経済学で登場する「時間割引」という考え方が少し難しい。
そもそも割引ってなんだ?という風に感じた人に向けて分かりやすく解説!
考え方自体は簡単なので、すぐに理解できる様になります。
時間割引とは?
時間割引
同じ金額でも、「今もらえる報酬(=現在価値)」より「将来もらえる報酬の価値」の方が低くなる。
遠い将来になればなるほど、その価値の減り方が大きくなるため「時間割引」と呼ばれる。
例えば①
お昼時、おなかが空いています。
この時に
- いま牛丼が食べられる
- 6時間後に牛丼が食べられる
だったら、どっちが価値があると思いますか?
普通に1番だと思います。
「時間割引」とは、まさにこの状態です。これを金銭に置き換えてみましょう。
例えば②
- いま10万円がもらえます
- 来年10万円がもらえます
だったらどうでしょうか?
何もなければ、今10万円を貰ってしまいたいですよね?
ココがポイント
このように「今もらえる報酬」>「将来もらえる報酬」となるのが時間割引です。
時間割引率
- 時間割引を割合で示したもの
経済学では「時間割引率」などと書かれる方が多いかもしれません。
「時間割引」と「時間割引率」は、意味合いは同じですが「時間割引率」の方が具体的な数字が出てきます。
先ほどの例をもとに解説していきます。
例えば
- いま10万円がもらえます
- 来年10万円がもらえます
このとき「いま10万円を貰える」>「来年10万円貰える」になるのが時間割引でした。
ということは、「来年もらえる10万円」には10万円の価値がないことになります。
ココがポイント
もし「今10万円もらえる」「来年10万円もらえる」で、どちらでも良ければ問題ありません。しかし、多くの人が「今10万円貰っちゃいたい」と感じます。その理由は「将来の10万円」の価値が低く見積もられているからです。
つまり「来年もらえる10万円の価値」は実質9万円くらいなのかもしれません。この時に、どのくらい価値が目減りしているのかを表すのが「時間割引率」です。
「将来の10万円の価値」が9万円だと言われた場合の「時間割引率」は10%となります。
あなたの割引率は?
- いま10万円がもらえます
- 来年10万円がもらえます
この質問の「2.来年10万円もらえます」の金額を上げていってください。
- 来年11万円もらえます
- 来年15万円もらえます
- 来年20万円もらえます
- 来年50万円もらえます
- 来年100万円もらえます
すると、あるところで「来年お金を貰ったほうが良い」と感じるようになります。
その時の金額を使えば、あなたの割引率が分かります。
- いま10万円がもらえます
- 来年12万円がもらえます
このときに「今10万円を貰える」<「来年12万円を貰える」となります。
このように計算すると「10÷12=約8.3%」です。
更に
この「8.3%」が時間割引率になるのですが、これを10万円に掛けて引いてみます。
10万円×8.3%=8,300円
10万円ー8,300円=9万1700円
最初の質問
- いま10万円がもらえます
- 来年10万円がもらえます
最初はこのように質問していましたよね?
このとき、2「来年10万円もらえる」の10万円の価値が先ほどの金額です。
あなたは頭の中で、この質問を
- いま10万円がもらえます
- 来年9万1700円がもらえます
直感的にこのように解釈していたというわけです。
さらに詳しく
このように、「将来貰える報酬の価値」を、時間割引率を使って今の価値に置き換えたものを「割引現在価値」と言います。
※大学で経済学・ファイナンスなどを勉強している人は知らないとマズいですが、一般の人は知らなくてもいい単語です。
まとめ
- いま10万円がもらえます
- 来年10万円がもらえます
この質問で「来年もらえる金額が12万円以上なら、今の10万円ではなく、来年お金を貰ったほうが良い」と感じた場合。
- 時間割引率=8.3%
- 来年もらえる10万円の割引現在価値=9万1700円
「せっかち」との関係
時間割引を見ると「せっかち度」を見ることが出来ます。
ポイント
時間割引が高いと、せっかち度が高いと言える。
時間割引(率)が高いとは?
そもそも「時間割引が高い」とはどういう状況でしょうか?
例えば
「来年もらえる10万円」の価値を
- 9万円と見る人(割引率10%)
- 8万円と見る人(割引率20%)
この2人なら、8万円の価値と見る人(割引率20%)の方が割引率が高いです。
つまり、割引率が高くなればなるほど、将来のお金の価値を小さく見ることが分かります。
「将来のお金の価値を小さく見る」を言い換えれば「今のお金が好き」なのです。
さらに詳しく
将来の価値を低く見積もる人は、今のお金に重きを置いている人です。今を重視しているため「せっかち」と言われています。
逆に「時間割引率が低い」と、我慢強い・忍耐強いなどと言われます。
時間割引率は低い方が良い
- 将来のために行動する人は時間割引率が低い
成功を収めるためには、将来のために行動することが重要です。なので、成功者や稼ぎが良い人というのは、時間割引率が低くなる傾向があります。
目の前のお金(報酬)に釣られることなく、将来に得られる利益の価値をしっかりと計算できる人が成功するのです。
時間割引率が高い人の特徴
時間割引率が低い方が良いと書きましたが、本当でしょうか?
ポイント
時間割引率が高いと、多重債務、喫煙、肥満、貧困などのリスクが高くなることが分かっています。
「指数割引」と「双曲割引」
最後におまけです。
これまで「時間割引」を見てきましたが、勝手に上の図のようなイメージをしていませんか?
実は、将来になればなるほど、徐々に将来のお金の価値を低く見るようになるわけではありません。
実は、人の「時間割引」はそんな綺麗ではありません。
実際はこんな感じ
ポイント
人の時間割引は「今」と「今以外」という捉え方をします。
分かりやすく
- 今10万円がもらえる
- 来年10万円がもらえる
なら「1.今10万円がもらえる」の方が良いです。
しかし、これならどうでしょうか?
- 来年10万円がもらえる
- 再来年10万円がもらえる
この場合、多くの人が「どっちでも良い・・」となります。
ポイント
同じ1年で比べているのに、来年と再来年なら、大した差を感じなくなります。
このように、人は「今」という時間を強く重視する傾向にあるのです。
まとめると
時間割引をグラフで書いた場合、きれいな直線(指数割引)にはならない。
「今」より未来になると、一気に割引率が高くなるような形状になります(双曲割引)
この時間割引の形状(双曲割引)は、経済学の中でも「行動経済学」で登場する考え方です。興味があれば読んでね!
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