「1/-2」です。
さらに詳しく
限界変形率(MRT)は機会費用の考え方と似ています。
商品Yの生産量を増やすために、商品Xの生産量を減らす必要がありますが、これは「Yを得るために失ったX(商品Yの機会費用を商品Xで判断した)」という構図です。
限界変形率(MRT)は「消費と生産のパレート効率性」や「公共財」の分析を行うときに登場します。